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銀座のバーテンダーに聞く、ワンランク上のBARの楽しみ方

「お酒を飲まず雰囲気を楽しむ」「隣に居合わせた客と会話を楽しむ」などなど。夜ごとに集まるBARの常連客は、各々こだわった楽しみ方をしているといいます。自分なりの楽しみ方がわかれば、BARライフはもっと充実するはず。そこで今回は銀座の現役女性バーテンダー・岡崎ユウさんに、お店と良い関係を築くためのマナーから、こだわりのオーダー方法、行きつけのBARを増やす方法まで、ワンランク上のBARの楽しみ方についてお話を伺ってきました。

仕事帰りに一人ふらっとBARに立ち寄り、お気に入りの一杯で疲れを癒す。夜な夜な行きつけのお店に集まるBARの常連客達は、自分なりのこだわりを持つことでその楽しみ方を何倍にも広げているといいます。

そこで今回は国内外数々のバーテンダーコンペティションで優勝した経験をお持ちで、銀座の「BAR AVANTI」のオーナーでもある岡崎ユウさんに直撃取材!

お店と良い関係を築いていくために心得ておきたい作法から、常連さんのBARでの過ごし方、こだわりのオーダーの仕方まで、ワンランク上のBARの楽しみ方を見つけるヒントが満載です。

本記事は、2015年9月の取材情報をもとに執筆されたものです。

「常連」とは

なかなか定義することが難しい「常連」という言葉。何をもって常連であると言えるのでしょうか。

バーテンダーの思う「常連」の定義

岡崎さんの思う「常連客」とはどのようなお客様のことですか?

岡崎さん「何回か来店してお店の雰囲気を感じ、バーテンダーと会話を重ねていくうちに、そのお店のスタイルや暗黙のルールなどが自ずと見えてくるもの。それらを理解したうえで通ってくれる方が常連様なのだと思います」

一言で表すとすれば、常連とは「お店とお客様がお互いのことを理解しあっている関係」のこと。意外なことに、判断基準になりやすそうな来店回数や頻度などは重要ではないのだそうです。

岡崎さん「重要なのはお店とお客様の間に信頼関係が生まれているかどうか。週に一回コンスタントにいらっしゃる方でも、一年に一回決まった時期にしかいらっしゃらない方でも、お互いが思い合っていれば大切な常連様に変わりありません」

常連のメリット

なんとなく「常連」という響きには憧れますが、常連になると具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは2つ紹介します。

  • お店主催の様々なイベントに参加できる

岡崎さんによると、BBQ、蒸留所ツアー、鍋パーティーなど、お客様と楽しむ様々なイベントを定期的に開催されているBARも多いのだそう。そのイベントに参加することによって他の常連客との交流の輪も広がり、おひとりさまでも来店しやすくなるのだとか。

  • 自分の好み・飲み方が把握されている

バーテンダーがお酒の好みや飲み方を把握してくれているというのも、常連客のメリットの一つ。いつもよりお酒のペースが早かった場合などは、すっと水を差しだしたり、タイミングを見計らって帰宅を促したりと、バーテンダーがペースコントロールをしてくれることも多いのだそうです。

目指すは粋な常連客-また会いたいと思うお客様とは-

せっかく居心地の良いBARを見つけたのだったら、お店やバーテンダーさんとより良い関係を築いていきたいもの。バーテンダーにまた会いたいと思われるお客様とは、どのようなお客様なのでしょうか

自分の飲み方を知った上で楽しめる人

どんなときでも自分のお酒の飲み方を守りつつ、BARという空間を楽しめるのが良いお客様の共通点であると岡崎さんは言います。

岡崎さん「楽しいときも辛いときも口にしたくなるのがお酒。それを扱う立場としては、どんな気持ちでお酒を求めてきても最終的に『今日は来てよかった』と来店時よりも晴れやかな顔で帰られるお客様を目にすると、やはり嬉しくなりますね」

たとえ嫌なことがあっても、お酒に飲まれて人に絡むなんていうことをしてしまっては、お酒に対してもバーテンダーに対しても失礼です。自分のペースや飲み方を知ったうえで、上手くお酒やBARと付き合っていきたいものですね。

お店を一緒に育ててくれる人

常連客ともなると、単なるお客様の粋を超えてお店側の視点を持って気遣いをしてくれる方もいらっしゃるのだとか。

岡崎さん「混雑したお店にやってきた新しいお客様にすっと自分の席を譲ってくれる、そんな常連様ならではの気遣いには粋を感じましたね」

「自分はいつでも来れるんだから」と言いながら帰っていき、その言葉通り次の日にまたふらっと来店する。そんな大人の気遣いができる常連さんになれたら素敵ですね。

困ったお客様にならないために-こんな行動はNG!-

いくら居心地がよいお店でも、羽目を外し過ぎるのは考え物です。こんな行動、身に覚えはありませんか?

