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台湾で育まれた豊かな「お茶文化」、実は奥が深かった!

この黄金色の飲み物、何だかわかりますか?そう、台湾茶です。美容や健康にいいとのことで、現在女性を中心に人気になりつつあります。2015年の10月には原宿に台湾茶のカフェがオープンしたこともあり、さらに人気が高まりそう。

日本ではお茶というとペットボトルでコンビニに売っているものか、はたまた茶室で伝統的な作法に則り提供される茶道など、たしなみ方が両極端な印象。しかし、お茶大国である台湾では日本とは違うお茶文化があるに違いありません。

台湾ではどんなふうにお茶と親しんでいるのでしょうか。今回は、台湾で170年以上の歴史を持つ老舗の直営店「華泰茶荘」の店長・林さんに取材。台湾茶の歴史や楽しみ方を聞いてみました。

本記事は、2015年12月の取材情報をもとに執筆されたものです。

台湾茶とは?

台湾茶とは台湾で生産されるお茶のこと。もともとのルーツは中国茶であり、その点では私たちが普段飲んでいる日本茶とも関係があります。特徴としては台湾茶はとても香り高く、味とのバランスを大切にしています。

「台湾茶」の中で有名なものといえば2つ、凍頂烏龍茶高山烏龍茶。どちらも高級品は黄金色で美しく、茶葉の状態でスーパー等でも売られています。凍頂烏龍茶の方は日本でもペットボトルで売られているので知っている人も多いのでは?

お茶の歴史

唐:お茶の誕生

お茶を飲む文化が生まれ、全国に広まっていったのが8世紀あたり、唐時代のこと。陸羽という唐時代の文筆家が「茶経」という茶の知識をまとめた本を残しています。日本茶のルーツはこの本にあるとされ、日本でも翻訳本がいくつか見つかっています。

お茶を飲んだらリラックスする、体にいいなどとされていたため、上流社会ではお茶専用の茶道具を使うようになります

上流階級以外では僧侶が神様にお茶を供えたりしていたようです。この時代は日本からも遣唐使が派遣されています。日本の僧侶達も留学僧として派遣されており、仏教の勉強をする傍らお寺でお茶の作法も学びました。それが持ち帰られ、日本茶として日本で定着することになります。

宋:上流階級の楽しみとしてのお茶

宋の時代になると、お茶は富裕な市民が嗜むものになります。お茶を飲みつつ、絵を書いたり、詩を吟じたり、書を嗜むなどして楽しんでいたようです。

お茶の飲み方も変化します。唐の時代はお茶を煮出す飲み方でしたが、茶葉を粉末にしてお湯とかき混ぜるという抹茶のような飲み方になります。お茶碗の中で茶筅を立てるという方法は8〜10世紀あたりに生まれました。

明〜清:お茶の種類が増える

13〜15世紀の明や清の時代になると、急須を使ってお茶を淹れるようになります。この時代は大航海時代でもあるので、中国のお茶や陶磁器が世界に広まったりもしたようです。

緑茶のほか、お茶の種類が増えてきたのもこの頃。地方では茶葉を完全乾燥できず黄色っぽくなったり、お茶から微生物が出てプーアール茶になるなど、自然発生的に新種のお茶が誕生。これらは「緑茶の変化球」と捉えられているようです。「北京のほうまでお茶を運んでいくとお茶の香りがなくなる」という理由からジャスミンの香りをつけてジャスミン茶も生まれました。

また、蒸すよりも炒めたほうが香りがよくなるので、明の時代はお茶を炒めていました。皇帝にも炒めたお茶を出していたそうです。

清崩壊〜中華人民共和国:お茶が台湾で発展

1966年から毛沢東の文化大革命が始まります。お茶は贅沢の象徴として弾圧され、栽培が制限されることに。この期間は中国のお茶文化が断絶し、代わりに台湾や香港で茶芸などのお茶文化が発展していきます。

中国・台湾それぞれのお茶事情

中国茶と台湾茶の違い

中国茶と台湾茶の違いは主に産地。台湾茶は台湾、中国茶は中国で生産します。そして、台湾で生産されているのは主に烏龍茶で、中国では主に緑茶です。台湾では烏龍茶以外はごく少数ですが、緑茶、紅茶なども作っているそうです。

烏龍茶というと茶色を思い浮かべると思いますが、台湾の烏龍茶は茶色ではなく黄金色。発酵の程度によっては少し赤っぽくなったりオレンジっぽくなったりします。現地の認識からすると、茶色っぽくなるのは下級茶なのだとか。

林さん「茶通の間では、台湾では世界最高峰といっても過言ではない烏龍茶を生産すると評判です。なぜかというと、烏龍茶の400年の歴史の中では、台湾のほうが後発なんです。一番完成形に近い烏龍茶を仕上げます」

人気のないお茶は淘汰される?

