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老舗茶館に「台湾茶の基礎知識&おいしい淹れ方」を聞いてきた

東京から飛行機で約4時間という近距離にある、台湾。近場とあって旅費が比較的お安いだけでなく、ジブリ映画『千と千尋の神隠し』の舞台となったことでも話題になるなど、日本人に人気の旅行先となっています。そんな台湾の名物といえば、ズバリ「台湾茶」。

「凍頂烏龍茶」「東方美人」といったお茶の名前は聞いたことがあっても、味や特徴についてはあまりよくわからない…という方も多いのではないでしょうか。台湾は烏龍茶が有名ですが、日本で売られている茶色い烏龍茶とは違ってきれいな黄金色をしていて、香りや風味もとっても豊かなんです。

そこで今回は、中国茶専門店「華泰茶荘」の店主・林聖泰さんに、意外と知らない台湾茶を存分に堪能する方法を教えていただきました。便利な茶器やおいしいお茶の淹れ方についても、写真付きでご紹介します。

台湾茶の基礎知識

台湾茶といえば、烏龍茶!

台湾で有名なお茶というと、そのほとんどが烏龍茶なのだそうです。島の真ん中に位置する中央山脈がお茶の主な生産地で、烏龍茶だけでも30〜40種類以上が作られています。

実は、紅茶・緑茶・烏龍茶などのお茶はすべて、ツバキ科の「カメリアシネンシス」という樹から作られています。同じ樹の葉を使っているのになぜ違うお茶ができるのかというと、茶樹の品種と茶葉の発酵や焙煎の度合いによって個性が出るためです。

緑茶 発酵度0パーセント(不発酵茶)
烏龍茶 発酵度15〜75パーセント(半発酵茶)
紅茶 発酵度100パーセント(発酵茶)

緑茶と紅茶が白黒はっきりついているのに対し、烏龍茶の発酵度合いは15〜75パーセントと幅があります。そのため、同じ烏龍茶のなかでも、発酵度が高いものと低いもので香りや味が大きく変わってくるのだそうです。

台湾の代表的な烏龍茶

  • 清茶(包種茶):発酵度15パーセント程度

清茶は烏龍茶のなかでも発酵度が低いため、緑茶に近い味となっています。華やかな蘭のような甘い香りで、さっぱりとしつつも芳醇な甘みがあるのが特徴です。その繊細な味わいから「茶通のお茶」とも呼ばれています。

  • 凍頂烏龍茶:発酵度20〜30パーセント

台湾でもっとも人気のあるお茶が、凍頂烏龍茶です。手積みで何度も揉んで作られた茶葉は、固く丸くよじれていてサイズもコンパクトなため、お土産としても最適です。花の香りとまろやかな味のバランスがよく、淹れ方によって様々な表情を楽しめるのも魅力のひとつです。

  • 鉄観音茶:発酵度30〜40パーセント

鉄観音茶には、台湾産の木柵鉄観音と福建省産の安渓鉄観音の2種類があります。台湾産の鉄観音茶は美しいアンズ色をしており、味と香りにも甘みがあります。鉄観音茶は脂肪を分解する酵素がもっとも豊富だといわれていて、最近では美容・健康を気にする人からの人気も高いのだそうです。

  • 東方美人茶:発酵度50〜70パーセント

烏龍茶のなかでも発酵度が高く、フルーティーな甘い香りとはちみつのような自然な甘みがあるのが、東方美人茶です。風味が紅茶によく似ているためヨーロッパなどでも人気が高く、「オリエンタル・ビューティー」という名称で紅茶店に並ぶこともあるそうです。

台湾茶の健康効果

お茶というと、やっぱり気になるのは健康効果ですよね。烏龍茶に限らず、お茶には「カフェイン」「ポリフェノール」「アミノ酸」が含まれていて、それぞれの成分に体にうれしい効果があります。

カフェイン 脂肪燃焼効果
ポリフェノール 抗酸化作用・美肌効果
アミノ酸 リラックス効果

緑茶に含まれる「カテキン」も、実はポリフェノールの一種です。お茶に含まれるアミノ酸はたくさんありますが、特に含有量の多い「テアニン」は、甘み・旨みのもとにもなっています。

このようなお茶の健康効果から、「お茶を飲むとガンにかかるリスクが減る」という国連の調査結果もあるそうです。ただし、お茶に含まれる成分が体の中で効果を発揮するのは3時間。そのため、健康を意識するのであれば、朝晩2回などではなく、日中もこまめに飲むのがいいそうです。

台湾茶を買う時のポイント

台湾の烏龍茶はおよそ30〜40種類ほどあるので、初心者でなくとも、どれを選べばいいか悩んでしまいますよね。そこで、林さんに台湾茶を買う際のポイントを教えていただきました。

まずひとつめは、自分の口に合うお茶を選ぶということ。買う前にテイスティングができるのが一番ではありますが、それがむずかしければ発酵度を目安に選ぶといいでしょう。緑茶好きなら「凍頂烏龍茶」、紅茶好きなら「東方美人」をまずは選んでみるのがオススメです。

そして、ふたつめは予算。台湾茶の場合、標高の高い山で生産されている「高山烏龍茶」は高級品で、香りの持続性も高いのだそうです。

林さん「いいお茶だと何杯飲んでも香りが落ちませんし、冷ましてもおいしくいただくことができます」
常飲用であれば安いもの、台湾茶ならではの香りを楽しみたいのであれば高いものを選んで、飲みわけるのがオススメだそうです。

