「Facebook、登録しといてよ」

「彩、Facebookやってないの?」――後ろから突然声をかけられて心臓が飛び出た。振り向くと、メガネの奥の黒い瞳が、私のPC画面をのぞきこんでいる。「翔太先輩」。頬が熱くなるのを感じながら、あわてて画面を隠す。勤務時間中にmixiを見ていたのがバレてしまった……。
「mixiもいいけど、彩さ、Facebook、登録しといてよ」。翔太先輩はそう言って隣の席に座ってノートPCを開き、仕事を始めた。
実名で大丈夫なの?
「登録しといてよって言われても……」。私はヤフーで「フェイスブック」と検索し、一番上に表示された検索結果をクリックしてみる。「Facebook」と書かれた青い画面が出てきた。ここで登録できるのかなぁ。

登録はこの画面からからできるようだ。「アカウントの登録」欄に、名前とメールアドレスと、パスワードと生年月日……。ニックネームで登録できるmixiやTwitterと違って、Facebookは実名で登録しないといけないらしい。ネットで実名?大丈夫なの?
「Facebookって実名登録しなきゃならないんですか?なんか怖いんですけど……」。不安になって翔太先輩に聞く。「何言ってんの。大丈夫だって。俺も実名登録したけど、何も困ったことなかったし。それに、よく分からないあだ名とか使うと、友達に見つけてもらいにくいだろ」
「うーん、そうかなぁ」。翔太先輩が言うなら間違いないはずと自分に言い聞かせ、作業を進める。ローマ字で姓、名を入れ、メールアドレスとパスワード、性別、生年月日を入力し、「アカウント登録」を押す。「セキュリティチェック」なる画面で、読みづらいローマ字が表示を判読して入力し、「アカウント登録」を押す。
登録作業はまだまだ続く
やっと登録できたかな?と思ったら、4STEPの登録メニューが現れた。「えー?まだあるのーー?」。少しうんざりしながら、適当にボタンを押していく。

「すでにFacebookを利用している友達を探しましょう」「趣味や関心を選んでください」。よく分からないので、選ばずに「スキップ」や「保存して続行」を押し、次へ次へと進める。
名前の漢字と読みの入力、高校や大学、勤務先の入力まで求められた。「実名は仕方ないにしても、学校名まで入れるのはなんだか怖いよ……」。学校名は書かずに「保存して続行」。今度はプロフィール写真の登録だが、適当な写真が見つからないのでこれもスキップ。最後にメールアドレスの確認を求められ、メールに届いたURLをクリックする。ここまで約10分。やっとこさ、Facebookへの登録が終わったようだ。
「フゥ……」。なんだか疲れてしまった。




