\ フォローしてね /

「別れたら死ぬ」と言う恋人と別れたら罪…?弁護士の先生に聞いてきた

「別れたら死ぬ」「捨てられたら生きていけない」と言われてしまい、別れたくても別れらない…。誰しも一度は耳にしたことのある、いわゆる「重い」恋人のエピソード。実際にそれで困っている友人がいるという方も多いのではないでしょうか。

自分の判断で恋人の運命が変わるかもしれない究極の選択を迫られるのも悩ましいですし、それに対して友人としてアドバイスするのも難しいものです。「さっさと別れなよ」とつい言いたくなるところですが…そんなことを言って、本当に自殺や自傷をしてしまったら…?

こんな場合、どうしたらいいのでしょうか。今回は弁護士法人アディーレ法律事務所の正木裕美先生に伺ってみました。

本記事は、2016年3月の取材情報をもとに執筆されたものです。

「別れたら死ぬ」「捨てられたら生きていけない」と言われたら、どうしたらいいの?

別れても大丈夫?

「別れたら死ぬ」と言われたら、恋人の命を守るためにいやいやながらも交際を続けたほうがいいのでは、と思ってしまうもの。もしそこで別れを決断し、恋人が本当に自殺、自傷してしまったらどうなるのでしょうか。罪に問われる可能性は…?

正木先生「法的には結婚や婚約、内縁関係という特別な関係にない限り、交際はあくまで自由恋愛です。付き合うも別れるも自由なのが原則とされていますから、別れを選択することは罪になりません。また、自分の意思で自ら命を絶つ自殺は、未遂を含めて犯罪とはされていません。別れただけで恋人が自殺、自傷したとしても罪には問われないでしょう」

結婚や婚約をしていたり、内縁関係になったりしていなければ、こんなケースでも別れるだけで罪に問われることはないんだそう。

正木先生「しかし、他人の自殺に関与することは法的に許容されません。自殺の手助けをすれば自殺幇助罪、自殺のそそのかしは自殺教唆罪として罪に問われることがあります。また、自殺しか選択肢がないような精神状態になるほど追いつめた結果、自殺してしまったときは殺人罪として処罰されることもあります」

とはいえ、自殺を助ける、そそのかす、「死ね」と言って自殺に追い込むなどした場合は犯罪になる可能性が。別れ話でイライラしても、つい攻撃的な言動をしないように注意しないと…。

「さっさと別れなよ」とアドバイスするのは?

また、こんなドロドロした恋愛で悩んでいる友人を見たら、「さっさと別れなよ」とアドバイスしたくなってしまうもの。何の気なしに言ってしまって、本当に自殺が起きてしまったらどうなるのでしょうか。法的な見解は?

正木先生「先ほど述べたとおり、恋人との別れを選択すること自体は自由で、相手がショックのあまり自ら命を絶つ選択をしたとしても罪にはなりません。アドバイスの結果、そうなってしまったら自分の責任を感じ、深く傷つくこともあるかもしれませんが、罪には問われません」

別れを勧めてしまったとしても、法的な問題は発生しないとのこと。でも、本当にこんな事態になったら、トラウマになってしまいそうですね…。

そもそも「別れたら死ぬ」のような発言ってどうなの?

もうひとつ気になるのは、そもそも「別れたら死ぬ」などと発言するのは問題ないのかということ。別れたがっている恋人をとてつもなく困らせる一言ですが、どうなのでしょうか。

正木先生「法的には『別れたら死ぬ』と発言するだけなら罪にはなりません。ただし、ちょっと言い方が変わると罪になる可能性があります」
  • 脅迫罪:「別れたら殺す」と言って、相手の生命や身体、財産に対して害を与えることを告知
  • 強要罪:「別れたら殺すよ、だから付き合って」と脅迫を手段として法的に義務のない交際継続を迫る
  • ストーカー規制法違反:嫌がる相手に「別れたら死ぬ」と電話やメール送信し続ける

別れにくい状況を作るという点では同じでも、表現の仕方が少し違うだけで法的な扱いが変わるそう。

正木先生「さらに交際相手に対する『別れたら殺す』『死んでやる』などの発言は、精神的な暴力としていわゆる『デートDV』にも該当します(ただし同居していない恋人間でのデートDVはDV防止法の対象外)」

デートDVとは恋人間で起きる暴力のことで、それに該当する可能性があるんだそう。肉体的な暴力だけでなく、発言で人を傷つけるのもNGなんですね。

「別れたら死ぬ」のような発言は、本当に好きでなければ言えないものかもしれません。しかし、恋人を悩ませてしまう言葉であるため、いい結果に結びつくことはほとんど無いのではないでしょうか。気持ちの伝え方には気をつけたいものです。

できれば、気持ちよくお別れしたい…

恋愛には別れはつきもの。その際に気持ちの整理ができず、暴走してしまうのもよくあることです。しかし、あまり相手に迷惑をかけると恋人から嫌われてしまううえ、犯罪になってしまう可能性まで…。

別れによって辛い思いをするのは仕方のないことです。それでも、いつかいい思い出に変わってくれるような別れ方をしたいものですね。

記事監修

アディーレ法律事務所・正木裕美先生:愛知県出身・愛知県弁護士会所属。男女トラブルをはじめ、ストーカー被害や薬物問題、ネット犯罪などの刑事事件、労働トラブルなどを得意分野として多く扱う。身内の医療過誤から弁護士の道へと進む。

2月12日より、正木先生監修の書籍「愛とお金と人生の法律相談」が全国のコンビニ、書店などで発売。ストーカー、不倫などの恋愛トラブルからセクハラ、詐欺、借金ほか日常のちょっとした疑問まで、女性を取り巻く様々な問題をイラスト入りで優しく解説しています。

(image by amanaimages)

このライフレシピを書いた人

編集部にリクエスト!

「こんなライフレシピがほしい」や「ここがわかりにくかった」などをお送りください。