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「美味しくない」は誤解!?プロに聞く、ボジョレー・ヌーヴォーの正しい楽しみ方とは

今年もボジョレー・ヌーヴォーの季節がやってきました!こんなにも日本人に親しまれているボジョレー・ヌーヴォーですが、一方で「薄くて物足りない・美味しくない」なんて声もよく耳にします。でも、それって実は間違った飲み方をしているからかも!?そこで今回は、正しい選び方や飲み方まで、ボジョレー・ヌーヴォーを楽しむために知っておきたい情報をあれこれご紹介します。これを読んだら、きっとあなたもボジョレーが飲みたくなること間違いなしですよ

11月の第三木曜日。この言葉を聞いてピンときた方もいるのではないでしょうか。そう!今年もボジョレー・ヌーヴォーの季節がやってきました!

日本は世界で一番早く解禁日を迎えるということもあり、毎年この解禁イベントは大きな話題となっています。

ただ一方で、「お祭りだから毎年一応飲むけど、あんまり美味しくないよね」「薄くて軽くてジュースみたい。あんなのワインじゃないよ」なんて残念な声もちらほら…。

実はそれってすごく勿体ない!「美味しくない・物足りない」というイメージを持ってしまうのはボジョレー・ヌーヴォーを誤解しているからかも!?楽しみ方さえ知っておけば、実はボジョレー・ヌーヴォーはすごく日本人の好みに合った美味しいワインなのです。

そこで今回は、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート・料理研究家の小山久美子さんに、美味しく飲むためのポイントから選び方のコツまで、ボジョレーヌーヴォーを楽しむために知っておきたいポイントについてあれこれ伺ってきました。

本記事は、2015年10月の取材情報をもとに執筆されたものです。

そもそもボジョレー・ヌーヴォーは試飲用のワインだった!?

フランスのワイン銘醸地として名高いブルゴーニュ地方の南に位置するボジョレー地区。この地で夏の終わりに収穫したブドウを、その年に仕上げた新酒がボジョレー・ヌーヴォーです。

通常であれば1年以上かけてゆっくり作るところを、特別な製法によって2~3か月で仕上げたこのワインは、元々はその年の収穫に感謝して祝うとともに、ブドウのできばえを確かめるための試飲用の地酒として地元の人々の間で親しまれていたものでした。

つまり、元々じっくりと味って飲むワインというよりは、「今年も収穫できて良かったねー。さてさて、今年の出来はどうかとりあえず皆でワイワイ飲んでみようよ!」といった感覚のイベント性の強いものだったのですね。

こう聞くと、例えばレストランで畏まって飲むワインとは楽しみ方・飲み方がちょっと違うのかな、と思いませんか?

実は、ワインを飲む上で一番に覚えておきたいポイントの一つが「ワインによって楽しみ方が全く違う」ということ。これを頭に入れておくだけで、今まで感じていたボジョレー・ヌーヴォーに対するネガティブな印象もだいぶ変わってくるかもしれませんよ。

ボジョレー・ヌーヴォーが「美味しくない」といわれる4つの理由

こんなにも日本で親しまれているボジョレー・ヌーヴォーですが、中には「ボジョレーヌーヴォー=美味しくない」というイメージを持ちながら飲んでいる人も少なくないよう。それは一体何故でしょうか。

1.「薄くて軽くてジュースみたい…」

ボジョレー・ヌーヴォーは、特別な製法によって通常のワインより短い期間で造られるため、苦み・渋みが少なく、非常にフレッシュでフルーティーな味わい。アルコール度数も比較的低く、優しい口当たりのため、初心者でも飲みやすいワインとされています。

しかし、ボジョレー・ヌーヴォーの一番の特徴ともいえるこの軽やかな味わいが、一部の人によっては「薄くて物足りない・ジュースみたい」と感じられてしまうよう。これは、一般的に「赤ワイン=どっしりとしたもの」というイメージが根付いてしまっているためだと小山さんは言います。

小山さん「自分の持っている赤ワインのイメージと合わないために、これは赤ワインじゃない!美味しくない!と感じてしまうのかもしれないですね。そもそもボジョレー・ヌーヴォーにボルドーワインみたいなしっかりした味わいを求めるのが間違い。『ボジョレーにはボジョレーの楽しみ方がある』という認識があるかないかで感じ方は全く違うと思いますよ」

例えていうなら、ボジョレー・ヌーヴォーの味わいは赤ワインというよりも、どちらかといえば軽くて華やかなロゼワインに近いイメージ。

そんな風にして考えてみると、なんだか今までもっていたボジョレーの味わいに対するイメージが変わる気がしてきませんか?