おいしい台湾茶の淹れ方

まずは茶器選びから

台湾茶の醍醐味は「香り」にあります。香りをより楽しむためには、まず茶器にこだわる必要があります。

台湾茶を淹れている写真を見ると、「茶器の数が多い」ということに気づきますよね。写真手前の細長い筒のような器は、「聞香杯(もんこうはい)」と名付けられています。

この聞香杯は約30年前に台湾で考案された茶器で、急須のお茶を飲杯(おちょこ)に入れる前にまずはこちらに入れ、聞香杯に残った香りを楽しむものとされています。

林さん「普段用でガブガブ飲むにはマグカップなどでかまいませんが、ちょっと高級な茶葉が手に入ったら、ぜひ聞香杯セットを使って香りを楽しんでみてください」

台湾茶の淹れ方

  • STEP1:急須に茶葉を入れる

茶葉は、急須の底に敷き詰めた程度が適量になります。具体的には、お湯150ccにつき茶葉3〜7gを入れるといいでしょう。

  • STEP2:急須にお湯を入れる

香りを立たせるために、お湯の温度は90度以上にしましょう。よく揉まれて丸まっている茶葉ほど、高温で淹れるのがベターです。

  • STEP3:茶葉を蒸らす

お湯を入れてから30秒間茶葉を蒸らします。濃い目に淹れたい場合は1分程度。2煎目以降は、蒸らす時間を30秒ずつ長くしていきます。茶葉を蒸らしている間に、聞香杯と飲杯をお湯であたためておきましょう。

茶葉についているホコリを取るために、1煎目のお湯は捨てるという淹れ方もありますが、必ずしもお湯を捨てる必要はありません。
  • STEP4:お茶を茶海に注ぐ

急須に入れたお茶が濃くならないよう、茶海というピッチャー容器にお茶を移します。

  • STEP5:茶海に入れたお茶を聞香杯に注ぎ、飲杯に移す

聞香杯では残り香を楽しみ、飲杯でお茶をいただきます。

  • おいしいお茶の完成!

茶葉が開ききるまで、およそ5煎程度は最初の茶葉のまま楽しむことができます。

残った茶殻は再利用して、エコ!

残った茶殻は、料理として使ったり、刻んでガーデニングの肥料としても再利用することができます。

林さん「茶殻を料理に使うなら、肉と一緒に蒸せば油が取れて香りもつきます。肥料として使う場合も、天然のチッ素がいい肥料になります」

おいしいお茶を楽しんだら、茶殻まであますところなく使いましょう!

台湾茶のカジュアルな楽しみ方

常飲に便利なアイテム

おいしい台湾茶を手に入れたらぜひ聞香杯セットを使って香りも存分に楽しみたいですが、そうはいっても、大量の茶器を毎回洗うのは大変ですし、職場に聞香杯セットを持ち込むのもなかなか難しいですよね。そこで、時間がないときや出先では、茶こし付きのマグカップや水筒があると便利です。

  • 茶こし付きマグカップ

ササッと台湾茶を飲みたい時には、こちらの茶こし付きマグカップが便利です。簡易的ではありますが、茶器と同じように、お湯をつぎ足せば何回もお茶を楽しむことができます。

林さん「台湾のオフィスでは、ほとんどの人がこの茶こし付きマグカップを使ってお茶を飲んでいます」
  • 茶こし付きエコ水筒

台湾茶の持ち歩き用に、なんと水筒タイプも販売されているそうです!こちらは下部に茶こしが付いており、茶こし部分も取り外せるので洗う時にもとっても便利。

高級茶をゆっくりリラックスして楽しみたいなら聞香杯セット、常飲用にはマグカップや水筒、というふうに、シーンに合わせて茶器を使いわけるといいでしょう。

台湾茶の水出しはNG!

冷たいお茶を飲みたいとき、麦茶などは水出しで作る方も多いかと思いますが、台湾茶はなるべく水出ししないほうがいいそうです。台湾茶特有の香りを立たせるためには、90度以上のお湯で30秒以上蒸らさなければいけません。なので、冷たいお茶をいただきたい時でも、まずはお湯で淹れ、冷ましてから飲むようにしましょう。

生活スタイルに合わせて台湾茶を飲もう!

味がいいだけでなく、リラックス効果や様々な健康効果がある台湾茶。毎日飲もうと思っても、毎回たくさんの茶器を使って淹れていては、手入れも面倒でなかなか続かないものです。自分の好みに合う茶葉を見つけたら、リラックススタイルとカジュアルスタイルを使いわけて、日々の生活に台湾茶の喫茶習慣を取り入れてみてくださいね。

取材協力:「華泰茶荘」林聖泰さん

台北一の歴史を誇る老舗「林華泰茶行」「華泰茶荘」の五代目後継者。日本華泰茶荘マネージャーを務めつつ、中国茶講習会、イベント、地方自治体での講演、コンサルティング業務などを通して、中国茶の本当の味とおいしさ、中国文化を広く日本の人たちに知ってほしいと積極的に活動を展開している。中国茶葉学会会員(中国政府認定)、日本中国茶文化協会理事、日本中国茶インストラクター協会理事長、中国茶鑑定士。

「華泰茶荘」渋谷店
住所:〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-18-6
電話番号:03-5728-2551

(image by nanapi編集部)

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