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「芸能人を見た!」ってネットに書くのは違法?弁護士さんに聞いてみた

芸能人と一般人では、有する権利に違いがあります。芸能人には特有の「パブリシティ権」があったり、プライバシーの範囲も一般の人よりもせまくなっているのを知っていましたか?ネットが発達したことで、最近では誰でも簡単に情報を書き込めるようになりました。しかし、もし芸能人を相手に誹謗中傷などの違法性のある書き込みをしてしまうと、裁判で多大な賠償金を請求される恐れもあります。そんな思わぬ落とし穴にはまってしまわないように、アディーレ法律事務所の弁護士・篠田恵里香先生に、「芸能人の権利問題」について詳しく教えていただきました!

街なかで芸能人を見かけたら、つい嬉しくなって「◯◯さんがどこどこにいた!」と、ツイッターなどで自慢したくなりますよね。でも、いくら相手が芸能人だからといって、プライベートをネットに書き込んでしまったら、プライバシーを侵害してしまうのでは…?

そんな疑問が浮かんだので、弁護士法人アディーレ法律事務所の弁護士・篠田恵里香先生(以下、篠田先生)に「芸能人の権利問題ってどうなってるの?」というテーマでお話を聞いてきました!

本記事は、2015年9月の取材情報をもとに執筆されたものです。

芸能人と一般人の権利の違い

芸能人の権利侵害といえば、週刊誌によるデート現場のパパラッチなど、新聞・雑誌やテレビといったマスメディアによるものが大半を占めていました。ですが最近では、一般個人がネットに書き込んだ内容がトラブルにつながるケースも増えています。

ネットのトラブルで罪を問われる場合

ネットでの書き込みが罪に問われたり、賠償責任を負う場合、一般的には大きく4種類にわけることができます。

  • 名誉毀損罪
  • 侮辱罪
  • プライバシーの侵害
  • 肖像権・著作権の侵害

詳しくはこちら!

芸能人特有の「パブリシティ権」とは?

しかし、相手が芸能人の場合には、「パブリシティ権の侵害」に問われることもあります。

「パブリシティ権」とは、芸能人や著名人の氏名・肖像などが持っている経済的な価値を、本人が独占する権利のことをいいます。

たとえば、有名アイドルの名前や写真を使って商品のプロモーションをした場合、その商品はアイドルを起用しなかった場合よりも大きな利益を上げることでしょう。そのような芸能人・著名人特有の「顧客吸引力」を勝手に使われてしまうことは、彼らにとって大きな利益損失となってしまいます。

そこで、芸能人らには氏名・肖像などが勝手に使用されないよう、「パブリシティ権」が認められているのです。

パブリシティ権は、個人の人格的利益を保護するための「人格権」のひとつとされています。

芸能人は「プライバシーの範囲」が狭い!

芸能人と一般人とでは、「プライバシーの範囲」にも違いがあります。プライバシーは法律上「私生活にまつわる事実」といわれていますが、一般人の場合は私生活をほかの人に知られるいわれもないため、プライバシーの範囲が広く設定されています。

しかし、芸能人の私生活については多くの人が関心を寄せているため、プライバシーの範囲が一般人と比べてとても狭くなっているのです。

篠田先生「芸能人は 『プライバシーを一定程度放棄している』などと言われることもあります」

「芸能人を見た!」という書き込みはアウト?

では、街なかで芸能人を見かけて「◯◯さんがどこどこにいた!」とネットに書き込むことは、はたしてプライバシー侵害なのでしょうか?

篠田先生「純粋な私生活の暴露は、基本的にはプライバシーの侵害にあたるので、芸能人側は書き込み主を訴えることができます。ですが、それによって慰謝料がいくらになるかは、なんとも言えません」

目撃情報の書き込みもプライバシーの侵害にあたりますが、そうはいってもそこまで悪質な侵害だとは言えません。そのため、裁判を起こしたとしても、慰謝料が認められる可能性はかなり低いのだそうです。

無断撮影した写真の利用は、肖像権やパブリシティ権の侵害にも

実際多くの芸能人は、単なる目撃ツイートなどには比較的寛容です。しかし、勝手に写真撮影されることに対しては、苦言を呈している芸能人も少なくありません。

過去には、歌手のきゃりーぱみゅぱみゅさんが、ファンに無断撮影されたことについて、「一度写真撮影を断ったのに、それでも勝手に撮影されてしまって悲しい」という内容のツイートをして、ネットで話題になりました。

芸能人を見かけて、つい舞い上がって写真を撮ってしまうファンに悪意はないのでしょう。しかし、そうした行為が芸能人に不快感を与えているかもしれないという認識を忘れないようにしましょう。

勝手に写真を撮って利用しようとする行為は、悪質な場合、パブリシティ権の侵害にもつながります!