まるで水のようにお酒をあおる

BARはバーテンダーとの会話や空間の雰囲気を楽しみながらゆっくりお酒を嗜む場所です。水のようにお酒をあおった結果、カウンターに突っ伏して寝てしまう…なんて姿には目も当てられませんね。お酒の種類にもよりますが、早くても20分に1杯のペースを目安と考えましょう。

誰彼構わず他のお客様に絡む

カウンターに居合わせた人との交流を楽しむのもBARの醍醐味の一つ。とはいえ、一人でゆっくりとお酒を楽しみたくて足を運んでいる人もいることを忘れてはいけません。酔った勢いで絡んでいくのはやめましょう。

閉店時間を気にしない

いくら居心地が良いとはいえ、BARは自分の家ではありません。いつまでも長居するのは考えもの。深夜帯に訪れる人の中には、閉店時間を過ぎても始発の時間まで居座り続ける人もいるんだとか…。あくまでBARは「大人の社交場」であることを忘れず、ちょっと名残惜しいなと思うくらいの時間で引き上げるのがスマートです。

無断で写真を撮る

初めて飲んだカクテルの名前を覚えておきたい、綺麗なカクテルをSNSにUPしたい、そんな思いからついついスマホのシャッターを押したくなる気持ちはわかりますが、ちょっと待って!中には写真撮影がNGのBARもあります。もし写真が撮りたくなった時には、バーテンダーにひとこと確認をとりましょう。

常連客に学ぶワンランク上のBARの楽しみ方-BARは雰囲気を楽しむ場所-

お酒はもちろんですが、バーテンダーとの会話、お店の雰囲気、そういったものを全部ひっくるめた「空間」を楽しめるのがBARという場所です。慣れてきたら、自分なりの楽しみ方を見つけていくのはいかがでしょうか。

ノンアルコールでも楽しめる

BARはお酒を楽しむ場所。もちろんそれは間違いではありませんが、最近ではお酒を飲まずにBARの空間を楽しむ人も増えているんだとか。

岡崎さん「実際、常連のお客様の中にはお酒が全く飲めなくても、この雰囲気が好きだと言って通ってくださる方もいらっしゃいます。一人一人違った楽しみ方ができるのもBARの魅力ですね」

ソフトドリンクだけでももちろん大丈夫ですが、最近では目の前でバーテンダーがシェイクしてくれるノンアルコールカクテルが充実しているBARも増えています。お酒は飲めないけれど、BARの雰囲気を味わいたいという方は是非オーダーしてみてはいかがでしょうか。

時間帯で使い分ける

BARは時間帯や客層によって雰囲気が変わります。オープン直後、ピークタイム、深夜帯…自分の気分や目的に合わせて上手く時間帯で使い分けられるようになれば楽しみ方はもっと広がるでしょう。

岡崎さん「例えば、深夜帯などは接待後に一杯だけ自分の時間を一回作ってから帰りたいっていうお客様もいらっしゃいます。お酒はもう飲めないからソフトドリンクでって方も意外と多いんですよ」

もっとBARを楽しむためのこだわりのオーダー

時には、いつもと違ったオーダーをしてみてはいかがでしょうか。もしかしたらいままで知らなかった新しい扉が開けるかもしれません。

その前に!覚えておきたい注文のマナー

BARは自分のペースでお酒を楽しむ場所。とはいえ、さすがにカクテル1杯で数時間も滞在するのはお店に対しても失礼に当たります。スマートな滞在時間と注文の目安はどれくらいなのでしょうか。

岡崎さん「一概には言えないのですが、大体1時間~1時間半の滞在時間で3杯ほど飲んで帰られるお客様が多い印象ですね」

お酒の種類によっても異なりますが、大体2~30分に1杯のペースで注文すれば自分もお店も気持ちの良い時間が過ごせるようでしょう。もし、お酒が弱くてあまり飲めない…という場合には途中にノンアルコールカクテルやソフトドリンクを挟むのもおすすめです。

あえて普段飲んでいるカクテルを頼んでみる

「せっかくBARに来たのだから普段なかなか目にしないような凝ったカクテルを飲みたい!」もちろんそれもBARの楽しみ方の一つではありますが、ここはあえて普段から居酒屋で飲みなれているスタンダードカクテルを注文してみるのはいかがでしょうか。

BARで初めてジントニックを飲んで「本当にこれジントニックですか!?」「今まで自分が飲んでいたものは何だったんだろう…」と衝撃を隠せないお客様も多いんだそうです。

岡崎さん「知っているはずのカクテルでも、やはりプロが作ると味が全く違います。また、お客様のお酒の強さや好みによって一杯一杯微調整できるというのもBARならではの魅力ではないでしょうか」

