\ フォローしてね /

知っておくと子どもにドヤ顔できちゃう「恐竜の基礎知識」

2015年は恐竜がアツい!14年ぶりに「ジュラシック・パーク」シリーズの最新作「ジュラシック・ワールド」が公開され、全国各地で開催される大規模な恐竜イベントも大きな盛り上がりをみせています。

圧倒されるほどの迫力の大きな復元骨格を見上げては魅せられてしまうのは子どもだけではないようですが、実は知っているようで知らない恐竜のアレコレ。

「そもそも恐竜ってどんな生き物?」「一番大きな恐竜ってどれくらいの大きさ?」「骨格標本ってどうやって見ればいの?」などなど、恐竜や恐竜の骨について知ることができればもっと恐竜を好きになれるはず!

そこで今回は日本最大級の恐竜研究機関・福井県立恐竜博物館の千秋利弘さん監修の元、知っているようで知らない恐竜について色々ご紹介しちゃいます!

本記事は、2015年8月の取材情報をもとに執筆されたものです。

恐竜ってどんな生き物?

ざっくりと「絶滅した大型の爬虫類」というイメージはあるものの、実は謎だらけの恐竜たち。そもそも恐竜とはどんな生き物なのでしょうか。

あの人気者は実は恐竜じゃない!?

突然ですが、問題です。次の4つの中に実は「恐竜」ではない爬虫類が混じっています。それはどれでしょう。

  • 1:ティラノサウルス(獣脚類)
  • 2:トリケラトプス(角竜類)
  • 3:プテラノドン(翼竜)
  • 4:ブラキオサウルス(竜脚類)

答えは3:プテラノドン(翼竜)です。

「好きな恐竜は?」と聞くと、かなりの確率で名前が挙がってきそうなプテラノドンが恐竜ではない…ちょっと衝撃ですね。そもそも恐竜の定義とは一体?

細かいことを抜きにして簡単に言ってしまえば、恐竜とは「陸上で生活する直立歩行の爬虫類」のこと。その他の爬虫類と恐竜を見分ける重要な特徴は、後ろ足の付け根と足首の構造にあります。

恐竜の足の付け根には、腸骨・恥骨・坐骨が組み合わさった、人間でいえば骨盤のような部分があり、ぽっかりと丸い穴ができています。この穴に、大腿骨の先にあるボール状の突起がすっぽりとはまっているのです。また、恐竜の足首の関節は、足が前後方向にしか動かない丈夫な構造になっているそうです。

こうした骨格の特徴によって体から地面に向かってまっすぐ脚が伸び、直立歩行を可能にするのだとか。

つまり、この定義でいうと、陸上で直立できないプテラノドンや、映画『ドラえもん のび太の恐竜』でおなじみの脚の代わりにヒレを持つフタバサウルスは、恐竜とは呼べないのです。ではなぜ、「恐竜」ではない翼竜や首長竜が「恐竜」として認知されているのでしょうか。

千秋さん「恐竜のイメージとして、『絶滅した大型の爬虫類』という認識だと、翼竜や首長竜も当てはまってしまいます。また、これらも『恐竜時代の生物』ですので、恐竜を説明する際の復元画に入らざるを得ませんし、恐竜時代の紹介でも同様です。あとは幼児向けだと恐竜か否かは重要視されないせいかとも思われます」

確かに、「竜」という名がついているだけあって、これらの見た目は他の恐竜と並んでいてもなんら違和感はありませんし、同時代に生きていたのだとしたらなおさら混同して認識してしまうのも頷けますね。小さな頃に見た「きょうりゅうずかん」のような本のなかで、これらが恐竜の仲間のように描かれていた記憶がある人も多いのでは?

恐竜は何種類くらいいるの?

