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    身体に悪いって本当?プロに聞いた、インスタントラーメンの安全性とアレンジレシピ

    1958年に日本で誕生したインスタントラーメン。55年以上たった今では、国民一人当たり年間40食は食べているといわれている程、我々の生活になくてはならないものになっています。

    ただ、中には「身体に悪いとは思っているんだけど…」という言葉と若干の罪悪感を持ちつつ、美味しそうに麺をすすっている人も少なくないよう。今や日本のみならず世界中で愛されているインスタントラーメン。果たして本当に身体に悪いものなのでしょうか

    もやもやした不安が払拭されればインスタントラーメンはもっと美味しくなるはず。そこで今回は、日本即席食品工業協会 専務理事・任田(とうだ)耕一さんに直撃取材!インスタントラーメンの気になる疑問を投げかけてみました。

    本記事は、2015年10月の取材情報をもとに執筆されたものです。

    インスタントラーメンについて気になる6つの疑問

    我々日本人の国民食とも言われるインスタントラーメンですが、「身体に悪い」というイメージが強いのも事実。でも、それってホント?

    今回はインスタントラーメンについて気になる6つの疑問を、任田さんにぶつけてみました。

    疑問1.カロリーが高そう!?

    よく「インスタントラーメン=太る」と思われがちですが、実は意外とそのカロリーは高くありません。一般的なインスタントラーメンのカロリーは大体一食300kcal~500kcal。これはごはんをお茶碗に山盛り一杯と同じくらいなんだそうです。

    任田さん「1日に必要なエネルギーは、成人男性:2,450~2,650kcal・成人女性:1,950~2,000kcalと言われています。そう考えると、極端な話1日3食インスタントラーメンを食べ続けていれば必ずダイエットできますね(笑)」

    ちなみに週4回~5回はお昼にインスタントラーメンを食べているという任田さんですが、適正体重をキープしつつ、毎年の健康診断も全く問題ないとのこと。

    疑問2.栄養バランスが悪い?

    主に炭水化物で作られているインスタントラーメン。栄養が偏っているのかと言われれば答えはイエスですが、これはパンやごはんなど他の食品にも当てはまること。

    どんな食品でも、それだけを食べていれば必ず栄養は偏ってしまいます。例えば、和食が栄養バランスが良いといわれる理由も、ごはん、味噌汁、魚、野菜など様々なものを少しずつ一緒に食べられるからだといわれています。

    ちなみに、あまり知られていないかもしれませんが、JASマークがついているインスタントラーメンの多くは、私たちの生活で不足しがちなカルシウム、ビタミンB1、B2などが強化されているのだとか。

    疑問3.食品添加物って心配ないの?

    インスタントラーメンに使用される添加物は、厚生労働省の厳しい審査をクリアし、食品衛生法で安全と認められたものに限定されています。

    さらに、JASマークがついている製品(全体の約8割)では、その基準がより厳しく、以下の表のように''実はほとんどのものが天然由来の成分’’なんだそう。

    名称 目的 成分と抽出物
    増粘安定剤 麺のコシを出して滑らかにする アルギン酸―海藻、ペクチン―リンゴ・ミカン など
    乳化製剤 麺の油分を均一に分散させる 植物レシチン―大豆油 など
    酸化防止剤 麺に含まれる油脂の酸化を防止する ビタミンE―大豆油 など
    着色料 麺の色を一定に保つ カラメル色素―砂糖・ブドウ糖、クチナシ色素―クチナシ、カロテン―人参
    ちなみに、JASマークがついた商品には、防腐剤・保存料は使用されていません
    任田さん「一つだけ、化学的に合成した『かんすい』というものがありますが、これは中国では2000年以上も前から使用されてきたもの。豆腐にニガリが必要なように、中華麺には欠かせないものなんですよ」

    中華麺に独特な風合いやコシを出すために使われる「かんすい」は、元々は中国奥地の塩湖の湖水や、草木を燃やした灰から取り出して使われていたそう。研究を重ねるうち、有効な成分だけを化学的に取り出して使われるようになったんだとか。

    疑問4.やっぱり油分って多いよね?

