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    時間は短く、アイデアは無限大!正しいブレストの手順

    ブレスト(ブレイン・ストーミング)とは、複数人が集まって自由にアイデアを出し合う発想方法のことです。最近ではいろんな会社で会議の一部として取り入れられていますが…みんなでわいわいと話をしただけで終わってしまった!なんて人も少なくないと思います。

    制限時間内に、チームみんなのアイデアを効率よく引き出す「ブレスト」を行うためにはどうすればいいのでしょうか。

    自社で最先端のブレストを実践しているという、株式会社ユビキタスエンターテインメントの代表取締役社長兼CEOの清水亮さんに3つのブレスト方法と上手くすすめるコツを教えてもらいました。

    本記事は、2015年2月の取材情報をもとに執筆されたものです。

    ブレスト前にすべきこと

    事前準備

    ブレストのファシリテーター(進行役)は、ブレストで出てきたアイデアを適切に選び取るための事前準備を行う必要があります。例えば、企画を行う意義付け、市場調査、企画を実現するための技術調査などです。

    そういった事前準備を疎かにしたままブレストに突入すると、技術的に実現不可能な方向に議論が盛り上がった際、ストップをかけられなくなってしまいます。また、企画が動き出したとしても、時間と労力を無駄にすることにもなりかねません。

    ブレストを行う際は必ず入念な事前準備をしておきましょう。

    成功したときのことをイメージしておく

    冒頭にもあるとおり、ブレストは各人が自由にアイデアを出し合う発想方法です。しかし、会議時間や予算などの制限付きで企画を考えるとなると、つい視野が狭まってしまい、大局的に企画を出し合えない・考えられないことがあります。

    アイデアを膨らませるための場で自分に制限をかけてしまうと「何も思いつかなかった…」なんてことになりかねません。そうならないためにも「この企画が成功したら1年後、5年後、100年後どうなっているか」などを考えておくようにしましょう。

    株式会社ユビキタスエンターテインメント代表取締役社長兼CEO・清水亮さん(以下、清水さん)「絶頂期の小室哲哉が『失敗した後のことなんか心配しても仕方がない。成功した後のことを心配しておいたほうがいいよ』との名言を残しています。後から追加できるアイデアも想定しておかないと、いざ成功したときに慌てふためくことになります」

    【基本編】付箋を使ったブレストのやり方

    付箋を使ったブレスト方法です。

    付箋さえあれば良いので、アナログな環境でも簡単にできます。ここでは「発散」「収束」「アフターブレインストーミング」の3段階に分けて行うブレストのやり方をご紹介します。

    STEP1:思いついたことをすべて発散させる(発散)

    まずは、以下の手順を行い、集まったメンバーに思いついたアイデアや考えなどを発散させます。

    • 1:全員に付箋紙の束とペンを配布する
    • 2:テーマをホワイトボードに書く
    • 3:テーマについて、関連するアイデアや意見を出し合うなど、ブレスト開始※20分間(私語や仕事のメールを見ることなどは一切厳禁)
    • 4:20分後、思いついたことを付箋紙に書く
    • 5:アイデアを書いた付箋を集める
    • 6:アイデアを発表し、ホワイトボードにまとめる(似たアイデアが出た場合は重ねて集約)

    STEP2:出し合ったアイデアを収束させる(収束)

    STEP1で出し合ったアイデアを収束させます。そのために、次の手順を行いましょう。

    • 1:STEP1で出たアイデアを元に、再び関連するアイデアや意見を出し合うなど、ブレスト開始※20分間(STEP1で出し合ったアイデアを実現するためのアイデアを出し合う)
    • 2:20分後、思いついたことを付箋に書く
    • 3:各付箋に優先順位を付けながらホワイトボードに貼っていく
    • 4:各人がホワイトボードの前に立ち、自分のアイデアを優先順位にしたがって発表する

    STEP3:STEP2で出てきたアイデアをまとめる(アフターブレインストーミング)

    STEP2で出てきたアイデアを議事録としてまとめます。

    【応用編】より多くのアイデアを引き出すブレスト方法

    「参加メンバーの目が気になって思ったことを言えない」と思っている人の中に、貴重なアイデアが埋もれていることがあります。

    そういったアイデアをより多く引き出すには以下で紹介するブレスト方法を実践してみましょう!