恐竜の科学的な分類は研究者によって多少の意見の違いがあるため、正確な数は分かりませんが、これまでにおよそ800種の恐竜が発見されているといわれています。こうやって聞くと数が多そうにも聞こえますが、「世界中に分布して1億6000万年もの間生きていたことを考えると小さい数字」なのだと千秋さん。

千秋さん「現在生息しているものだけでも、鳥類は8000種類、両生類と爬虫類は6000種類、そして哺乳類は4000種類もいるといわれています。恐竜が生息していた中生代にどれだけの種類がいたのか推測するのはむずしいのですが、私たちが発見したのは、1%の4分の1ほど、つまり絶滅した種の10%ほどだと考えられています」

なるほど。まだまだ世界中の地中には発見されていない新種の恐竜が眠っているのかもしれませんね。

○○ドンに○○サウルス、恐竜の名前の秘密とは

恐竜(dinosaur)とは、ギリシャ語の「dinos=恐ろしいほどに大きい」と「sauros=トカゲ」を組み合わせた言葉で、「恐ろしいほどに大きいトカゲ」という意味です。

そう考えてみると、恐竜には○○サウルスのほかにも○○ドン○○ニクスといったように同じ単語が名前に使われているものがたくさん存在します。実はこれら一つ一つにもちゃんと意味があり、なんとその名前から恐竜の特徴までわかってしまうんだとか。

では、代表的なものをいくつかご紹介しましょう。

○○サウルス 「○○なトカゲ」 例)ティラノサウルス:支配的なトカゲ
○○ドン 「○○の歯」 例)イグアノドン:イグアナの歯
○○(ケラト)プス 「○○(角のある)顔」 例)トリケラトプス:3本の角のある顔
○○ラプトル 「○○泥棒」 例)ヴェロキラプトル:すばしっこい泥棒
○○ニクス 「○○の爪」 例)モノニクス:一本の爪
○○ミムス 「○○もどき」 例)オルニミムス:鳥もどき

こうして意味が分かると、なんだか親近感がわいてきますね。一つ覚えてしまえば色々と応用できますので、名前とイラストや標本を見比べて、どんな恐竜だったのか想像してみるのも楽しいかもしれません。

恐竜ギネスワールドレコード

まだまだ謎が多い恐竜ですが、その特性を知れば恐竜たちがどんな生活をしていたか想像できるかもしれません。そこで、恐竜界のいろんなナンバー1をご紹介します。名付けて、恐竜ギネスワールドレコード!

高さ部門:サウロポセイドン

全長:28~30m / 重さ:65~70t

数ある恐竜の中で最も身長が高かったといわれているのがブラキオサウルスに代表される大型草食恐竜・竜脚類の一種、高さ18mの「サウロポセイドン」です。

他の竜脚類に比べて前脚が長く、首を高く上げられる構造をしていたため、6階建てのマンションをゆうに覗きこめる高さまで頭を持ち上げられたんだとか。

大きさ部門(草食):アルゼンチノサウルス

全長:35~45m / 重さ:90~110t

地球の長い歴史の中で最も体の大きい地上の生物だったと考えられているのが、その名の通り白亜紀前期の南米大陸に生息していた「アルゼンチノサウルス」です。その全長はなんと35 ~45m

さらに、その重さはアフリカゾウ10頭分に相当する90~110t!最も大きい恐竜であると同時に最も重い恐竜であるともいわれています。

大きさ部門(肉食):スピノサウルス

全長:15~17m / 重さ:4~6t

史上最大の肉食恐竜と言われているのが、白亜紀のアフリカ大陸に生息していた「スピノサウルス」です。推定される成体の全長は15~17m

一説によると、あの有名なティラノサウルスよりも強かったのではないかともいわれており、映画「ジュラシックパーク3」では、ティラノサウルスに勝る強さと凶暴さを見せつけたことで一躍有名になりました。

小ささ部門:ミクロラプトル

全長:40~77cm / 重さ:2~3kg

「恐竜」と聞くとついつい巨大な生物を想像しがちですが、実は8割以上の恐竜は人間より小さかったのではないかといわれています。その中でも一番小さいとされているのが一般的なカラスと同じ大きさだったとされる「ミクロラプトル」。

全長40~77cmだと思って侮るなかれ。胃袋から哺乳類の骨や、丸飲みしたと思われる鳥が見つかった例があり、凶暴な捕食恐竜だったと言われています。

速さ部門:ドロミケイオミムス

全長:3~4m / 重さ:100~150kg

恐竜界のスプリンターといわれているのが、白亜紀後期の北米大陸に暮らしていた「ドロミケイオミムス」です。その足の速さは時速60~70km以上ともいわれています。

その速さを生み出すのは、なんといってもその長い脚!体の割合に対する脛骨の長さが非常に長く、ダチョウやエミューに似た身体をしてることから、「エミューもどき」という学名がつけられました。