日本とはかなり趣が異なっている中国・台湾のお茶事情。両者ともお茶大国なので、新しい物がどんどん出てきて人気のないものは消えていくそうです。

例えば、台湾のお茶農家は自分で販売ラインを持っており、直売することが可能。多少規格からはずれていても日本のように「規格外」といわれることもなく、生産者によって異なった味のお茶が流通します。

林さん「お茶の香りや味には人間と同じようにさまざまな個性があって、中国茶は1600種類以上のお茶があります。なので、お茶に個性がないと残らないですね。ワインを買うのと同じようなこと。おいしいものもまずいものもあり、選択権は農家や庶民にある」

中国茶や台湾茶は、生産者個人が香りと味のバランスを追求しているようです。

台湾でのお茶の楽しみ方

茶館でのお茶の楽しみ方

茶館(茶芸館)とは中国式の喫茶店のこと。茶館とは老人たちが集まり、お茶を飲みつつ麻雀をやったりする場所だったようです。

現在では、茶館には螺鈿入りの綺麗なテーブルがあり、音楽がありという洗練された場所に変身。この変化は台湾で、生活の余暇が誕生したうえで起こりました。茶館は台湾の烏龍茶文化を広げる重要な場所だと考えられています。

おもてなしもお酒ではなくお茶で

台湾では家にお客さんを招いたとき、ビールではなくお茶でおもてなしをします。仕事の契約などをするときにもお茶だそうです。

日本では接待でお酒を飲んだりもしますね。コミュニケーションの緩衝剤としてお酒を使っている部分もあるわけですが、台湾の人は「大切な場面でお酒で酔っ払うと契約ができなくなる」という考えで飲まないようです。

林さん「お茶の中には理性がある。そういう茶文化からしても、台湾のお茶は奥が深い」

もてなすときは、主人が小さな急須で烏龍茶を淹れながらお相手をするという形。一番偉い人がお茶を淹れながらお話をします。これも日本人からするとちょっと驚きですね。

主人がお茶を淹れながら話のリズムもコントロールします。主人があまり話さないとお客さんもあまり話さないし、主人がよく話をするならお客さんもたくさん話します。発言権はお茶を淹れる人が握っているのです。

台湾茶に合う料理はない?

中国料理といえば飲茶、そして烏龍茶というイメージがありませんか?しかし、飲茶を作ったのは香港。点心やデザートが出て話しながらお茶を飲むのは香港スタイルなんです。

しかし、台湾の茶館はお茶が中心。そのためお茶に合う料理というのはそこまでは考えられていません。

林さん「台湾でも、家庭では夜ご飯を食べ終わった後に、みんなでリビングで集まってお茶を飲みながら話をするのが台湾スタイル。お茶というのはリラックスしてコミュニケーションするための道具だといえます」

香り高い台湾茶を楽しもう

台湾茶の魅力といえば、お湯を注ぐとフワーッと立ち上ってくるいい香り。日本のお茶にはないものです。

これからは緑茶、紅茶の時代から台湾烏龍茶の時代がやってくるかもしれません。お茶好きの人はぜひチェックしてみてくださいね。

取材協力:「華泰茶荘」林聖泰さん

台北一の歴史を誇る老舗「林華泰茶行」「華泰茶荘」の五代目後継者。日本華泰茶荘マネージャーを務めつつ、中国茶講習会、イベント、地方自治体での講演、コンサルティング業務などを通して、中国茶の本当の味とおいしさ、中国文化を広く日本の人たちに知ってほしいと積極的に活動を展開している。中国茶葉学会会員(中国政府認定)、日本中国茶文化協会理事、日本中国茶インストラクター協会理事長、中国茶鑑定士。

中国茶・台湾茶・茶器専門店「華泰茶荘」渋谷店
住所:〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-18-6
電話番号:03-5728-2551

(image by nanapi編集部)

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