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恋愛関係だと法的関係にならないのはなぜ?弁護士さんに聞いてみた!

最近巷を賑わせている、某芸能人の不倫騒動。最初はどちらも独身だと思われていたので、「相手が結婚してさえなければなあ……」と思った人も多いのでは?

しかし、もし三角関係に陥ったとしても、独身でありさえすれば「慰謝料払え!」とは言われませんよね。既婚者となるといきなり法律で縛られるのに、独身であれば縛られないのはなぜなのでしょうか?

今回は独身の恋愛と既婚者の恋愛の法律面での違いを、アディーレ法律事務所の弁護士さんに聞いてみました。

本記事は、2016年2月の取材情報をもとに執筆されたものです。

独身の恋愛と既婚の恋愛、法的にどう違うのか?

既婚者の恋愛と独身の恋愛は何が違うのでしょうか。夫婦は2人の関係に責任を負っており、浮気などすると慰謝料を払ったりします。しかし、独身同士の恋愛だとそういうことはありません。一体なぜ?

なんで既婚者の恋愛は禁止されるの?

夫婦の不倫の場合、「故意または過失により他人の権利を侵害した者はその損害を賠償する責任を負う」とする民法709条の「不法行為」の箇所が慰謝料を請求できる根拠となります。

不法行為とは、他人の権利を違法に侵害する行為のことです。不法行為をしてしまった場合、加害者は被害者の損害を賠償する責任が生じます。

篠田先生「夫婦の一方が不倫をした場合、円満な夫婦生活を継続する権利が侵害され、これによって精神的苦痛(損害)を被ったとして、その苦痛を賠償する責任(慰謝料の支払責任)が生じるというわけです。婚姻関係に至った以上、円満な婚姻生活を継続することは、一種の法的保護に値する権利として考えられています。
 
また、円満な婚姻生活を継続するために、夫婦の間には、貞操義務=他の異性と肉体関係を結んではいけないという義務が課せられることとなります。夫婦の一方が不倫をする行為は、この貞操義務に違反する行為となり、婚姻関係に亀裂を生じさせる行為として、不法行為が成立し、慰謝料の支払義務を負うことになるわけです」

不倫はパートナーに精神的な苦痛を与える不法行為であり、他人との肉体関係は貞操義務に違反する行為である。この2点から、既婚者の恋愛(不倫)は法律で禁止されているのですね。

なぜ独身の恋愛だけ自由なの?

一方、独身同士の恋愛は既婚者に比べて自由です。例えば、浮気したりされたりした場合にも、慰謝料を支払ったりといったことはありません。

篠田先生「日本の法律上、<婚姻関係><内縁関係><婚約関係>については、『法的な保護に値する権利』とされ、これを侵害された場合に慰謝料を請求できるとされています。一方、恋愛関係は、いまだ「法的な保護に値する権利」とまでは認められていないのです」

慰謝料は「精神的な苦痛を与えたことに対する賠償」を意味します。独身同士でも浮気されたことによって精神的な苦痛を感じるのは同じだと思われますが、なぜ法的に保護されないのでしょうか。

篠田先生「恋愛といっても、どこまでがお付き合いといえるのか、数日間お付き合いしただけで浮気の慰謝料を認めてしまってよいかなど、線引きは難しいと言えます。このように、恋愛関係まで法的権利として保護をすると、その範囲は無限に広がってしまう可能性があるためです」

確かに、告白せずになんとなく一緒にいて付き合い始める人もいますし、男女の関わり方も多様化しています。第三者から付き合っているかいないかを判断することは難しく、そんな関係を法的に保護するのも難しいかもしれません。

同様に、夫婦であっても「傷ついた」という理由ならどんな場合でも慰謝料が認められるわけではないようです。やはり、裁判上は「法的保護に値する権利が侵害されたか否か」という見地で、ある程度厳しく判断されることになります。

法的関係になるラインってどこ?

「独身の恋愛に法的責任はない」とはいっても、「付き合い始めてすぐ」と「婚約中」ではやはりちょっと違う気がします。一体どこまでがセーフでどこからがアウトになるのでしょうか?

浮気したら、どこから慰謝料を払う?