賢さ部門:トロオドン

全長:1.5~2m / 重さ:20~50kg

恐竜の中で最も頭がよかったと考えられているのは、白亜紀後期の北米大陸に生息していた「トロオドン」です。これは体の大きさに対して脳の容量の割合が恐竜界で最も大きいため。その比率の高さはなんと大抵の恐竜の6倍ほどともいわれています。

ちなみに映画「ジュラシック・パーク」でとても賢い恐竜として描かれている人気者ヴェロキラプトルとは近縁関係なんだとか。

おバカ部門:ステゴサウルス

全長:6~9m / 重さ:2.5~3.5t

逆に、最もおバカな恐竜だったのではないかと考えられているのは、ジュラ紀後期から白亜紀前期にかけて北米大陸や中国で生息していた「ステゴサウルス」です。なんと、全長6~9mほどの大きな体に対して、その大脳はクルミ程度の大きさしかなかったんだとか。

ちなみに、怪獣「ゴジラ」の背びれのデザインはステゴサウルスが元となっているそうですよ。

石頭部門:パキケファロサウルス

全長:3~5m / 重さ:不詳

最後にちょっと変わり種を。白亜紀後期に北米大陸で生息していたとされる「パキケファロサウルス」はその学名(分厚い頭のトカゲ)からもわかる通り、石頭恐竜として有名。

特徴的なドーム型に膨らんだ硬い頭部の骨はまさに石塊と言えるような代物で、その厚みはなんと約25cm!この頭部を激しくぶつけあい、儀礼的闘争を行うことで、群れ内部での順位を決めていたともいわれています。

ちょっとマニアック!?恐竜展を数倍楽しむ方法

恐竜展の目玉といえば、巨大な骨格標本。圧倒されるほど大きな復元骨格を見上げてその迫力を楽しめるのはもちろんですが、もっとマニアックに楽しむ方法はあるのでしょうか。

真実は化石にあり

恐竜を実際に見た人はいませんね。でも姿形、その生態までもが図鑑には載っています。これは化石を証拠として、古生物学者という名の探偵たちが行ってきた調査研究の成果なのだと千秋さん。

千秋さん「探偵もそうですが、最初から全ての証拠が出揃ってはいません。自ら証拠を探し出したり、また他の例から間接的な証拠を見いだしたりもします。これらからの推定が恐竜の姿です。もちろんこの後にも新技術によって新たな証拠が見つかることや、意外な分野から新たな知見を得られることもありますし、恐竜の姿はそのたび、変わっていくんです」

「いま定説として語られていることが、ひとつの発見で覆ってしまう」そういったどんでん返しをも楽しみつつ、恐竜の研究は進められているのだと千秋さんは言います。

小さなかけらの一つ一つに大きな謎を解き明かす証拠が詰まっている。そんなことを思いながら太古のロマンに思いを馳せてみると、いままで何気なく見てきた化石の楽しみ方も変わってくるかもしれませんね。

レプリカだってガッカリしない!化石標本の楽しみ方

博物館に展示されている化石標本の中には、オリジナルの化石をもとに精巧に作られた複製(レプリカ)も多く存在します。ワクワクしながら化石標本を見て、横に複製と書いてあるのを見て、「ニセモノか」とがっかりした経験がある人もいると思いますが、実は研究者にとっての価値は実物の化石と何ら遜色がないのだそうです。

千秋さん「化石はいわば一点モノ、この世にひとつしかない貴重なもの。研究者だったら特徴を観察したりサイズを計測したりしたい、普通の人でも貴重な化石を是非ひと目見てみたいと思うでしょう。でも、外国の博物館や大学などに収蔵されている化石の中には脆さからさらなる毀損を避けるためなどの理由で、門外不出の標本も数多いのです。このジレンマを解消するのが複製(レプリカ)なんです」