2.「同じ値段出したらもっと美味しいワインが買えるよ!」

実はボジョレー・ヌーヴォ―は、現地フランスのスーパーなどでは1,000円以下で売られていることもある比較的安価な部類に入るワイン。それが、日本にやってくると倍以上の価格に跳ね上がってしまう。

この割高感が、「同じ値段を出したらもっと美味しいワインが買える=美味しくない」というイメージに繋がってしまっているケースも多いようです。

小山さん「通常ワインは船で輸送されるのですが、ボジョレー・ヌーヴォーの場合は解禁日に間に合わせるため空輸されることがほとんど。その輸送コストに加え、日本での大々的な宣伝費が上乗せされることで、他のワインに比べてどうしても割高になってしまうのです」

確かに、通常のワインに比べてコストパフォーマンスがいいとは言い切れないボジョレー・ヌーヴォー。

ですが、ちょっと思い出してみてください。コスパが悪いとわかっていながらも、お祭りの屋台で友達とワイワイ食べるお好み焼きや焼きそばって何故かすごく美味しく感じませんか?それは「お祭り価格」だとわかった上で自然と楽しんでいるから。

小山さん「ボジョレー・ヌーヴォーも同じこと。普段ワインを飲まなくても、この時期だけは特別にグラスを片手にみんなとワイワイ楽しむという人も多いのではないでしょうか。この時期にしかできないお祭りだと思って難しく考えずに純粋に楽しんでしまえば、もっと美味しく味わうことができると思いますよ」

3.「現地のフランス人は飲まないって聞いたよ!」

何を隠そう日本はボジョレー・ヌーヴォーの最大の輸入国。その年に作られるボジョレー・ヌーヴォーのおよそ1/4が日本に輸入されているのです。そのこともあってか、「毎年ボジョレー・ヌーヴォーに熱をあげているのは日本人くらい。現地のフランス人はそんなに飲んでいない」なんて噂もチラホラ耳にします。

これも「ボジョレー・ヌーヴォーは美味しくない」と言われてしまう理由の一つと言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか?

小山さん「もちろん現地の人たちの中も毎年この時期にできる新酒(ヌーヴォー)を楽しんでいます。ボジョレー・ヌーヴォーを飲まないということではなく、あくまでボジョレー・ヌーヴォーだけに注目が集まらないというだけなんです」

実は、その年にできる新酒(ヌーヴォー)というのはなにもボジョレーに限ったことではなく、フランス各地で造られています。毎年この時期になると各地で収穫祭のようなイベントが行われているのだとか。

つまり、他にもたくさんの選択肢があるためにボジョレー・ヌーヴォーにだけスポットライトが当たっていないだけ。毎年ヌーヴォーを心待ちにしているのはフランスの人たちも同じというわけですね。

4.「ボジョレー・ヌーヴォーなんてどれを買っても同じでしょ?」

通常のワインに比べてどうしても割高になってしまうボジョレー・ヌーヴォーですが、最近では大手スーパーやディスカウントショップなどで1,000円を切るようなものが登場するようになりました。

「どうせイベントものだし、どれを買ってもそんなに変わらないよね。だったら安ければ安い方がいいじゃん!」と思う気持ちも分かりますが、ちょっと待って!

もちろん1,000円の商品でも美味しいものもあるとは思います。しかし、あまりにも安価な場合、中には質の悪い安ワインが混ざっている可能性もあるのだそう。実はそれが「ボジョレー・ヌーヴォー=美味しくない」というイメージを作ってしまっている原因かもしれません。

小山さん「最初に不味いワインを飲んでしまったがために、ワインは美味しくない、自分には合わないと思い込んでしまっている人が少なくありません。そういう話を聞くたびに最初に美味しいワインを飲んでいたら絶対違うのに…と残念な気持ちになりますね」

特に普段ワインを飲む機会がないという人にとっては、そのボジョレー・ヌーヴォーの味がそのままワインのイメージに直結してしまうこともあります。どうせだったら、きちんと美味しいものを選びたいですよね。

