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クリスマスまでに知っておきたい最近人気の「シュトーレン」基本のキ

クリスマスと言えばクリスマスケーキ。日本では定番ですね。しかし、日本から一歩外に出ると、定番とは言えないようです。海外ではクリスマスにケーキを食べるという習慣はあまりなく、外国人に話すと驚かれてしまうことも。

では一体、何を食べているのか……?それは国によってさまざまです。

最近日本でも知られるようになったのは「シュトーレン」。12月のパン屋さんで、パウンドケーキのようなものが売られていたのを見たことはありませんか?実はパウンドケーキではなく、ドイツが発祥のお菓子なんです。

今回はこのシュトーレンについて、赤坂にドイツパン・ウィーン菓子専門店「Neues」を構える野澤孝彦シェフに詳しく聞いてみました。最近すっかりクリスマスの顔になったシュトーレン。しかし、日本人にはあまり知られていないような事実が盛りだくさんでした。

本記事は、2015年12月の取材情報をもとに執筆されたものです。

はっきり知らない人も多い?シュトーレンの基本の形

実は20年ほど前から日本に入ってきていたというシュトーレン。でも、その存在をよく知られるようになってきたのはここ数年ですよね。最近は「シュトーレン」という言葉だけが独り歩きして、厳密にはシュトーレンでない商品も増えているのだとか……。

これがスタンダードなシュトーレンだ

  • 外側が白い粉砂糖で覆われている
  • 3つ山がある

この2つの特徴を備えたものが、基本的なシュトーレンだといわれています。お家で作りたいという人は、見た目にもこだわってみるとドイツの雰囲気がより味わえるのではないでしょうか。

なんでこんな形?

なぜこんな形になったのかというと、シュトーレンはもともとキリストの誕生を祝うためのお菓子だったということが関係しています。

聖書にはイエスが馬小屋で生まれたとき、東方三賢者がイエスに会いに行くという場面があります。そのときにはお母さんである聖母マリアがイエスを白い布にくるんで抱きかかえています。

野澤シェフ「生まれたばかりの赤ちゃんっていうのは、かならず両手を前にちぢこまっているんで、その形を3つの山にしているという認識は共通しているんです。白い布でおおわれているから、かならず白い粉糖でおおわれているというのが、ほぼだいたい共通している部分です」

白はおくるみの色、3つの山はイエスの手の形なんですね。初めて知ったという方も多いのでは?ちなみに、「東方の三賢者」「三位一体」などの言葉からもわかる通り、キリスト教で「3」は聖なる数字。とても重要な意味を持っているので、シュトーレンの焼型は必ず3つの山が付いているそうです。

シュトーレンの歴史

宗教の普及のために生まれたお菓子?

シュトーレンはドイツのドレスデン地方が発祥。「ドイツの伝統的なお菓子」というイメージがありますが、実はそこまで古くはなく1800年代に誕生したものとされています。

そしてシュトーレンには「キリスト教の文化を根付かせよう」という狙いのもと生まれたという部分も。イエスやマリアの価値を上げるため、イエスの生誕のお祭りの際になにかいいものがないかと考えられた結果生まれたのだそうです。

名前の由来は「坑道」?「おむつ」?

シュトーレンの名前の由来はいろいろ。野澤シェフは今回2つ紹介してくれました。

1つは「トンネル」。金や銅などの採掘用の坑道のことをドイツ語でシュトーレンといい、お菓子の断面がその坑道の形に似ていたからという説があります。

もう1つは「おむつ」。ドイツ語の方言でそういうものがあるのだそうです。シュトーレンは焼き上がった上に白い粉砂糖をふりかけるので、おむつのように見えたという説です。

野澤シェフ「今回はシュトーレンというふうに発音していますけど、ドイツの上のほうにいくとシュトレンっていうふうに伸ばさずに発音したり、ある地域ではシュトレーンといったりとか、ドイツ国内でもけっして統一化されているわけではなくて、けっこう曖昧なんです」

さまざまな由来があるのは、名前自体が統一化されておらずそのまま残っているのが理由なのかも?

シュトーレンの種類

シュトーレンと一口に言いいますが、実は色々と種類があるそうです。

基本のシュトーレン

すべてのシュトーレンの基本は以下のようなものです。

  • 粉は1キロ程度
  • 6割以上ドライフルーツ
  • 脂分が4割以上
  • シュトーレンスパイスが入っているか
  • マジパンが生地に入っているか

ドライフルーツはレーズン、プルーン、イチヂク、オレンジピールなどです。

クリスシュトレン

シュトーレンの日持ちを良くするために生地に入れるのがマジパン。生地の中にしっかりマジパンを混ぜ込んであり、切ったときに生地とマジパンが混ざって見えないのが「クリスシュトレン」です。クリスマスのアドベントの期間に4週間にわたって食べるため、しっかり生地にマジパンを練り込みます。

アドベントとはキリストの降誕を待ち望む期間のこと。クリスマスから一番近い日曜日から4週間前の日曜日が1週目のアドベントとなります。

ヴァイナハツシュトレン

シュトーレンを切ったときに、断面からはっきりマジパンが見えるのが「ヴァイナハツシュトレン」。クリスマス当日に食べることを目的として作られます。

野澤シェフ「その他にも、ドレスデンのシュトーレンで「ドレスナーシュトーレン」があります。ドレスデンの街独特のレシピなんですけど、そこは僕はあんまり詳しくないです。ただ、あんまりいろんなものが入っているわけではなくて、オレンジピールとレーズンくらい。それ以外にはクリームチーズを混ぜた「トプフェンシュトーレン」など、結構いろいろあるんですよ。ただ、チョコとかはあまり使わないプレーンの生地が多いですね」