実物の化石にシリコンをかけて型を作られた複製は、サイズ的に寸分の違いもありません。さらに、技術の進歩で昔より精密さが格段にアップしていて、もう見た目で実物と区別がつかないぐらいなのだそうです。

滅多に見られない実物化石でないと意味がないのか、複製でも間近に姿形をつぶさに観察できるので良いとするのか。重きとするところは人それぞれですが、ものによっては購入も出来るのが複製品の魅力。自分でコレクションして、オリジナル博物館を作るなんていう楽しみもありますね。

全身骨格はよーく見比べて楽しむべし

恐竜展の魅力といえばやっぱり巨大な全身骨格!という人も多いと思いますが、実は恐竜の骨化石が揃って発見されているというのは、とても稀なこと。良くて6〜7割程度なのだそうです。

千秋さん「ない部分の骨は、他の骨から類推して復元します。例えば右側の骨があれば、左側の骨は作れますし。似た種類の恐竜を参考に補うこともあります。全身骨格はFRP(繊維強化プラスチック)などで作られた複製であることがほとんどですが、実際に発見されている骨と、復元された骨では、複製といえど表面のディテールには差があるんです」

全身格好良く展示されている骨格も、実際の骨をもとに作られたものは案外少ないのかもしれません。また骨格の作られた年代によっても品質に差があるそうなので、一つの全身骨格の骨一つ一つや会場の他の骨格と見比べてみるのも面白いかもしれませんね。

ワンランク上の恐竜展示の楽しみ方

恐竜展示をワンランクアップして楽しむためには「展示の意図するところを読み解くこと」がポイントです。

千秋さん「せっかく主催者もお金と手間暇かけての催事なのですから、単に眺める以上のことを得て欲しいはず。主催者の考えの表れが展示会ですから、主催者と展示を介して対話するがごとく、展示会を味わってください。一番の早道は展示図録を見たり音声ガイドを利用したりすることですね」

もちろん味わい方は個々人で好きで良いのですが、以下のような視点で見てみると楽しみ方が広がるのではないかと千秋さんはいいます。

目玉となる展示物 数ある展示物の中で目玉となるものはどれなのか、目玉になる理由は何なのか、目玉とそのほかの標本との関係について考えてみる
会場のレイアウト 会場全体のレイアウトとともに、それぞれの標本がなぜその位置に配置されてるのか主催者の意図を推測してみる
各標本の説明 説明パネルやキャプションのレイアウト説明書きの見やすさなどを見て、それがどんな客層を想定して作られているのか考えてみる
会場全体 ライティング、演示台のつくりや色彩・トーンの構成はどうなっているのか観察してみる

これらはあくまで一例ですが、「もし自分がこの展示を作るとしたら…」など、自分がプロデューサーになったつもりで展示を見ていくことでも、新たな発見が生まれるかもしれません。

千秋さん「回数をこなせば違いも見えてきますし、監修の先生や展示業者のクセが見えることもあると思います。そのクセをも楽しめるようになると、さらなる地平が見えてくることと思います」

知れば知るほど好きになる!恐竜の世界

映画を見て、恐竜イベントに足を運び、「こいつカッコイイな」「こんな可愛い恐竜がいたんだ」なんて思ったら、もうそれは魅惑的な恐竜の世界に足を踏み入れている証拠です。

知れば知るほど奥が深い恐竜の世界。恐竜好きはもちろん、いままでそんなに恐竜に興味がなかったという人も、これを機会にお気に入りの恐竜を見つけてみてはいかがでしょうか。

取材協力

福井県立恐竜博物館:日本の恐竜化石の8割以上が産出するという福井県勝山市にある国内最大級の地質・古生物学博物館。肉食恐竜フクイラプトルや草食恐竜フクイサウルスなど発掘調査で5種類の新種恐竜が見つかっている。国内から多くの方が訪れ、年間入館者が70万人を超える福井県を代表するスポットとなっている。

(image by 福井県立恐竜博物館)
(ライター:野口飛鳥)

このライフレシピを書いた人
Banner line

編集部にリクエスト!

「こんなライフレシピがほしい」や「ここがわかりにくかった」などをお送りください。