    一般的な油揚げ麺一食当たりの脂質量は14~17g。ちなみに、カレーライス一食分の脂質量が約25g、バランス栄養食と言われているカロリーメイト1食分(80g)の脂質が21.9gということを考えると、決して高いものではありません。

    任田さん「ちなみに、最近人気のノンフライ麺一食分の脂質量は4~6gほど。油が気になるけどラーメンが食べたい!という方にもおすすめです」

    また、インスタントラーメンが売り出された当時は、過当競争によって粗悪な油を使って作られた商品も出回ったせいで「インスタントラーメンの油でお腹を壊す・胸焼けする」といわれていました。

    しかし、現在は各メーカーとも厳格に検査・管理をされた油を必要最低限だけ使用しているため、安心して食べることができるそうです。

    理由5.塩分を摂りすぎてしまわない?

    インスタントラーメンは、スープの摂取量で簡単に塩分コントロ―ルすることができます。

    任田さん「ざっくり言うと、インスタントラーメンの塩分量は麺1:スープ2なんです。従って、スープを半分残しただけで塩分量は30%減らすことができる。ちなみに私はいつもそういった食べ方をしています」

    最近では塩分やコレステロールをカットした健康志向の商品も増えてきていますので、どうしても気になる場合はそういった商品を選ぶのもおすすめです。

    理由6.容器は安全なの?

    インスタントラーメンのパッケージについては、厳しい材質試験や溶出試験をクリアしなければ、使用することができません。

    10年ほど前に「特定の油を加えた上に熱湯を注ぐと、カップ麺の容器が溶ける」と話題になったことがありましたが、通常の調理方法では容器が溶けるような現象は起こりえないそうです。

    任田さん「特にカップ麺の容器については、JAS規格でさらに厳しく規定されています。大体、身体に害のある容器を厚生労働省が認めることはありませんから、安心していただいて大丈夫です」

    「身体に悪い」というイメージを覆した男がいる

    昔のイメージが根付いてしまった昭和中期

    1958(昭和33)年に発売された世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」は、すぐに全国で品切れが続出するほどの人気商品となりました。そうすると、それに続けといわんばかりに粗悪な模倣品までもが世に出回っていったのです。

    質の悪い油でつくられたそれらの商品でお腹を壊す人も多く、そのことがマスコミによって大々的に報道されたことで、「インスタントラーメン」そのものに対するイメージが悪くなってしまったのだそうです。

    任田さん「その頃の世代が、自分の子どもたちに『インスタントラーメン=身体に悪いもの』と教えていった結果、いまだにそういったイメージが根強く残ってしまっているのだと思います」

    なるほど。特に理由はわからなくても「インスタントラーメン=身体に悪い」というイメージを持ってしまっている人が多いのは、小さい頃に親世代から刷り込まれてきたイメージのせいだったのですね。

    安全性を示そうと自分の身体で実験した人がいる

    このインスタントラーメンへの悪いイメージを、自身の身体を使った実験で払拭しようとした人がいます。その人物こそ、チキンラーメンの生みの親、’’日清食品の創業者・安藤百福氏’’。

    安藤氏は48歳でチキンラーメンを発売してから96歳で亡くなるまで365日毎日欠かさずチキンラーメンを食べ続けたそうです。そして、急性心筋梗塞でなくなる3日前にはゴルフで18ホール回ったというのは有名な話。

    任田さん「インスタントラーメンを食べれば長生きするとまでは言わないけれども、少なくとも彼は『インスタントラーメンが直接健康に害を及ぼすことはない』ということを身をもって証明したのですね」

    今や栄養士も食育として推奨してる

    インスタントラーメンの品質が向上してきた今、栄養士・料理研究家といった食のプロたちも、インスタントラーメンの可能性に着目しています。

    任田さん「昔は、インスタントラーメンの安全性や栄養面などに懸念を示していた日本栄養士会なども、今では我々が開催しているほぼすべてのイベントの後援に入っていただくまでになりました」

    誰でも簡単に調理ができて色々な食材と相性が良いインスタントラーメンは、

    • 野菜嫌いの子供たちが美味しく野菜を食べるための手段になる
    • 自分で調理をすることで食への関心をもつきっかけになる

    などといった理由から、最近では子どもたちへの食育にも活用されているのだそうです。

    油揚げ麺vsノンフライ麺どちらがいいの?

