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固定資産税6倍…!?知っておきたい「空家対策特別措置法」の基礎知識

空家を所有している人は注意が必要です。

日本の空家率は増加の一途であり、地方だけでなく都内でも空家が増加しています。空家は老朽化により崩壊することもあるだけでなく、火災や違法占拠者による治安の悪化に繋がることもあるそうです。そのため国会は「空家等対策の推進に関する特別措置法」(いわゆる「空家対策特別措置法」)を成立させました。

実は、この新しく成立した「空家対策特別措置法」により空家の所有者または管理者(「所有者等」)には大きな負担が課せられることになっています。

今回は「空家対策特別措置法」とは一体どんなもの?についてご紹介します。

本記事は、2015年8月の情報をもとに執筆されたものです。

空家対策特別措置法ってどんなもの?

空家対策特別措置法とは、一定の要件を満たす「特定空家等」(とくていあきやとう)の所有者等に対して市町村長が撤去や修繕などの必要な措置を講じるよう助言・指導、勧告、命令を順に行い、命令に従わなかったり、立入調査を拒んだ者には過料の制裁を与えたり、行政代執行により、行政が空家の撤去など必要な措置をとれるようにした法律です。

そのため、空家であっても「特定空家等」に当たらない空家は、立入調査等がされることはありますが、命令、過料や行政代執行等の適用は除外されます。

「特定空家等」にあたる空家が「空家対策特別措置法」の行政代執行等の対象になる

「特定空家等」ってどんな状態の空家なの?

国土交通省が定める「特定空家等」の基準は大きく4つあります。

1:そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態

そのまま放っておくと倒壊したり、事故が起こるという場合には「特定空家等」になります。例えば、このような状態が挙げられます。

  • 「建物が倒壊しそう」「屋根や外壁が崩れそう」といった建物。
  • 高台にある家の擁壁(家の地盤が低地に崩れ落ちないように支える壁)が老朽化し崩壊しそうになっている場合。

放っておくと倒壊したりする建物や、地盤を支える擁壁が崩壊しそうになっている建物のこと。

2:そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態

空家によって地域の環境に悪影響を与えている場合に「特定空家等」になる可能性があります。このような場合が挙げられます。

  • 建物や設備の破損等により、アスベストが飛散し暴露する可能性が高い。
  • 汚物の流出、臭気の発生があり、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている。
  • ごみ等の放置、不法投棄が原因で多数のねずみ、はえ、蚊等が発生し、地域住民の日常生活に影響を及ぼしている。

など

地域住民の健康上有害であったり、衛生上の影響がある状態のこと。

3:適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態

管理がなされないことにより、既存の景観ルールに著しく適合していなかったり、街の景観を著しく損なっている状態にある場合は「特定空家等」になりえます。

具体的にはこのような場合が挙げられます。

  • 屋根、外壁等が、汚物や落書き等で外見上大きく傷んだり汚れたまま放置されている。
  • 多数の窓ガラスが割れたまま放置されている。
  • 立木等が建築物の全面を覆う程度まで繁茂している。
  • その他、地方自治体が定める景観計画に著しく違反したもの

など

落書きや汚物で汚れた建物やガラスが割れたまま放置された建物のこと。または、景観計画に適合しない建物。

4:その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

その他、地域住民にとって有害で、放置しておくわけにはいかない空家は「特定空家等」になることがあります。たとえば、

  • 立木の枝等が近隣の道路等にはみ出し、歩行者等の通行を妨げている。
  • 門扉が施錠されていない、窓ガラスが割れている等不特定の者が容易に侵入できる状態で放置されている。
  • 侵入した動物のふん尿その他の汚物の放置により、臭気が発生し、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている。

などです。

空家を持っているとどんなことが起こるの?

「空家」に行政が立入調査を行う

空家を持っていると、この法律により市町村長は職員に空家へ立入らせることができるとされているので、所有者に通知を行ったあとに立入調査がされることがあります。この調査によって「特定空家等」と判断されてしまうことがあります。

市町村から空家の修繕もしくは撤去を要請される

所有する空家が「特定空家等」とされた場合、「特定空家等」の所有者は、市町村長から空家の修繕もしくは撤去など必要な措置を講じるよう、助言・指導や勧告がされ、勧告に従わないと命令の通知が来ることがあります。

命令を無視すると行政に壊されることも

命令を無視したり、期限内に十分な措置が取られない場合には、行政代執行を行うことが通知され、行政に空家を壊されることもあります。代執行にかかった費用は所有者に請求されてしまいます。

税金の負担増もある

また通常は、固定資産税等の住宅用地特例によって、土地に住宅が建っていれば、土地にかかる固定資産税は、最大6分の1に、都市計画税は最大3分の1に軽減されます。

しかし、「特定空家等」とされて勧告などを受けた場合、空家の敷地はこの軽減措置の対象外になります。その結果、空家のある敷地に対する課税が更地と同じになるので、固定資産税は今までの6倍になることもあり、税金の負担は大幅に増えてしまいます(土地の面積によって異なる)。

放っておくと空家は行政に壊されたり、土地への税金が大幅に増税される!

