ご先祖さまを供養し、敬う気持ちを新たにするお墓参り。「見よう見まねでやっているので、実はお作法に自信がない」という人も少なくないのでは。
けれど、結婚し、家庭をもって自立したからには「知らない」「わからない」では済まされません。よく調べていなかったがために、義実家の親戚一同を前にして大ひんしゅくを買ってしまった……なんて事態、想像するだけでも恐ろしいですね。
ヒヤッとした方はこの機会に、お墓参りの基本の「き」から確認してみてはいかがでしょうか?仏教・神道・キリスト教の、お墓参りの時期や方法をご紹介します!
お墓参りに共通するポイント
服装
法要や法事であれば喪服ですが、それ以外であれば普段着で差支えありません。
とはいえ、遊びに行くわけではありませんから、ショートパンツなど露出の多い服装はやめておきましょう。
掃除をするので、マキシスカート・ハイヒールなど動きにくい格好や、汚れたら困る服は避けましょう。
時間帯
午前中の明るいときに行うのがよいという人もいます。たしかに周りが暗いと、墓地で転んだり、掃除が行き届かなかったりするかもしれません。
ただし、「絶対にこの時間帯にするべき」「この時間帯だけは避けるべき」といった決まりは特にありません。特別な事情がなければ、時間に余裕をもって、心からお参りできるような日を選ぶのがよいでしょう。
仏教の場合のポイント
お墓参りの時期
命日、お盆、お彼岸にすることが多いようです。
お盆の場合
年に一度、死者の霊が現世に帰ってくるという信仰からきています。時期は地方によって変わりますが、7月もしくは8月の13〜16日とするところが多いです。
13日には、死者の霊を家に迎えるための「迎え火」をします。霊を迎える盆棚(精霊棚)を家の中につくり、位牌を中心にお供えものをつるしたり、並べたりします。盆の間は提灯の明かりを絶やさないようにし、お水やお供えものは毎日取り替えます。法要、精霊流し・灯篭流しを行います。
16日には、霊をあちらの世界に送るため「送り火」をします。
昔なら、迎え火・送り火はお墓でたくのが一般的でした。ですがここ最近では、家とお墓が離れている場合、墓参りはせずに家で迎え火・送り火をして済ませる家庭も増えているそうです。マンションやアパートなど、玄関先で火をたくと他の家に迷惑をかけてしまう場合は、盆提灯をつるすことで代わりになります。
お彼岸の場合
春のお彼岸とは、春分の日を真ん中とし、前後3日間を合わせた7日間のことです。秋のお彼岸は、秋分の日を真ん中とした7日間を指します。
お彼岸の間は、おはぎやぼたもちを作ってお供えし、ご近所さんに配ることも。仏壇に対になるようお団子をお供えする地域もあります。
お墓参りの作法
持ち物
- お供えする花、お菓子や飲み物
- お供え物を置く半紙
- お線香、ろうそく、マッチもしくはライター
- 掃除用具(ほうき、たわし、スポンジ、雑巾、ゴミ袋など)
- (夏場)虫よけスプレーや蚊取り線香など
順番
- 1.お寺についたら、お墓参りの前に本堂のご本尊にお参りをする。ご住職に墓参りに来た旨を伝え、挨拶をする
- 2.手桶、ひしゃくを借りたら水をくんでお墓に向かう
- 3.合掌をしてから掃除を始める
- 4.掃除が終わったら、花立てに水を入れて、花を供える。お供え物を半紙の上に置く
- 5.線香に火をつけて、香炉に立てる
- 6.故人と縁の深い人から順番にお参りをする。手に数珠をかけて胸の前あたりで合掌する
- 7.全員のお参りが終わったら、食べ物・飲み物は持って帰る
神道の場合のポイント
時期
命日と、式年祭のときにお参りすることが多いようです。
式年祭は霊祭(みたままつり)とも呼ばれます。亡くなった年から、一年祭・三年祭・五年祭・十年祭・二十年祭…百年祭まで行われますが、一般的には三十年祭で切り上げ、それ以降は行いません。仏教でいうところの法事にあたるものです。
お墓参りの作法
持ち物
仏教との違いは、お線香をたかずにロウソクをお供えする点です。また、お供え物もお菓子などではなく、お神酒・お米・お水・お塩をお供えし、花ではなく榊を用意します。
順番
まず管理事務所にあいさつをする、心をこめて掃除を行うといった点は同じです。
お参りは「二礼二拍手一礼」です。初詣などで神社で行うのと同じですね。
キリスト教の場合のポイント
時期
命日にお参りすることが多いようです。他にも、宗派によってお墓参りを行う日があります。
カトリックの場合
11月2日を「死者の日」と定めており、お参りをします。教会ではミサが行われ、故人を追悼します。
プロテスタントの場合
死後一ヶ月後、1年後、3年後、7年後の昇天記念日にお参りをします。
お墓参りの作法
持ち物
仏教徒との違いは、お線香をたかないことです。また、仏花ではなく白い小ぶりの花(ユリ、菊、カーネーション等)を供えます。数珠は必要ありません。
順番
こちらも仏教・神道と基本的なところは変わりません。胸の前で合掌する際には、数珠は必要ありません。
お墓参りの作法はこれで完璧!
お墓参りなどのイベントごとでは、必ずご主人もしくは奥様に味方についてもらうようにしましょう。法事や集会があると、親戚やご近所さんが多く集まるので、結婚してすぐのうちは気疲れするものです。そんなときにパートナーが助けてくれたら、心強いですよね。
その代わり、自分の実家のお墓参りの際は、パートナーに必ず事前の説明を。「自分は普通だと思っていたけれど、実はその地域特有だった」という可能性もあります。
色々と慣れないことが多いですが、わからないことを素直に聞けるのは今のうちだけ!ご先祖様を敬い、大切にしようという気持ちがあれば、きっと乗りきれるはずです。
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