    インスタントラーメンは大きく、昔ながらの油揚げ麺と、最近注目を集めているノンフライ麺の2種類に分けられます。それぞれの特徴を知ると、インスタントラーメンの楽しみ方ももっと広がるのではないでしょうか。

    インスタントラーメンには2つのベクトルがある

    油揚げ麺とノンフライ麺には、その製造方法によって以下のような違いが生まれます。

    • 油揚げ麺:油で揚げて乾燥するため、油のうまみ・コクが生まれる
    • ノンフライ麺:油を使わず熱風乾燥するため、生麺に近い味が生まれる

    いつもは脂質を気にしてノンフライ麺を選ぶけれど、時々無性にカップヌードルが食べたくなる。そんなことってありませんか?どちらが良いということではなく、気分によって使い分けることがおすすめなのだと任田さんは言います。

    任田さん「インスタントラーメンにしか出せない味を求めて油揚げ麺を選ぶ、お店のような味を求めてノンフライ麺を選ぶ。この2つのベクトルを使い分けることでインスタントラーメンはもっと美味しく食べられると思いますよ」

    どっちが人気なの?

    2011年に新しい製法のノンフライ麺が発売されてから、これまでインスタントラーメンをあまり食さなかった層からの支持も集まり、インスタントラーメンのランクは一気に上がったといわれています。

    やはり、今はノンフライ麺の時代なのでしょうか?

    任田さん「実は、今年になってまたちょっと市場が変わってきてるんですよ。昔ながらの商品に消費者は立ち返ってきてる。いっぺん新しいものにふれたのが、懐かしいなっていうものに戻ってきてるという印象はありますね」

    実は、お店に並んでいるインスタントラーメンの割合は、定番3:新商品7。しかし、消費量で見るとその割合は逆転し、全体の消費量の約7割を定番商品が占めているのだそうです。

    やはり、小さなころから慣れ親しんだ味を求めてしまうのは人間の性なのかもしれませんね。

    身体に良いのはどっち?

    ただ、昔ながらの油揚げ麺と新製法のノンフライ麺。ノンフライ麺の方がなんとなく「身体に良さそう」というイメージがありますが、実際のところはどうなんでしょうか。

    任田さん「どうしても脂質が気になるっていうんだったらノンフライ麺を選べばいいと思います。ただし、油揚げ麺にしても、新鮮な油が必要最低限使用されているだけなので、どちらが身体に良いとか悪いとかいうことはありません」

    インスタントラーメンの油が問題視されていたのは一昔前の話。現在では、その材料の安全性も保証されていますし、製造技術も進歩しています。

    つまり、あくまで先程の2つのベクトルを使い分けながら選ぶということがポイントのようですね。

    インスタントラーメンの美味しい食べ方とは?

    インスタントラーメン自体が身体に悪いということではなく、その問題は食べ方にあるのかもしれません。インスタントラーメンのパッケージには必ず細かな調理方法が記載されていますが、やはりその通りに作るのが一番美味しいのでしょうか?

    任田さん「ゆで時間や水の量、合わせる食材例などもあくまで目安なので、そこにこだわる必要はありません。自分好みにアレンジしてみるのがいいと思いますよ。インスタントラーメンは滅多なことをしない限りは、不味くなりようがありませんから(笑)」

    なるほど。では、参考までにどのようなものを合わせるのがおすすめですか?

    任田さん「インスタントラーメンの主成分はでんぷん質なので、バランス面で考えると、野菜でミネラル・ビタミン・繊維質、肉や卵でタンパク質等、足りない栄養素を補ってあげるとより良いですね」

    ちなみにインスタントラーメン一食分のカロリーは、でんぷん質主体であるごはんをお茶合わん山盛り一杯分食べるのととほぼ一緒。

    ごはんに主菜・副菜を合わせるイメージで色々合わせてみると、バリエーションも広がりそうですね。

    こんなものまで!?あっと驚くインスタントラーメンアレンジレシピ

    どんな食材とも相性の良いインスタントラーメンは、「ラーメン」という枠を超えて今や一つの食材として色々な料理に姿を変えているようです。頭を柔らかくして考えてみると、色々なアイディアが浮かんでくる気がしませんか?