家庭でもできる!シュトーレンの作り方

最後に、野澤シェフから家庭でもできるシュトーレンの作り方を教えていただきました。

材料

  • 薄力粉・強力粉:1kg
  • ドライフルーツ(レーズン、プルーン、いちぢく、オレンジピール):600g
  • マジパン:80g
  • バター:320〜400g(マジパンにも油分が含まれているため、合計で400gになるように調整する)
  • 牛乳:300g
  • 卵:2個
  • イースト:20g
  • 塩:6g
  • シュトーレンスパイス(シナモン、ホールスパイス、ナツメグ、カルダモンの4種類を好みで)と粉糖を混ぜたもの:40g
  • グラニュー糖:200g
基本的なシュトーレンがかなり大きいものなので材料も多めです。4分の1くらいで作れば家庭用オーブンでも対応できるのでは、とのことでした。

前段階:ドライフルーツの下ごしらえ

ドライフルーツ(レーズン、プルーン、イチヂク)をサッと熱湯に通し、ふっくらさせます。そこに味付けのためブランデーやラム酒を少し加えたものを、1ヶ月程度タッパーに入れて常温で放置します。オレンジピールやレモンピールを加えると香りが豊かになってなおよいです。

野澤シェフ「芯までレーズンやプルーンが戻るのと同時に、独特の芳醇な香りが出てくるんですよ。アルコールも角がない丸みのあるアルコールになります。さらに、ドライフルーツは糖度がすごく高いので、生地に混ぜ込んであげると防腐剤代わりになってきます」

STEP1:生地を混ぜる

まず、牛乳と卵をかき混ぜ、その中にグラニュー糖を半分とイースト、小麦粉の3分の1を入れてよく混ぜます。

混ぜ終えた後30〜40分程度おいておくと膨らむので、その中に残りの粉、グラニュー糖、マジパン、ドライフルーツ、バター、塩を入れてしっかり混ぜます。

STEP2:3つの山を作って焼く

生地を3つの山ができるように整形し、オーブンで焼きます。設定は180〜190度くらいで、40〜50分焼きましょう。

STEP3:生地にバターを染みこませ、砂糖をつける

焼き上がったら熱いうちにバターを染み込ませます。冷めてしまうとシュトーレンが強烈にバターを吸い込んでしまうので、熱いうちにサッとくぐらせてください。熱いうちにグラニュー糖もつけましょう。

バターとグラニュー糖は分量外です。

STEP4:完全に冷めたら粉糖をつけ、保存

完全に冷めたらグラニュー糖の上から粉糖でコーティングします。終わったら、ラップをかけて2〜3日保存しましょう。

保存場所は冷蔵庫でも常温の場所でもOKです。ただし、常温で保存する場合は太陽の当たらない涼しい場所に置きましょう。新聞紙など、遮光性のあるものでくるんでおいてください。

おまけ:シュトーレンの食べ方

しばらくおいておいた方がおいしい?

野澤シェフによると、シュトーレンはしばらくおいておいた方がオススメなのだそうです。焼きたては焼き立てなりのおいしさがありますが、シュトーレンそのもののおいしさは時間が経ってからの方が出てくるのだとか。

野澤シェフ「マジパンというものの力が発揮されるのは、焼きたてよりは時間がたってからの方です。置いてるあいだに生地がフルーツの水分を奪ったりだとか、しっとり感が出てなじむ。
おいしさがジャストの時期は、焼いてから1週間から2週間くらいかな。それ以降はどんどん固くなっていくので、いくらドライフルーツで水分とっても、もっと劣化していきます」

シュトーレンは薄く切ろう

シュトーレンは薄く切って食べるのがオススメ。けっこうどっしりしているのでその方が食べやすいという理由もありますが、キリスト教の習慣も関係しています。

教会に行くと神父さんから食べ物をもらうことがあるかもしれません。これは「聖餐」といって、キリストがパンとワインを手に取り「これはわたしのからだ」「これはわたしの血である」と弟子たちに与えたという聖書中の記載に端を発した行為です。今では「キリストの恵みをより多くの人に分け与える」という意味で、食べ物を神父さんから与えられるようになっています。

ここから、クリスマスに食べるシュトーレンもなるべく薄く切るのがよいということになったようです。

シュトーレンとともに迎えるクリスマスもいいかも?

パン屋さんなどで目にすることが多くなってきたシュトーレン。「毎年ケーキは欠かさない!」という人も多そうですが、今年のクリスマスはシュトーレンを食べてみませんか?遠いドイツに思いを馳せてみるのもいいかもしれません。

取材協力

  • ドイツパン・ウィーン菓子の専門店「Neues(ノイエス)」:野澤孝彦シェフ

オーストリア・ウィーンにて有名カフェハウス「オーバーラー」、皇室御用達「コンディトライ・L・ハイナー」にて主要ポストを歴任。その後、南ドイツへ向かい「ヴァンディンガー」にて製パン技術を習得、製菓チーフも務める。帰国後、1999年に横浜市に最初の店舗「コンディトライ・ノイエス」をオープン。現在は、赤坂7丁目ドイツ文化会館内にカフェレストラン「ノイエス」を構え、ウィーンおよびドイツの食文化の探求に情熱を注いでいる。

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