あえて苦手なお酒を頼んでみる

ワイン、ウィスキー、ブランデー、特定のリキュール…苦手意識を持っているお酒はありませんか?実はそれ、食わず嫌いならぬ飲まず嫌いかもしれません。

BARで飲むことによって飲まず嫌いを克服するどころか、そのお酒を好きになるということも珍しくないのだそうです。例えば、一言でウィスキーといっても産地や銘柄、熟成年数などによって全く違ったものになりますし、たった数mlのお水や空気の含ませ方、バーテンダーの加減一つで表情を変えてしまうんだとか。

岡崎さん「そのお酒のどんな部分に苦手意識を持っているのか伝えていただけたら、違う角度からのご提案ができるかもしれません。もしもその体験によってそのお酒を好きになっていただけたとしたら、バーテンダー冥利に尽きますね」

いままで苦手だと思っていたお酒と違った形で再会することで好きになれたら…これからの人生にちょっとした楽しみが増えるかもしれませんね。

お店のイチオシカクテルを頼んでみる

お店によっては、並々ならぬこだわりを持ったカクテルが存在することもあります。一度「このお店のイチオシカクテルはなんですか?」とバーテンダーに尋ねてみてはいかがでしょうか。ちなみにBAR AVANTIのイチオシカクテルは「モスコミュール」なんだとか。

岡崎さん「普通はウォッカ、ライム、ジンジャエールで作るシンプルなカクテルなんですけど、うちの場合はジンジャエールを使わずに自家製のジンジャーシロップを使ってるんです。作り方も普通のBARとはちょっと違うんですよ」

こだわりを持ったイチオシカクテルだけに、特別な想いやエピソードが詰まっているものも多いといいます。それらの話に耳を傾けながら飲むとまた違った味わいになる気がしませんか?

行きつけのBARを増やす方法

いくつか自分の中に行きつけのBARをストックしておき、気分によってお店を使い分けるのがBAR上級者の楽しみ方。次の一軒をさがすためにはどのような方法があるのでしょうか

バーテンダーに紹介してもらう

BARという業態、バーテンダーという職業は縦と横のつながりが非常に強いのが特徴です。お店同士でお客さんを紹介しあうこともよくある話なのだとか。

岡崎さん「お店で飲んでいるときに、もう一軒くらい行きたいんだけど近くにこんな感じのお店あるかなとバーテンダーに聞いてみてください。きっとご要望に沿ったお店を紹介してくれると思いますよ」

特に、銀座は雑居ビルの一角で看板も出さずにひっそりと営業しているようなBARも多く、自分で新しいお店を開拓していくのは至難の技。運がよければ、隠れ家のような穴場BARを紹介してもらえるかもしれません。

BARのお客さんに紹介してもらう

BAR好きの方の中には、一軒で1~2杯飲んで一晩に何軒ものBARをハシゴする「BARホッパー」なる方々が存在します。彼等の頭の中にある大量のデータベースの中からおすすめの一軒を紹介してもらうのも一つの手です。

岡崎さん「もともとBARというのは、人と人とのつながり、紹介によって回っていたんです。今でもその文化は色濃く残っているように思いますね」

一見さんお断りというようなムードを醸し出しているような難易度の高いBARでも、そのお店の常連さんの紹介とあらば、安心して足を踏み入れることができますね。そこでまた新たなお客様同士の繋がりを作れることもBARのディープな楽しみ方の一つではないでしょうか。

一つのカクテルでBARツアーをしてみる

「ジントニックならジントニック、マティーニならマティーニと、特定のカクテルに狙いを定めて色々なBARで飲み比べてみるのも、自分の好みのBARを見つける良い方法の一つです」と岡崎さん。

例えばジントニック一つとっても、使用しているジンの種類、トニックの種類、バーテンダーのさじ加減などわずかな違いで全く違った仕上がりになるのだとか。

岡崎さん「美味しい・美味しくないということではなくて、あくまで好みの問題ですね。常連のお客様の中にも、このカクテルはA店が好き、このカクテルはB店が好み、といったようにお店によってお気に入りのカクテルを持っている方もいらっしゃいますよ」

「今日はあそこの店のジントニックが飲みたい気分」などという台詞が出て、BARを使い分けられるようになれば、それはもう既に立派なBARフリークの仲間入りをしている証拠です。

ワンランク上の大人の楽しみ方を

一度足を踏み入れてしまったらもう抜けだせないといわれるほど、奥深いBARの魅力。

お店との関係を深め、お客様同士の交流を広げ、新しい世界を知れば知るほど、その楽しみ方もどんどん広がっていきます。これを機会に自分なりの楽しみ方を見つけてみてはいかがでしょうか。

お話を伺ったのはこの方!

BAR AVANTI オーナー:岡崎ユウさん

20歳から27歳まで 幼稚園の体操の先生をし、その後 バーテンダーの世界に飛びこんだ異色の経歴の持ち主。ハバナクラブモヒートコンテスト世界大会や日本バーテンダー協会主催の全国技能競技大会など国内外の数々のコンテストでいくつもの賞を受賞し、2010年東京銀座にBAR AVANTIをオープン。

(image by nanapi編集部)
(ライター:野口飛鳥)

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