\ フォローしてね /

家入一真が語る「相談に乗るコツ」

友達に人間関係について、同僚に仕事での悩みなど、身近な人から相談を受けたことがある人は少なくないでしょう。しかし、悩んだり傷ついたりしている人を前に、あまり気の利いたことが言えなくて「自分は相談に乗るのは苦手だ……」と落ち込んでしまう人もいるのでは?今回は株式会社ximera代表取締役で、若者からの相談に乗ることも多い家入一真さんに「相談に乗るコツ」を聞いてきました。意外にも家入さんは「自分から何か言おうとは考えず、興味をもって話を聞くこと」が相談に乗るコツだといいますが、その真意とはなんなのでしょうか。

「ちょっと聞いてほしいことがあるんだけど…」「相談してもいい?」職場の同僚や友達から相談を持ちかけられることは珍しいことではないはず。

ただ、相手の力になってあげようとしても気の利いた言葉が出てこない。色々考えすぎて話を聞いているうちに自分が疲れてしまったなんてことはありませんか?

今回は、連続企業家という肩書きを持ちながら、Twitter・LINE・Facebook・ツイキャスなどのツールを使って若者たちから様々な人生相談を受け付けていることでも有名な家入一真さんに、「人の相談に乗り方」についてお話を伺ってきました。

かつては引きこもりだった家入さん。実はいまだに人と話をするのは苦手なんだそうです。そんな彼が人の話を引き出すコツとは一体…よく人から相談を受けるという人はもちろん、人と会話するのが苦手という人も必見です!

本記事は、2015年9月の取材情報をもとに執筆されたものです。

相談に乗るときの基本姿勢

実は人の相談を受ける上で、話をすることが上手いとか、気の利いたアドバイスができるかどうかはあまり重要ではありません。実際、数多くの人の相談を受けている家入さんも上手く話ができるタイプではないといいます。

家入さん「人と接することへの苦手意識はありますよ。すっごいあります。それに僕あまり喋ることが得意ではないというか、あまり喋りがたつ方ではないので、人との会話では基本的に聞く側。相手に喋ってもらえば時間も持つし…聞くに徹することが多いんです」

相手に話してもらって聞くに徹する姿勢になるためには、まずその人がどんな魅力を持っているのか相手に興味を持つことだと家入さんは言います。

家入さん「人間の魅力って、その人の奥の方にあるネガティブな部分がひずんだ形でつながっていることが多いので…とにかくその人の色んな事を質問していくんですね。その中でふと人間臭いドロっとしたものが出てくる瞬間を垣間見たときに、あぁー出た出たって嬉しくなる。やっぱりこの人いいなぁって思えるというか」

気の利いたアドバイスをしようなんて身構えると、相談に乗っている自分の方が疲れてしまいます。まずは、とにかく相手に興味を持って相手を知ろうとすることが大切なんですね。

相談の基本姿勢は、自分から何か言おうとは考えず、相手に興味をもって話を聞くこと

人の話を引き出すコツはノーガード戦法

相談に乗るときのキモは相手に興味をもって、とにかく相手の話を聞くに徹すること。ただ、これって、簡単なようでいて実はなかなか難しい…。家入さんによると人の話を聞くコツ・人の話を引き出すコツはノーガード戦法にあるといいます。

自分はダメ人間だとさらけ出す

家入さん「人と接するときには自分はダメ人間だってことを前提として全て見せていきますね。常に自分のネガティブなところとかも含めて全部だしちゃってるので。そうすると相手も自分をさらけ出しやすくなるっていうのはあるかもしれない」

人と話をするときに、皆自分を良く見せたいと背伸びしすぎていると感じることが多いと家入さんは言います。

家入さん「もちろん、成長するために背伸びが大事なときもあるんですけど、やっぱり疲れるんですよね。僕は疲れることがあまり好きじゃなくて…皆もそんなに疲れなくてもいいんじゃないかなって思っちゃう。だから、別に上から言ってるんじゃないんですけど、もう疲れなくてもいいんじゃない?って言っちゃいますね」
相手に自分をさらけ出してもらうには、まず自分から

僕には聞くことしかできない

人の話を引き出す最大のコツはノーガード戦法。「自分はあなたの話を聞いてどうこうしたいわけじゃないよ」という態度を示すのだそうです。

家入さん「逆に言うと聞くぐらいしかできないんですよ。聞いたところで上手いアドバイスができるわけじゃないし、自分が特別何かやってあげるよなんていうことも思ってない。だから基本的に人の話に対して否定もしないし、自分の意見を押し付けることもしないんですよね。それでもよかったらとりあえず話してみなよって」

相手には「聞く」ということ以外の他意がない、そして相手の中に答えを見出せない。そう思うからこそ、相談する方も自分の中にあるものをとにかく吐き出そうとするのかもしれないですね。それが結果的には話を引き出すことにつながると。

家入さん「そうですね。時には話が広がって、最終的になんの相談だったのかわからなくなっちゃうこともよくあるんですけど、別にそれはそれでいいのかなって思ってるところはありますね」
とりあえず話を聞くだけ。自分が何かしてあげようなどと考えないこと

アドバイスを求められたら

家入さんのもとに何か答えやきっかけを求めて相談を寄せてくる人の多くは、学生・就活生・社会人経験の浅い若者たち。彼等からアドバイスを求められたときに前提として伝えている4つのことがあるのだそうです。

その4つのポイント、相談を受ける側だけでなく、相談する側も参考になりそうです。

1.人は自分の人生からしかアドバイスはできない

人の成功談を聞いて勇気づけられたり、人の失敗談を聞いて不安になったり…悩んでいるときにはどうしても他人の話に自分を重ね合わせて同調してしまいがち。ですが、他人の体験に自分を重ね合わせることに意味はないといいます。

