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裁判所で裁判以外のことをする!労働審判を行ったときの体験談

裁判所は裁判をする場所ですが、それ以外にも様々なことができます。その1つとして、労働審判があります。筆者の体験談を基に、労働審判の一連の流れについてご紹介します。

今回ご紹介するのは「審判」の流れです。「訴訟」とは性質や内容、かかる費用や時間が多少異なる点を念頭に入れて読んで頂けますと、幸いです。

労働審判について

労働審判とは、使用者(会社の社長など)と従業員がもめたとき、裁判官が間に入って和解を目指す行為のことです。裁判に似ていますが、少し違います。

裁判と違う点は、

  • 非公開の場で行う
  • 結果が出るまで迅速(早ければ初回のうちに、遅くても3回目で結論が出る)
  • 裁判よりも費用が安い

等です。

筆者が訴えを起こした内容

筆者がかつて在籍していた会社が相手でした。

サービス残業などを強要され、法律違反を指摘すると解雇に近い辞めさせられ方をし、頭にきて労働審判となりました。今回は、未払い残業代についての訴えになります。

労働審判で必要になるもの

労働分野に詳しい優秀な弁護士さんとのツテ

これが最初の関門です。筆者の場合、知り合いにいらっしゃったのでラッキーでした。もし知り合いに弁護士さんがいないときは、周囲の人の知り合いに弁護士さんがいないかどうか調べてみてください。

全くツテがない場合、「法テラス」「地方自治体などが行う無料法律相談」などを利用し、ツテを作る方法もあります。

証拠

何が証拠になるかは、案件や状況によって違うと思います。詳しくは担当弁護士さんに聞いてください。筆者の場合は、残業代に関する話だったので、就業記録が証拠として役に立ちました。

お金

色々とお金が必要です。差し障りの無い範囲で書くと、以下のようになります。

  • 弁護士さんの相談費用や経費(弁護士さんにより多少違う)
  • 相手から和解金を取れた場合の弁護成功報酬(和解金の一部)
  • 自宅から弁護士事務所や裁判所まで行く交通費(意外とバカにならない)
  • 審判当日用の背広のクリーニング代(審判当日は普段着でなく正装が良い)
  • 裁判所に書類を出す為の印紙や切手代(訴えの規模により様々)
裁判所のHPに、事件規模(請求額の大小)で手数料がどれだけ必要か?を一覧表にしたものがありますので、参考にしてみて下さい。

申し立て書類

裁判所に出す手続書類です。申し込み書やその写し、証拠書類などを指します。

弁護士さんにお願いしていたので詳しくは知りませんが、お気軽に作れるものではありませんでした。一式揃えるとなると、結構な分量があったと思います。

労働審判に至った動機や背景

サービス残業が横行する会社

今回の相手は、それほど長く勤めていた会社ではありませんでした。入りたての頃から「ここはサービス残業が横行している」と思っていました。ただ、仕事自体は嫌いではなかったので、続けていました。

しかし、時間を追うにつれてサービス残業は酷くなり、見過ごせないレベルにまで達しました。一向に改善する様子もないので、労働基準監督署や弁護士さんに相談をした後、上司に「法律違反です」と抗議しました。確認はしていませんが、監督署から電話の1本くらいはいったのかもしれません。

その後、あからさまに筆者の仕事が減り、残業をしなくても良くなりました。ただ、今度は「全く残業がなくなった」ので、「サービス残業ではなく、正規の残業代がついていた分」もゼロになり、収入が激減しました。

辞表を書くように迫られる

しばらく経ち、リストラの話が持ち上がり、筆者を含めて数人が辞めるはめになりました。別室に呼び出され、辞表を書くよう執拗に迫られました。

辞表を書くと、自己都合退職扱いになります。そうなれば、会社側が色々と責任を負わずに済みます。そのために、執拗に退職届を書けと迫ってくるのです。

説得に当たっていた上司には、とてもお世話になっていました。この上司も言いたくて言っているのではなく、サラリーマンとして「言わされているだけ」と思ったので、変な仏心が湧き、説得に同意しました。

辞める直前、「未払いの残業代を払ってください」と言いましたが、対応する様子はありませんでした。お金のことですし、そろそろ我慢の限界でした。また、残業代の場合は早く動かないと時効で請求権が消える場合があります。