意外と知らない?ボジョレー・ヌーヴォーの選び方

一言にボジョレー・ヌーヴォーといっても、値段も味わいもピンからキリまで。実際お店に行ってみたはいいものの、どれを選んだらいいのかわからず頭を抱えてしまった…なんてことがないように、美味しいボジョレー・ヌーヴォーを選ぶための基本ポイントをここで覚えておきましょう。

産地で選ぶ

実はボジョレー・ヌーヴォーは、原料となるブドウが収穫された地域によって大きく以下の2種類に分けられます。

  • ボジョレー…ボジョレー地区全体で広く造られる
  • ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー…ボジョレー地区の北側の限られた地区で造られる
ボジョレー・ヌーヴォーに比べて、ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォーの方がランクが上で、より重厚感のある味わいだといわれています。

最近では、色々なお店でボジョレー・ヌーヴォーよりも1,000円程価格が高いボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォーを強く売り出していますが、小山さんのおすすめは普通のボジョレー・ヌーヴォーだそう。

小山さん「基本的にはフレッシュな味わいを楽しむためのワインなので、普通のボジョレー・ヌーヴォーがいいと思います。ヌーヴォーに重厚感を求めて4,000円も5,000円も払うのは違う気がするというか…だったら、ヌーヴォーじゃないボジョレー買った方がいいよって思っちゃいますね」

値段で選ぶ

価格も下は1,000円以下のものから上は5,000円近くするものまでピンからキリまでありますが、ボジョレー・ヌーヴォーであれば2,000円~3,000円出せばかなり質の良いものが買えるといいます。

小山さん「ボジョレー・ヌーヴォーに4,000円近く払うのもちょっと違うと思うけれど、逆に1,000円以下のものを買うのもやめておいた方がいいかなと思います。もちろん、中には美味しいものもありますけど、一般的に値段と品質はある程度比例するので…」
大手メーカーから発売されているボジョレー・ヌーヴォーは2,000円台前半が多いそうです

造り手で選ぶ

ワインにおいて、生産者というのはすごく大事なポイントだと言われていますが、ボジョレー・ヌーヴォーに至ってはそこまでこだわる必要はないのだと小山さん。

小山さん「もし、どうしてもわからなくて不安だったら、ジョルジュ・デュブッフやアルベール・ビショーといった大手のものを買っておけば安心かもしれないですね」
日本では、ジョルジュ・デュブッフはサントリー、アルベール・ビショーはキリンが輸入しています

ボジョレー・ヌーヴォーの間違った飲み方

ボジョレー・ヌーヴォーのことも少し分かった、おすすめの1本もGETした。それでもやっぱり美味しくない…それはもしかしたら飲み方が間違ってるのかもしれません

1.「赤ワインは常温で飲むのが一番美味しいんだよね」 ×

「赤ワインは常温で飲むのがいい」と言われる理由は、冷やし過ぎるとタンニンによる赤ワイン特有の渋みが強調されて味わいが広がらなくなってしまうため。しかし、ボジョレー・ヌーヴォ―は元々この渋みを強く出さない造り方をしているのでその心配はありません。

逆に、フレッシュな味わいが特徴であるをボジョレー・ヌーヴォーを楽しむためには、軽く冷やして飲むのがおすすめなんだとか。

小山さん「ボジョレー・ヌーヴォーにとって飲み頃の温度は10~14度。目安としては飲む1−2時間前から冷蔵庫に入れておくくらいがいいでしょう。また、ワインは温度で味わいが変わる飲み物。飲みながら味わいの変化を楽しむのも一興ですね」

また、どうしてもアルコールが苦手…という人は思い切って氷を入れてしまってもOK。難しいことを考えずにカジュアルに楽めるワインだからこそできるアレンジですね。

ワインクーラーなどを用意すれば、食事中でも温度を保ったままワインを楽しむことができます

2.「カジュアルなワインだからグラスなんて気にしなくてもいいよね」 ×

ワインはグラス一つで味が全然変わる飲み物です。いくらカジュアルなワインだからといっても、飲み口の開いたコップで飲むのはやめましょう。せっかくの香りが全て飛んでしまって非常に味気ないものになってしまいます。