    今回は、日本即席食品工業協会が毎年開催しているインスタントラーメンレシピコンテストの中から、あっと驚くアレンジレシピをいくつかご紹介します。

    これらの料理はすべて、インスタントラーメンの麺だけでなく付属スープも使用されています

    洋風

    • ラーメンパエリア(塩)

    「ラーメンの汁が熱くて食べられない」という悩みを解消するために作られたのが、こちらのパエリア。ホットプレートで作ればホームパーティーなどにもぴったりですね。

    • 絶品ママの味方うまほくほくキッシュ麺(味付き麺)

    簡単なのに、お洒落で豪華に見えるこちらのキッシュ。冷蔵庫にある残り野菜などを色々入れて作れば、一石二鳥!野菜嫌いの子どもたちもきっとペロッと食べてしまうこと間違いなしです。

    和風

    • 鯵内(あじな)ラーメン(塩)

    魚を食べる機会が少ない若い人でも気軽に食べてもらいたいという思いからつくられたこちらのレシピ。鯵(あじ)とジャガイモを使っているため、主食と主菜が一緒に食べられるというのも嬉しいですね。

    • ラーメン ちゃわんむし(お好み)

    基本材料は、インスタントラーメンと卵と水のみ!面倒な出汁や味付けは付属のスープにすべておまかせしちゃいましょう。具材やスープの組み合わせを変えながら、自分好みの味を見つけてみるのも楽しいですね。

    • らぁーめん肉巻きお寿司風~お味噌をつけて~(味噌)

    手巻きずしならぬ、手巻きインスタントラーメン!添えられたタレは付属のスープがベースになっているので、色々な味を集めて皆でワイワイディップパーティーなんていかがでしょう?

    エスニック

    • 生春巻きラーメン(醤油)

    生春巻きの春雨がない!そんなときにはインスタントラーメンを使ってみてはいかがでしょう?添えられたタレも付属のスープで簡単に作れてしまうので、気軽にエスニックを楽しみたいときにもおすすめです。

    • 午後のココナッツ麺(塩)

    お洒落なカフェにありそうなこちらのアジアンヌードルは、豆乳とココナッツミルクでつくられた白いスープがポイント。濃厚なスープが麺に絡んで、寒い季節にはほっこり嬉しい逸品です。

    中華

    • おからdeラー麺まん(醤油)

    肉まんの中からラーメンが出てくるという夢のコラボレーション!中の具材にはおからを入れてヘルシーに。カラフルな色合いも楽しく、お子様のおやつにもぴったりですね。

    • 簡単中華気分♪ 麺がとび出す水ギョーザ(とんこつ)

    こちらは、ラーメンと餃子のコラボレーション。米粉を使った皮の中にも付属のスープを入れることで、同じスープを使った餡かけとの相性もばっちり!スープ仕立てにしても美味しそうですね。

    スイーツ

    • デュエット塩チーズケーキ(塩)

    濃厚なクリームチーズベースと軽やかなマスカルポーネベースが2層になった一見普通の本格的なチーズケーキ。ですが、もちろんこちらにもちゃーんとラーメンが!隠し味になっているスープの塩気がポイントです。

    • 白チョコラーメン(塩)

    ラーメン×チョコレートという、手を伸ばすのにちょっと勇気が必要なこのレシピですが、一口食べればそのもちもちした食感がクセになるんだとか。ホワイトチョコとビターチョコ、あなたはどちらがお好みですか?

    正しく付き合って美味しく食べよう!

    安全・便利・経済的・保存性・汎用性に優れ、そして何より美味しいインスタントラーメンは今や我々日本人の国民食です。

    合わせる食材・食べ方さえ気を付ければ、「身体に悪い」という不安も取り払って、もっともっと美味しく楽しく食べることができそうですね。

    是非自分なりの楽しみ方を見つけてみてはいかがでしょうか。

    お話を伺ったのはこの方!

    • 一般社団法人 日本即席食品工業協会 専務理事・任田(とうだ)耕一さん

    1948年石川県生まれ。農林水産省、経済企画庁、JETRO ロンドン、筑波大学非常勤講師などを経て、九州農政局長で退官。2002年から一般社団法人日本即席食品工業協会・専務理事に就任。

    (image by 写真AC 1 2)
    (image by nanapi編集部)

    (ライター 野口飛鳥)

    このライフレシピを書いた人