過去にあった、芸能人の権利侵害にまつわるトラブル

松本人志さんのケース

お笑い芸人のダウンタウン・松本人志さんが、アダルトビデオをレンタルする様子を映した防犯カメラの映像を週刊誌に掲載されたことで出版社を訴えました。この裁判の結果、プライバシーの侵害が認められ、東京地裁は出版社に90万円の支払いを命じています。

いくら芸能人のプライバシー範囲が狭いといっても、プライバシーが一切ないわけではありません。このように悪質な事例においては、プライバシーの侵害はもちろん認められます。

土屋アンナさんのケース

モデルで女優の土屋アンナさんが、出演予定だった舞台のプロデューサーともめたことで、公演が事前キャンセルになるというトラブルが起きました。さらに、そのことに立腹した舞台プロデューサーは、土屋さんを連想させる「ANNA」というタイトルの楽曲を発表。それが名誉毀損にあたるとして、土屋さんサイドから1,000万円の損害賠償を求める訴訟が起こされました。

歌詞はANNAという女性を侮辱するような内容で、youtubeで流された映像には「実在の人物は無関係」というテロップが出されてはいました。しかし、この場合は誰がどう見ても土屋さんのことではと感じるでしょう。

このように、たとえ名前を伏せたり「その人のことではない」と否定していても、第三者から見て明らかに本人だとわかるような形で中傷した場合は、名誉毀損などが認められる可能性もあります(※2015年8月現在、こちらの裁判は継続中)。

訴えられた場合の慰謝料は?

では、芸能人に対する侵害行為が認められた場合、どの程度の慰謝料が発生する可能性があるのでしょうか?

昔は、芸能人に対する名誉毀損やプライバシー侵害行為は雑誌によるものが多く、情報が人目にさらされる恐れもそこまで大きくありませんでした。そのため、賠償金額は100万円以内のものがほとんどだったそうです。

ですが、ここ5〜10年ほどでインターネットが急速に普及し、マスメディアのかたちも多様化したため、情報の広がり方が大きく変化しました。仮に小さな週刊誌で侵害行為があったとしても、その読者がネットに書き込まれる、他のメディアにおいて拡散される、といったように、二次的な拡散が可能になったのです。

知られたくないプライバシーなどについては、「どれくらいの範囲にその情報が広がったか」という部分や、「仕事にどれだけ悪影響を与えたか」なども考慮して慰謝料は算出されます。なので、ここ最近は300万〜500万円の慰謝料が認められる事例も多くなっているのだそうです。

篠田先生「状況次第ではありますが、芸能人への権利侵害に対する慰謝料額は、今後さらにあがっていく可能性もあるでしょう」

芸能人のことをネットに書くときは要注意!

私生活の情報ひとつでお茶の間をにぎわすことのできる芸能人。人気商売ゆえに、多少のトラブルに巻き込まれても「まあ有名税だし仕方ないよね」と片付けられてしまうことも少なくありません。しかし、相手が芸能人だからといって権利侵害にあたる行為におよんだ場合、訴えられて高額な慰謝料を請求されてしまう可能性もあります。

芸能人のことをネットに書き込むときには、くれぐれも「その書き込み内容が侵害行為などの問題をはらんでいないか」ということに注意するようにしてください。

取材協力

アディーレ法律事務所・篠田恵里香先生:東京弁護士会所属。債務整理をはじめ、男女トラブル、交通事故問題などを得意分野として多く扱う。離婚等に関する豊富な知識を持つことを証明する夫婦カウンセラー(JADP認定)の資格も保有している。多数のメディア番組に出演中。

(image by photo AC1 2 3)

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