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子どもの可能性を世界へ!グローバル人材を育てる「国際バカロレア」とは

日本にいながらにして、日本語で海外と同じ教育プログラムを受けられる「国際バカロレア(IBDP)」。しかし、インターナショナル、グローバル化とはいっても肝心の「教育プログラム」ってどういうことやってるの?という人がほとんどではないでしょうか。今回は国際バカロレアの「英語圏の学生とも同じ土俵に立って戦えるようになる」という教育プログラムについて、詳しくお話を伺ってきました。

小学生以上の子どもをもつ人なら、宿題を一緒にやった経験があると思います。そこで、「あれっ、自分が昔勉強した内容と違う…」と違和感を感じたことがありませんか?

教科の指導内容は時代によってどんどん変化します。自分たちが習った内容が、今では誤りとされていることもあります。また、教科書も毎年内容が改定されています。

これからの子どもたちが学ぼうとしている授業の内容は、いったいどのようなことになっていくのでしょうか。

そのこれからの授業内容について、グローバル人材を育ていくための授業「IB(国際バカロレア)という国際水準」を計画している東京学芸大学附属国際中等教育学校の副校長赤羽寿夫先生、DPコーディネーター来栖真梨枝先生にお話をお伺いしました。

本記事は、2015年10月の取材情報をもとに執筆されたものです。

IB(国際バカロレア)が目指す学習者(子ども)像とは?

自分が習った学校の、教室の風景を思い出してみてください。国公立にも私立にも「教育目標」が教室に貼ってありませんでしたか?「一、子供の自立を促す 一、社会に貢献する人材を育てる」…といったようなものです。

全世界で実施されているIB(国際バカロレア)が目指す教育プログラムにも、そんななってほしいという人物像が存在します。IB(国際バカロレア)ではそれが10の人物像にわかれていて、その内容にそって授業内容も各学校で行われています。

10の学習者像になるために

  • 探求する人
  • 知識のある人
  • 考える人
  • コミュニケーションができる人
  • 信念をもつ人
  • 心を開く人
  • 思いやりのある人
  • 挑戦する人
  • バランスのとれた人
  • 振り返りができる人

上記の10のような人になることを目標として、子どもたちは学んでいくそうです。このなかには日本人に不得意な内容も含まれているかもしれません。これを授業に取り入れていくのはなかなか難しそうですが…。

こちらの学校では、自分からはなかなかやりにくいボランティアの活動(社会貢献)について、生徒たちが自主的にできるように指導しているとのこと。

「IBの10の学習者像のうち、ボランティアの活動については、考える人、コミュニケーションできる人、信念を持つ人、挑戦する人を学んでいると捉えます。
中学生のときは身近な地域活動を行い、高校生になると海外にボランティアに行く生徒もいます。なかには高校1、2年生でフィリピン、カンボジアなどの海外にボランティアに行く生徒もいます。経験を持ち帰り、他の生徒と共有しているんです。しかもそういった活動的な生徒は学校の指示ではなく、自主的に参加しているため、わたしたちも後から知ることがあるのです」

最初から海外ボランティアにいくのではなく、中学1年生のときから、どの子でもできるよう段階的に指導をしているそうです。

近所のごみ拾い、お祭りの片付け、消防少年団の活動など自分たちのまわりで興味をもてるようなことを子どもたちが探したり、親の協力や先生のサポートもあるとのこと。それなら子どももボランティアと意識せず活動に入りやすいですね。

意見をいえるように多くを経験していく

最初はそういった些細な経験を重ねていき成長とともに自然と海外に目を向けるようになるそうです。まわりの大人がうまくサポートしていけば、興味をもつ方向へ自主的に進むものなのですね。そして、そのボランティア活動も学習のひとつになるそうです。他の授業についてはどうなのでしょうか。

「授業は国語の授業でも理科の授業でも、生徒が教科間のつながりを理解できるように構成されています。いろいろなことを取り入れてそれらを統合して社会で必要なことを発信していけるようにと、取り組んでいます」

知識を覚えるというより、考え方の基礎を経験していく。そんな教育内容のようです。

「まず経験させることが大事です。授業で生徒にプレゼンをしてもらうこともあるんですが、終わったあとは生徒たちで、良かった点や悪かった点をディスカッションします。今までの日本人と考えが変わってくるのは、まずそこだと思います」

ことなかれではなく、みんなできちんと意見がいい合えるというのは、従来の日本人と違って国際的ですね。

IB( 国際バカロレア)の経験が活きる大学や職業とは?

いろいろな経験を授業で得てくると、生徒たちはどのような大学を目指し、どのような職業につきたいと思うのでしょうか。

「まず大学でいえば選択の幅が広がるというのが一番ですね。ケンブリッジ、オックスフォードなどヨーロッパの大学やオーストラリア、ニュージーランドの大学の多くが、DPのスコアの得点の基準を取り入れているので。また、そうやって日本の生徒が海外に出ることによって切磋琢磨し、日本に興味をもつ海外からの学生が来て長い目でみれば活性化されていくのではと期待しています。
職業についても海外に対する壁が低い分、コミュニケーション力もあるので、地域のボランティアのリーダーとして活躍するなど自分たち自身で働く場を切り開いていけると思います。グローバル・リーダーとして将来活躍できるのではないでしょうか。」

インターナショナルを越えて、まさにグローバルという感じです。漠然と「海外に行きたい」ではなく、「大学で何を学びたいか」を考えたとき、国を越えることが抵抗がなくなるわけですね。

では日本の大学では、IBの入試についてどうなっているのでしょう。

「残念ながら日本の大学で、IB入試を実施しているところはまだ少ないですね。そのため、DPスコアを導入した結果どうなったのか、といったデータが日本の大学に蓄積されていないのです。IBを理解する大学がこれから少しずつでも増えていけば、海外と同じように日本の大学もIB入試での入学が増えていくと思います」

DP資格をもっている学生が日本の大学に行っても、力を発揮できなくて海外に行ってしまうこともあるとか。日本はまだまだIB入試については遅れているようですね。もっと日本の大学側も受け入れる体制を作る努力をしてほしいものです。

なんだか今のままでは、いい人材がどんどん海外に出て行ってしまうよう。海外の大学に行っても、就職は日本に戻って…ということはあるのでしょうか。

「DPの生徒はこれからですが、MYPを受け海外の大学を卒業した生徒が、海外の企業ではなく日本に帰ってきて働くことを希望している例もあります」

海外で学んだ経験は、日本でも即戦力になるということですね。

グローバル・リーダーとして活躍できる

言葉やコミュニケーションの壁がないということは、即戦力にもリーダーにもなれるということにつながっているとのこと。グローバル人材という言葉が独り歩きしていますが、IBの学びがひとつの国のなかの人材ではなく世界中を行き来する人間に成長していくようです。

まわりのよい所を指摘して伸ばす力、うまくまとめていく力、社会的なスキル、研究のプロセスを身につけるなど様々な力を学んでいくので、何になってもどこに行っても自分の力を発揮できる教育だそう。

それは働く場所を自ら作っていけるということにつながるので、職業も選択の幅が広がるということですね。

取材協力

東京学芸大附属国際中等教育学校 副校長:赤羽寿夫先生 教諭:来栖真梨枝先生 

国公立学校初のMYP・DPのIB一貫教育(すでにMYPは実施中)。「日本語と英語によるデュアルランゲージ・プログラム」を2016年4月から開始。新しい教育プログラムの取り組みに全国の学校から見学者が来校している。

(取材:藤下元気 ライター:林千絵)

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(image by 東京学芸大附属国際中等教育学校)
(image by nanapi編集部)

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