    応用編1:チャットで行うブレストのやり方

    チャットがあれば実践できるブレストです。「さくっとブレストしたい」というときにおすすめの方法です。また、Lingrなど、匿名制のチャットを活用すれば、役職関係なくフランクなブレストを行うこともできます。議事録などをExcelで自動出力できるチャットを選べば、話した内容をまとめる時間も短縮できます。

    以下が具体的なやり方です。

    • 1:匿名のチャット(テキストエディタ)ができる環境を用意する
    • 2:5〜10分程度の無発言時間を設け、その間参加者が、チャット上に意見を書きこむ
    • 3:制限時間が終わったら、チャットで意見を一気に公開する
    • 4:参加者が、意見に星などをつけて投票する
    • 5:議事録をエクセルに出力する
    清水さん「この方法であれば、付箋を使った会議に比べて格段に意見交換の時間を短縮できるほか、普段はあまり意見を言わないシャイな人でも気軽に参加できます。また、匿名制であれば、社長含め誰の意見でもおかまいなしにダメ出しができます」

    応用編2:コンピューターにアイデアを出してもらうブレストのやり方

    ブレストは参加者がアイデアを出し合う場ですが、そのアイデア出しのパートを機械=コンピューターにできる限り任せてしまおうというやり方です。

    例えば、清水さんはいくつかのキーワードを入力するとランダムな組み合わせを提示するプログラムを作成しています。こういったサービスを活用すれば、明らかに使えないかもしれないというものに混ざって、使えそうな組み合わせが発見できることもあります。

    清水さん「どのキーワードを選ぶかは本人のセンス次第ですが、形容詞を工夫すれば自分だけの秘伝のタレみたいなものを作ることができると思います。本番のブレスト前にこれをやっておくと、ちょっとしたヒントになるかもしれません。ちなみに、こちらのプログラムは公開しているので、形容詞などのカスタマイズが可能です」
    清水さんが作ったブレスト用プログラムはこちらです。

    ブレストをすすめる上での注意点

    偉い人の意見に流されない

    会社の偉い人が出した意見に反することを述べるのは簡単ではありません。偉い人がAといったとすると、A'やA"など、似たような意見ばかり発せられたり、何もしゃべらない人がいたり、ということになりがちです。

    相手が誰であれ様々な意見を出せる雰囲気を作る、もしくは初めから権威のあるメンバーをアサインしないようにしましょう。
    清水さん「社長が『面白いね!』と言ったら、その意見が通っちゃうじゃないですか。偉い人はブレストに入れないほうがいいと思います」

    似たような視点の参加者を集めない

    同じ会社、同じ部署のメンバーだけでブレストすると、気づかないうちに同じようなアイデアばかり出していることがよくあります。

    同じ職場で、似たような生活リズムで暮らしていると、視点や考え方も似てきます。同じような意見を言い合うだけになり、結果的に新しいアイデアは生まれにくくなります。

    他部署や外部のメンバーを加え、多様な視点をもとに行うようにしましょう。

    ストレート過ぎるテーマにしない

    ブレストでは「○○に必要だと思う新機能は?」など、テーマを設定します。

    しかし、あまりにも話し合うテーマがストレートすぎると、アイデアを出しにくくなってしまう場合があります。ファシリテーターはテーマに基づいた本質的な質問を投げかけることが大切です。

    例えば、ある製品の改良に関するブレストであれば、最初に聞くべき質問は「その製品について、ユーザが気に入っている部分と、そうでない部分はどこだと思うか?」というような質問です。

    成功体験に固執しない

    過去にあるプロジェクトを成功させているメンバーが、そのプロジェクトから派生する別なプロジェクトを成功させるために集まって行うブレストは失敗しやすいです。

    プロジェクトを成功させるには、運や時流が大きなウェイトを占めます。過去の成功体験に左右されないよう、あくまでもフラットな目線で挑みましょう。

    ブレストで出たアイデアに縛られない

    ブレストで出るアイデアは思いつきです。ブレストの中で結論のようなものが出て、偉い人がその場で「いいね!」などと発言していたとしても、多くの場合、偉い人たちはそれを合意形成だととらえていません。

    「ブレスト=発想を広げる機会」。ブレストで出たアイデアから企画を作り上げていくのは、企画者の仕事であって、ブレスト中にでてきた結論めいた話に縛られないよう気をつけましょう。企画の可能性を狭めてしまうことになりかねません。

    お話を伺ったのは、こちら!

    清水亮(しみず・りょう)さん

    株式会社ユビキタスエンターテインメント 代表取締役社長兼CEO。2005年、独立行政法人情報処理推進機構により、天才プログラマー/スーパークリエイターとして認定される。「ブレストで何よりも大事なのは、『意見と人格を切り離すこと』です。バイトから社長まで、全部の意見を平等にみることが肝心です。逆に、どんな方法でもフラットにアイデア出しができるなら、無責任に意見を出しあえるブレストの時間は、レクリエーションぽく楽しくなるはずです」と清水さん。

    (イラスト:yosico)
    (ライター:中野満美子)

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