空家対策特別措置法でどんな効果があるの?

「空家対策特別措置法」により、市町村長は所有者に「特定空家等」の修繕・解体等の必要な措置を要請したり、代執行で所有者に代わり壊してしまうことができます。

しかし、「特定空家等」とされる空家が市町村内にたくさんあったり、撤去にお金がかかる空家がある場合には特定空家を解体する費用が市町村の財政を圧迫することが考えられます。そういった場合は、国や都道府県が市町村の対策に必要な費用を補助したり、地方交付税を拡充するなど、財政上の措置がとれることになっています。

空家を再利用することも

市町村は空家等対策計画の中で、代執行で空家を解体せずに市民の滞在施設や博物館などの展示施設として再利用したり、解体した空き家の敷地を公園として利用したりすることもあります。

知らない空家について「撤去するよう通知」が来たらどうすればいいの?

「まったく知らない空家」や「自分以外の人が所有する空家」について突然、撤去するよう通知が届くこともありえます。例えば家と土地をすでに売ったはずなのに、登記がされていないために真の所有者のもとに通知が届かなかった可能性もあります。

そんな場合は、空家について通知があった時点で早急に市町村に連絡し、所有者でないことを明らかにする必要があります。場合によっては処分の差止めなどを求める裁判を行わなくてはならなくなることもありえますので、間違った通知だからと無視せず、しっかりと対応する必要があります。

このような問題が起きたときは、弁護士などの法律トラブルの専門家に相談をすると事情に合わせた解決策を提示してもらえます。

負担の少ない空家の管理とは?

空家を所有する人は空家が「特定空家等」に当たらないようにするため、改修工事をしたり防犯管理に気をつけなくてはなりません。しかし、空家を管理をするための時間を取るのはなかなか難しく、負担になることもあるでしょう。

そういった場合は、空家管理代行サービスを利用することが望ましいと考えられます。

空家管理代行サービスを利用しよう

空家の管理を所有者に代わって行う空家管理代行サービスが全国で広がっています。

空家管理代行サービスは以下のような業務を希望する度または月一回ほどのペースで行います。

  • 通気管理
  • 雨漏り確認
  • 清掃(内部清掃、外部清掃)
  • 通水

こういった家の維持をする上で欠かせないことに加え、業者によってはオプションで警備もおこなってくれるようです。

相場は一回あたり5,000〜7,000円ほどのようです。

市町村の空き家バンクを利用して賃貸・売買しよう

市町村によっては「空き家バンク」と呼ばれる空家の賃貸や売買の仲介をするサービスがあります。

所有する空家を空き家バンクに登録することで、市町村を通して移住希望者に空家を貸したり、売ったりすることができます。空き家バンクの登録は無料ですが、移住希望者との仲介を宅建業者に任す場合は別途お金がかかります。

このように持て余した空家を清算できる空き家バンクですが、通常、人が住めないような老朽化が著しいもの又は大規模な修繕が必要なものは「空き家バンク」に登録できないことになっています。また、民間の不動産業者に仲介を依頼しているものも対象外です。

「空き家バンク」を実施している市町村で空家を所有している方はこれを利用してみるのが、最も金銭的な負担が少ないかもしれません。

一般社団法人 移住・交流推進機構「空き家バンク・住まい」

空き家の管理に気をつけよう

地方だけでなく、都内でも広がる空家問題。空家対策の法律ができたことで、国だけでなく地方自治体の空家対策はますます厳しくなっていくことが考えられます。

人口減少に伴い空家の持ち主になる方がますます増加することは避けられません。将来的に空家を所有することが想定される環境にいる方は、ぜひとも早めの対策に乗り出すことが重要になると思われます。

記事監修

アディーレ法律事務所・正木裕美先生:愛知県出身・愛知県弁護士会所属。男女トラブルをはじめ、ストーカー被害や薬物問題、ネット犯罪などの刑事事件、労働トラブルなどを得意分野として多く扱う。身内の医療過誤から弁護士の道へと進む。

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(image by 筆者)

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