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生活力ゼロの恋人を同棲解消して家から追い出すのは法的にアウト?セーフ?

結婚を視野に入れてスタートすることも多い、恋人との同棲生活。順調にいけば、「恋人」から「生活をともにするパートナー」へと2人の関係はステップアップしていくはず。しかし、別れたくてもなかなか別れられないというデメリットもあります。

特に怖いのはお金のトラブル。「同棲中の恋人が仕事をやめたり浪費癖が悪化したりして、家賃や生活費を肩代わりするはめに。これでは一緒に暮らしていけないから、同棲を解消して、家から出て行ってもらいたい。でも、そうしたら恋人が住む場所に困ってしまうから、別れを切り出せない…」そんな泥沼な状態に陥ってしまう可能性もあります。

このような場合、どうしたらいいのでしょうか。今回はアディーレ法律事務所の正木裕美先生に、法的な解決策を伺ってみました。

本記事は、2016年2月の取材情報をもとに執筆されたものです。

お金が無い同棲中の恋人を家から追い出すのは法律的にアウト?セーフ?

自分名義の部屋で同棲している場合は…?

一緒に暮らしている恋人が、自分では家賃や生活費を用意できないほどお金に困っていた場合、心理的には別れにくくなってしまうもの。しかし、法的にはどうなのでしょうか。

正木先生「彼と同棲することについて期間などの特段の約束をしていないなら、好意で建物を使わせてあげているだけ、つまり「使用貸借契約」にあたります。目的や期間を定めない使用貸借契約では、いつでも目的物の返還を求めることができるとされています。彼に部屋から出て行かせたとしても、通常は民事上も刑事上も問題にはなりません」

住居が自分名義になっていて、2人のあいだで同棲の目的や期限などの約束をしていなければ、部屋から追い出してしまっても特に問題はないんだそう。

同棲カップルの中には婚約している、内縁関係(入籍していないが、実質的には夫婦のような関係)になっているケースも多いはず。その場合はどうなのでしょうか。

正木先生「別れて家から追い出すことで『婚約や内縁の不当破棄だから慰謝料を払え!』と言われる可能性はあります。しかし、もしパートナーが仕事を辞めて定職に就こうとしない、浪費癖が悪化して改善の見込みもない状況だったら、関係解消には正当な理由があると言えそうです。払うべき慰謝料は発生しないと主張できる可能性が高いですね」

恋人が一緒に生活を続けられないような行動をしているなら、慰謝料の請求を断れる見込みが高いそう。ダメな人だけど、そばにいる私が面倒みてあげないと…と我慢する必要はないのかも。

恋人名義の部屋で同棲している場合は…?

反対に家の名義が恋人の場合、法的にはすぐに出て行かせる方法がないんだそう。大ケンカになりそうな気がしますが、話し合いで解決するのがベターなんだとか。新しく部屋を借りて、自分が出て行ってしまうほうが楽かも。

ただし、同棲解消したあとまで恋人とのお金のトラブルが続くケースも。

正木先生「恋人名義の部屋の連帯保証人になっている場合、恋人が払わなかった家賃を請求されてしまうでしょうから、話し合いをして出て行ってもらうべきでしょう。さらに、部屋の賃貸借契約を自分名義に改めて、借り直さなくてはいけませんね。大家さんが名義変更を渋る可能性もありますが…」

別れたときのリスクを考えずに、これから一緒に暮らす部屋だからと連帯保証人になってしまうと、同棲解消してからも恋人が払わなかった家賃を請求される可能性が。不動産屋、大家まで巻き込んでしまうため、2人の問題では済まされません。

恋人の肩代わりをした家賃や生活費は返してもらえる?

どういう約束でお金を渡したかが大事!

恋人が働かない、お金を使い込んでしまうなどの理由で同棲解消する場合、もうひとつ気になるのは肩代わりした家賃、生活費を返してもらえるのかどうか。請求することはできるのでしょうか。

正木先生「恋人とどんな約束をして支払ったかによります。たとえば、『今、お金がないから貸して』『後で返すから代わりに払って』と約束していたら、金銭消費貸借契約が成立するので、貸したお金を返すように請求できます。また、お金の貸し借りの話をしていないとしても、生活費を立て替えてあげることで恋人が法律上の原因なく生活費分の得をしていたことになれば、不当利得返還請求としてお金の返還が請求できる可能性もあります。しかし、同棲の実態にも大きく影響されるので、一概には言えません」

ケースバイケースで答えが異なるため、ハッキリとしたことを言うのは難しいよう。また、お金を貸すときには証拠を用意しておかないと、あとから「借りてない、あのお金はもらった」などと言われてしまうかも。

  • 借りた金額や返済期限などを書いた契約書、借用書
  • 立て替えたお金を証明する領収書やレシート、振込依頼書

などを用意しておかないと返してもらえない可能性が高くなってしまうそう。カップル間では書類を書いてもらうのが難しいこともありますが、お金を返すと言ったメールや録音音声も有効です。

内縁関係の場合は、返してもらえない可能性が高い

もし、実質的には夫婦のような状態になっている内縁関係のカップルの場合、肩代わりしたお金は返してもらえるのでしょうか。

正木先生「内縁関係にある場合、夫婦と同様に協力扶助義務が発生します。2人で生活費を出し合い、協力しあって生活するのが当然のことになるので、生活費を立て替えた、貸したという主張は認められにくいと思います。お金を返してもらうのは難しいですね。仕事に就かない、お金を使い込むなどの恋人の行動が内縁関係を継続しがたい重大な事由にあたるとして、慰謝料等を請求して、立て替えた生活費を実質的に清算するという手はあるかもしれません(ただ恋人の支払い能力は問題になりますね…)」

入籍していなくても法的には夫婦のように扱われてしまうため、お金を返してもらうのは難しいんですね…。トラブルを回避するためには、いくら相手が好きでもお金に関しては甘えさせないようにしたほうがよさそう。

思い切って別れるのも手!

恋人がお金に困るようになり、家賃すら払えない状態に…。薄情にも思えますが、そんな場合は思い切って同棲解消するのも手。

恋人には一時的につらい思いをさせることになりますが、住み込みの仕事を探したり、家族や公的機関に相談したりすれば、またちゃんと生活できるようになるはず。お互いが成長して幸せになるためには、時には別れが必要なのかもしれません。

記事監修

アディーレ法律事務所・正木裕美先生:愛知県出身・愛知県弁護士会所属。男女トラブルをはじめ、ストーカー被害や薬物問題、ネット犯罪などの刑事事件、労働トラブルなどを得意分野として多く扱う。身内の医療過誤から弁護士の道へと進む。

2月12日より、正木先生監修の書籍「愛とお金と人生の法律相談」が全国のコンビニ、書店などで発売。ストーカー、不倫などの恋愛トラブルからセクハラ、詐欺、借金ほか日常のちょっとした疑問まで、女性を取り巻く様々な問題をイラスト入りで優しく解説しています。

(image by amanaimages)

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