小山さん「ワインは香りが命です。その香りを楽しむためにも、是非ワイングラスは一脚用意しておきたいところですね。高いものでなくても良いので、飲み口が狭く、あまりワインが空気に触れる面積が少ないチューリップ型のワイングラスを選びましょう」

ボジョレーを味わうために作られた専用のグラスというものもありますが、ワイン初心者に小山さんがおすすめするのは、赤ワイングラスではなく、中くらいの白ワイングラスなんだとか。

小山さん「頻繁にワインを飲まないという人であれば、一脚で白ワインやロゼワインはもちろん、ボジョレー・ヌーヴォーのような軽めの赤ワインまで広く活用できるので、便利だと思いますよ」

3.「赤ワインに合わせるのは、やっぱり肉料理!」 △

ボジョレー・ヌーヴォーはライトでフルーティーな味わいが特徴のワイン。しっかりした赤ワインに合うといわれているような肉料理などを合わせてしまうと、ワインが完全に負けてしまうのです。

小山さん「例えば、牛肉の赤ワイン煮・分厚いステーキ・クセの強いチーズなどはおすすめできません。和食などでも、照り焼きとか角煮といったこっくりしたものは避けた方がいいですね」

実はボジョレー・ヌーヴォーは和食・洋食・中華・エスニック…大抵の食事に合わせやすい万能選手なんです。上記のような「こってりしたもの・クセの強すぎるもの・味の濃いもの」さえ気を付ければ、合わせ方はあなた次第!

「これはワインに合わないだろうなー」なんてことは考えず、色々合わせてみると新たな発見があるかもしれませんよ。

ボジョレー・ヌーヴォーは美味しい!

ボジョレー・ヌーヴォーは日本人の味覚に合ったワイン!?

ボジョレー・ヌーヴォーが日本で知られるようになってから早20年。爆発的なブームを巻き起こしたバブルの頃に比べると、だんだんとその認識も変わってきているんだそうです。

小山さん「この20年で日本人の生活に定着した感じですね。ブームが落ち着いてもなお、毎年これだけ人々の注目を集めて親しまれているのは、''ボジョレー・ヌーヴォーの軽やかでフレッシュな味わいが日本人の味覚に合っているからだと思います」

実は日本は世界最大のボジョレー・ヌーヴォー輸入国。なんと全世界の1/4のボジョレー・ヌーヴォーもの量が毎年日本で消費されているのだそうです。そう考えると、「美味しくない」という声も上がりながらも、毎年どれだけの日本人がボジョレー・ヌーヴォーを心待ちにしているかがわかりますね。

初心者の入門編としてはピッタリのワイン!

例えば、「ワイン=難しい」と苦手意識を持ってるとか、白は飲めるけど赤は飲めないとか、そういう人は意外と多いもの。そんな人にこそ、ワインへのファーストステップとしてのボジョレー・ヌーヴォーはすごくおすすめだと小山さんは言います。

小山さん「日本人の味覚に合っていて飲みやすいだけではなく、難しいことを考えずに仲間とワイワイ飲めるのがボジョレー・ヌーヴォーの魅力ですよね。でも、それって実は本来のワインの考え方に通ずるものなんです」

「難しい」というイメージを持たれがちですが、元々ワインは食中酒。料理はもちろん、一緒に食事をする人との時間をもっと豊かなするために自然とそこにあって、「美味しいね、楽しいね」と肩の力を抜いて飲むものなんだとか。

今まで「ワインは苦手…」と思っていた人も、「ボジョレーなんて…」と飲まず嫌いしていた人も、今年の解禁日は難しいことはすべて抜きにして、仲間とワイワイグラスを傾けてみてはいかがでしょうか。

お話を伺ったのはこの方!

小山 久美子さん

イタリア料理研究家・JSAワインエキスパート認定・イタリアワインソムリエ/オフィシャルテイスター

2011年より麻布の自宅で料理教室「アトリエ ブリステーブル」主宰。アンチエイジングやダイエットの要素を取り入れた「美しくなるイタリア料理とワインの教室」として注目を集めている。ワインコミュニティ「南麻布わくわくワイン大学」を立ち上げた他、日本ソムリエ協会のワイン検定の講師を初回から務めるなど、ワインの普及活動にも力を入れている。

(image by amanaimages1234)
(ライター: 野口飛鳥)

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