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私のものは夫のもの?弁護士が教える、夫婦間の犯罪のボーダーライン

結婚生活も長く続くと、相手の気に入らないところも多々見つかることでしょう。特に、趣味のものは場所を取るだけでまったく必要性が感じられないものが多いですよね。

そんな相手の持ち物を邪魔だからと壊してしまったり、ネットオークションで売ってしまったことはないでしょうか。

こういった夫婦の財産処分はもちろん犯罪となりうるものですが、じつは刑法上の免責を受け、処罰を受けずに済む場合と、免責を受けられず処罰されてしまう場合があります。

今回は夫婦間の犯罪が、どんな場合に処罰されるの?処罰されないの?についてご紹介します。

本記事は、2015年8月の情報をもとに執筆されたものです。

【基本】夫婦間だと免責される犯罪ってどんなもの?

夫婦間で行われた一部の犯罪行為は、刑法244条で、刑を免除するとされています。これは親族相盗例と呼ばれるものです。

(親族間の犯罪に関する特例)
第244条 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条の罪、第235条の2の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
2 前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
3 前2項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。

しかしすべての犯罪行為の刑が免除されるわけではなく、一定の犯罪に限定されています。

夫婦間の場合に免除される主な犯罪(未遂含む)

主な犯罪 窃盗罪 横領罪 詐欺罪 恐喝罪
条項 235条 252条 246条 249条
内容 他人の財物を相手の意思に反して持っていくことや使用すること 他人から預かっているものを横取りして自分のもののように処分すること 他人を欺いて財物を交付させたり、不法の利益を得たりすること 暴力を加えたり脅迫して相手に恐怖心を抱かせて、金銭その他の財物を交付させたり、不法の利益を得たりすること

このような犯罪は夫婦間であれば、刑法244条によって、犯罪にはなるものの、刑を免除するとされています。そのため、妻や夫が、相手のお金を盗んだり、騙して欲しいものを買わせたり、相手を脅迫してお金をもらったり、頼まれたおつかいのお金で自分の趣味のものを買ったりしても基本的には処罰はされません。

夫婦で、持ち物を奪って勝手に売ったり、騙してお金をもらったりする行為は基本的に処罰されない!
参考:西田典之「刑法各論 第6版」弘文堂; 第6版 (2012/3/15)

【注意】 夫婦間でも犯罪が処罰される行為って?

夫婦間の犯罪でも処罰されることはあります。刑法244条が適用される「窃盗の罪」、「横領の罪」、「詐欺・背任の罪」、「恐喝罪」に当たらなければ、犯罪として刑罰を受けることがあります。

夫婦間でも刑が免除されない主な犯罪

主な犯罪 住居侵入罪 私文書偽造罪 傷害罪 不同意堕胎罪 名誉毀損罪 器物損壊罪
条項 130条 159条 204条 215条 230条 261条
内容 正当な理由がないのに、他人の住居などに侵入したりすること 一部の重要な私文書について偽造、変造すること 人の身体に暴行するなどして傷害をおわせること 母親からの依頼も承諾もなく、堕胎させること 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損すること 他人の所有物または所有動物を損壊、傷害すること

このような罪は244条の適用がありません。そのため、夫婦で相手の持ち物を故意に壊す行為や、相手が所有している家やマンションなどに無断で侵入する行為、相手の持ち物をわざと壊したり、相手を暴行して怪我をさせたり、相手の名誉を毀損する行為などは、犯罪として処罰をうけることがあります。

参考:西田典之「刑法各論 第6版」弘文堂; 第6版 (2012/3/15)

具体的にどんなことをしたら犯罪になるの?

夫婦間の犯罪には、刑が免除されるものと刑が免除されない場合があるようです。では具体的にどんなケースの犯罪であると処罰されるのでしょうか?

勝手に配偶者の印鑑を持ち出して契約したとき

金融機関でお金を借りるときなど重要な契約のときに「配偶者の同意」が必要な場合があります。このときに無断で配偶者の印鑑を持ち出し、契約書に捺印すると「私文書偽造罪」にあたることがあります。

妻が同意していないのに流産させること

妻が妊娠してしまい、今はお金がなくて困ったという場合、妻の同意を得ずに流産させると「不同意堕胎罪」になる可能性があります。

相手の名誉を毀損する発言をすること

夫婦で相手に対して、言われもない中傷や、嫌味なことをいってしまうこともあるかもしれませんが、公然と相手の社会的評価を害する言動をすると「名誉毀損罪」に当たることがあります。夫婦喧嘩の延長だとしても、それだけは言ってはダメなことはいわないことが大切です。

相手の趣味のブランド品バッグやゲーム機を故意に壊す

夫婦でも理解のできない趣味もあるでしょう。しかし、邪魔だからといって相手の同意もなく、わざと壊してしまうと「器物損壊罪」になることがあります。

また、もし夫婦間でこのようなトラブルが起きたとしても、現実には相手が告訴状を出さなければ、罪に問われないことも多くあります。謝って済みそうなら謝ることが効果的です。

また、相手への恐怖で告訴することができないという場合は、弁護士などの法律の専門家や警察に相談してみることが重要だと思われます。

告訴状を出される前に解決することがベスト!
被害を受けたら、弁護士や警察に相談することもできる

夫婦の問題であったとしても、辛いものは訴えることが大切

夫婦間の問題であれば、刑が免除される犯罪もあります。とくに、相手の財産についての犯罪は夫婦であれば、謝って済むこともありますし、償う方法もあります。

しかし、身体や名誉に対する侵害はたとえ夫婦であったとしても再発を防止する必要があります。暴行、傷害などの再発を防止することができず、中にはエスカレートして取り返しのつかない事態になってしまうケースもあります。夫婦間の問題といえども、ときには法律の力を借りて対応することが必要です。

記事監修

アディーレ法律事務所・正木裕美先生:愛知県出身・愛知県弁護士会所属。男女トラブルをはじめ、ストーカー被害や薬物問題、ネット犯罪などの刑事事件、労働トラブルなどを得意分野として多く扱う。身内の医療過誤から弁護士の道へと進む。

(image by amanaimages 1 2 3 4)

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