家入さん「僕は学校を辞めて、起業してたまたま上手くいった。だから、『学校なんて行かなくてもいいし、就職しなくていい』って言い方をするときもありますけど、10年間企業で働いて独立した人なんかはきっと『一回くらい就職した方がいい』ってアドバイスするのでしょう。そこに正解なんてないんです」

2.基本的に大人は疑え

とにかく答えを見つけたいがあまりに色々な大人に手当たり次第に相談しては、振り回されたり裏切られたりして、余計に深く沈んでしまう子たちをたくさん見てきたという家入さん。

家入さん「僕も含めて基本的に大人は自分の都合のいいことしか言わないですからね。いろんな大人の言うことを全部聞いて余計に悩んでいるうちに時間だけが過ぎていって、最終的に自分が何をやりたいのかわからなくなってしまった…ということでは、すごくもったいないです」

3.人に依存してはいけない

人は誰かに自分の答えを見つけてもらおう・教えてもらおうとすると、いざ自分の思い通りのリターンがなかったときに余計に迷子になって辛い思いをしてしまう。だから、最終的に答えを見つけるのは自分自身しかいないということは必ず伝えると言います。

ちなみによく人を指導するときの指針として「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」という老子の格言が挙げられますが、家入さんのポリシーはさらに相手の自主性に任せるもののようです。

家入さん「基本的に僕からなにか答えを与えることはしないですね。魚も与えないし、釣り方も教えない。言ってしまえば、僕はあっちの方で釣りするけど、興味あったら来る?って声かけるくらいの感じですね。ついてきたからといって全く釣れない可能性もあるけどね、くらいのスタンスなんです」

4.逃げるのは悪いことじゃない

あまり人にアドバイスはしないという家入さんですが、限界ぎりぎりまで悩みに真正面から向き合い続ける人に対して、時として過剰なまでに訴えることが一つだけあるといいます。それは「逃げろ」ということ。

家入さん「みんな、無理矢理にでも立ち向かおうとしちゃうんですよね。立ち向かうことが前提というか。でも往々にして、『それ別に闘うことないじゃん?』っていうことってあると思うんです」

「僕たちはライオンやチーターじゃなくてネズミのような小動物だ」と家入さんは言います。

家入さん「ライオンやチーターを目の前にして、立ち向かっていくネズミなんていないですよね。むしろ気配を感じた時点で真っ先に逃げるじゃないですか。動物だって生存戦略の一つとして『逃げる』っていう防衛本能を持っているのに、人間だけは大きな壁を見ると立ち向かえって言うんですよね。それって間違ってるよなって」

つまり、最後に決めるのは自分

上の4箇条に共通するのは「人の話を鵜呑みにせず最終的には自分で決断せよ」ということ。

人からもらった答えの先で大きな壁にぶち当たったとしたら、どこかで責任転嫁をしたくなります。信じたうえで裏切られたとしたら、傷つき、過去の自分を恨みたくなります。

つまり、人に何か答えを求める・自分の決断をゆだねてしまっては、ゆくゆく自分の首を自分で絞めることにもつながりかねないということ。最終的に自分の頭で考えて導き出した答えのみが自分に自信を与えてくれるのではないでしょうか。

人と一緒に歩んでいくコツ

家入さんのもとには日々多くの若者がやってきて、成長し、巣立っていきます。ただ、それは決して彼等を育てているのではなく、むしろ彼等から学ぶことの方が多いという家入さん。

相談を受けることで、相手だけでなく自分も成長できたら最高ですよね。それでは、人と共に歩み、成長していくための相談のコツとは一体なんでしょうか?

家入さん「いいこと言わなきゃ、手本にならなきゃといったことは全く考えないですね。むしろこんなこと言ったら恥ずかしいとか、バカにされるんじゃないかってことまで全部相手に伝えて、ダメ人間っぷりも全部さらけ出していく。そうすると『この人、全然頼れないから自分がしっかりしなきゃ』ってなるんですよね」

自分自身が背伸びをしないことで、自然と相手も自力でどうにかしなければならないという意識が生まれる。その結果、自然と相手の成長を促すことができるんですね。

家入さん「考えを上からただ伝えるっていうことはしないですね。何にしても、一緒に考えようよ、と言います。そのために常に自分も多数の中の1人なんだということを意識しています」

相手に何かしてあげようとは思わないこと

「少しでも相手の力になってあげよう」
「なにかいいことを言ってあげなきゃ」

人の相談に乗るとき、ついつい私たちはこう思ってしまいがち。でも、実はそんなことを思って気張る必要は全くないのです。むしろ、人を救ってあげようなんて思ってしまうことの方がおこがましいのかもしれません。

ただ自分はここにいるからなにかあったら声でもかけてね。それくらい気軽なスタンスで向き合うことが、相談する方・される方ともに、心地の良い距離感なのではないでしょうか。そして、お互いに高め合える関係を築くことができたら最高ですね!

今回お話を伺ったのはこちら!

家入一真さん

1978年生。福岡県出身。株式会社ximera代表取締役。

2003年ペパボことpaperboy&co.を創業(現:GMOペパボ株式会社)。ペパボ退任後は連続企業家として「CAMPFIRE」「BASE」などのウェブサービスを立ち上げ、取締役に就任。2014年には東京都知事選挙へ出馬。また、悩める若者の立場に立ち、現代の駆け込み寺「リバ邸」や「深夜のお悩み相談」などを精力的に展開している。 著書に『我が逃走(平凡社刊)』など。

(image by nanapi編集部)
(ライター:野口飛鳥)

このライフレシピを書いた人

編集部にリクエスト!

「こんなライフレシピがほしい」や「ここがわかりにくかった」などをお送りください。