篠田先生「どんなに長くお付き合いをしているカップルであっても、内縁関係(事実婚の関係)や、婚約をしていない限りは、浮気をされても慰謝料請求はできません。やはり、純粋な恋人という関係のままでは、これを侵害されても法的な権利を侵害されたとはいえないからです」

つまりお付き合いしているだけだったら、何十年の付き合いがあろうと損害賠償の責任はないということですね。上記のように、恋愛関係に線引きをするのは難しいのです。

篠田先生「一方、婚約をした二人は、不当に婚約を破棄されない・婚約しているという関係を侵害されないという法的権利を持っていることになります。当然、結婚を約束している二人なのに不倫をした場合には、不当な婚約破棄となる可能性もあります。少なくとも婚約関係を侵害されたという評価になりますので、不法行為が成立し、慰謝料請求が認められることとなります」

法律上ではあらゆる約束・合意のことを「契約」と呼びます。婚約も一種の男女間の契約です。契約である以上は成立すれば守らねばならず、一方的に破棄したり、破談に追いやったりしてはならないとされます。

婚約が成立すると、不倫してはいけないのはもちろん、結婚しなければならないのが原則です。

「婚約中」の定義とは?

婚約していれば法的関係は発生するようですが、具体的にはどういう状態が「婚約」ということになるのでしょうか?

篠田先生「婚約とは、正式には『婚姻予約』といい、将来正式に結婚しようとする男女の合意をいいます。
 
日本の法律では、契約は口約束でも成立するとされています。ただ、契約は真意に基づかねばならないとされていますので、一時の情熱に任せて言ってしまった、酔っぱらった勢いで言ってしまった、といったケースでは婚約は成立しないとされています」

基本的には口約束でOKですが、認められるかは場合によりけり。婚約の成立を証明したい場合は、婚約指輪の交換や結納、結婚を前提としたメール等の証拠があった方がいいとのことです。

事実婚の場合は法的関係になる?

新しい結婚の形として「事実婚」というものがありますが、事実婚は法的に夫婦関係であると認められているのでしょうか?どちらかが不倫した場合は慰謝料は発生するのでしょうか。

篠田先生「事実婚=内縁関係は、『事実上夫婦としての共同生活を営み、世間からも夫婦と認められているが、戸籍の届出をしていない結果、法律上は夫婦関係として認められない男女の関係 』のことをいいます」

夫婦のように暮らしていても、やはり届出がないと法律上は夫婦として認められていないのですね。ではやはり慰謝料も発生しないのでしょうか?

篠田先生「籍を入れていない以上、法律上は、<婚姻関係><夫婦関係>にはなりません。しかし、事実婚の夫婦には『不倫をしてはいけない』等の縛りもあり、なるべく法律上の夫婦と同様の扱いをしようという考え方がとられています。<婚姻関係類似の関係>もしくは<準婚姻関係>ということができるでしょう」

準婚姻関係にあると認められると、慰謝料や財産分与の請求も可能。この場合も住民票の記載や第三者の証言などの証拠があると認められやすいそうです。

独身同士でも法的責任が生じる場合って?

独身同士の恋愛であっても、慰謝料の支払義務が生じる可能性が高いケースがいくつかあります。 

ストーカー、暴力などの不法行為が成立する場合

暴行や傷害、名誉棄損やストーカー行為などの違法行為を行った場合。一般的な不法行為が成立するため、当然慰謝料も発生します。

貞操権侵害に当たる場合

貞操権とは、女性がみだりに自身の肉体を奪われない権利のこと。この貞操権の侵害を理由に慰謝料を認められるケースがあります。

婚姻する意思が全くないのに「結婚する」などとだまして性行為に至った場合は、女性からの慰謝料請求が認められます。過去の裁判例でよく見られるのは以下のようなケースです。

  • 妻がいることを隠して性行為に及んだ
  • 「妻とは離婚する」などと嘘を言って性行為に及んだ

特に、女性が妊娠した場合は慰謝料の金額は高くなります。100万円を超える慰謝料が認められたケースも少なくありません。

女性が妊娠して男性が逃げた場合

女性が妊娠した場合に、話し合いに応じず逃げ出すという行為についても慰謝料請求が認められる可能性があります。

父親である以上は、お腹の子をどうしていくのか、母親である女性と真摯に話し合いに応じるべき義務があります。しかし逃げ出した場合はこの義務に違反するため、慰謝料請求が認められるのです。

独身でも既婚でも浮気は浮気

微妙な部分はいくつかありますが、基本的には独身の恋愛は法的責任がないということがはっきりしましたね。しかし、これは独身だからといって浮気をしてもいいという話ではありません。独身時代の恋愛は基本的に自由ですが、相手を傷つけるようなことは避けましょう。

取材協力

アディーレ法律事務所・篠田恵里香先生:東京弁護士会所属。債務整理をはじめ、男女トラブル、交通事故問題などを得意分野として多く扱う。離婚等に関する豊富な知識を持つことを証明する夫婦カウンセラー(JADP認定)の資格も保有している。多数のメディア番組に出演中。

(image by 写真AC1 2 3 4)

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