退職後間もなく、労働審判へと動くことにしました。

労働審判前の流れ

STEP1:弁護士の元へ行く

まず、弁護士さんのところへ相談に行きます。

STEP2:労働審判を申し立てる

弁護士さんの助けもあり、必要書類や証拠を揃え、裁判所に労働審判を申し立てます。

STEP3:相手(会社側)へ通達が行く

裁判所から、相手(会社側)に「労働審判を行います」との通達が行きます。相手は出席を断れません。断った場合、罰金となります。

STEP4:開催日時の伝達がくる

申し込みから1ヶ月程度で、裁判所から開催日時の伝達がきます。

労働審判当日~終了までの流れ

STEP1:審判当日

審判当日は少し緊張しましたが、弁護士さんとの打ち合わせがしっかり出来ていたので、怖がらずに裁判所へ行きました。

まず、会議室みたいなところに、参加者が全員入ります。参加者とは、本人・本人の弁護士・相手・相手の弁護士・裁判官・労働審判員(専門家)です。

STEP2:審判内容の確認

参加者全員が部屋に入ると、先ず審判の内容について確認がなされます。確認内容は、訴え人の氏名や相手方の名前、訴えの内容などです。

書類の読み上げ・参加者への問いかけなどの形で、確認作業が進みます。

STEP3:和解案(和解金額)について話し合う

その日のうちに和解案(和解金額)の話になります。金銭のやりとりを以って和解しろということです。裁判官が状況を判断し、適正と思われる和解案(和解金額)を提示します。それに、双方が同意するならば即日終了となります。

この和解案は、拒否することも出来ます。しかし、3回目の審判まで拒否し続け、審判では解決しないという状態になれば、公開の場である裁判へと移行します。

納得できない和解案を承諾する必要はないと思いますが、裁判は労働審判より費用も時間もかかりますし、公開の場で行われます。公開の場では見られたくない方もいると思われますので、別の覚悟が必要になってくるでしょう。

今回の和解案は、相手側(会社側)が和解金額を支払うというものでした。こちらはOKですが、相手が変な文句を言い出し、語勢を強める場面もあり、正直言って困りました。

STEP4:次回に持ち越し

相手がひとしきり文句を言った後、「一度、会社内で話し合い、確認したい」と言い出したので、結論は次回以降に持ち越しとなりました。

STEP5:裁判所から日時を提示

次回の日程について、裁判所が「この日はいかが?」と日時を提示してきます。大丈夫ならば次回日程が決まります。筆者の場合、次回日程は1週間後でした。

STEP6:審判2日目

1週間後、弁護士さんと一緒に再び裁判所に向かいます。今回で結論が出るかもしれないと思い、初日より緊張しました。前回と同じ部屋に、前回と同じ顔ぶれが揃いました。

STEP7:和解案の確認

前回提示された和解案について確認をします。こちらは前回の話し合いの中で既に同意しているので、相手の返事がどうなのかを聞きます。

STEP8:審判終了

相手が同意したので、審判は終了です。部屋に入ってから結論が出るまでの間、15分もなかったと思います。

STEP8:審判終了後

決定内容を記載した郵便が届きました。正確には覚えていないですが、最終審理から1週間程度は経過してから届いたと思います。さらに2週間くらいして、和解金が振り込まれました。和解金が入れば、そこで終了です。

最初の申し立てから2ヶ月ちょっとで全て終わり。和解金から必要経費や労力を引くと、本当に若干しか残りませんでしたが、それでも嬉しかったです。目に見える形で、相手の法律違反を晒す行動が取れました。

なお、労働審判の結果は裁判上の和解と同じくらいの効力があり、相手が約束を守らない場合は、強制執行(金銭の取立てなど)も可能です。

おわりに

昨今の労働環境を見るに、労働者が我慢し、泣き寝入りする時代は終わったと思います。揉め事が起こった場合、可能であれば労働審判を使うのも手です。

早くしないと、時効で請求権がなくなることもあります。未払い残業代の場合、2年で請求不可能になる場合もあるようです。ただ、慌てて行動すればそれで良いかというと、そんなことはありません。状況を確認しながら、用心して進まないと、思わぬ怪我をします。

納得できないことがあれば、専門家さんのところへ行き、早めに相談してみてください。素人考えで事に当たるのが、最も危険だと思います。

また、状況などは人により違います。筆者で通用したことが、万人に通用するとは思えません。その逆も同じです。

筆者の場合、会社を退職してから審判という形をとったので、思い切りよくいけましたが、会社と何かしらの関係を持ったまま審判になると、なかなか難しい場合もあります。よく考えてから動いて下さい。

難しい状況を的確に分析し、有利に事を進めるには頼りになる専門家さんが必要です。そういった方を見つけるのが、まず第一歩だと思います。

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(image by web辞典)

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