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リベンジポルノとして処罰されるのはどんなケース?弁護士に聞いてみた

リベンジポルノという言葉をご存知でしょうか。恋人とのわいせつな行為を写真・動画などに収めておいて、振られた腹いせに嫌がらせでネット上にばらまくことです。別れ話になったときに「別れるんだったらこの動画をばらまいてやる」と脅されるという事案も…。

関係が良好なときだったらノリで楽しく撮ってしまうかもしれませんが、別れるとなったら危険物以外の何物でもありません。最近は被害件数も増えてきているようです。

今回は、具体的にどういうケースだとリベンジポルノになるのか、アディーレ法律事務所の正木弁護士(以下、正木先生)に聞いてみました。

本記事は、2016年5月の取材情報をもとに執筆されたものです。

どういうものが「リベンジポルノ」になる?

正木先生によると、対象となる画像や映像に以下のことが当てはまると、リベンジポルノ法で処罰されることがあるそうです。

  • 性交又は性交類似行為に係る人の姿態
  • 他人が人の性器・肛門・乳首を触る行為や人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
  • 衣服の全部又は一部を着けない人の姿態で、殊更に人の性器・肛門・乳首やその周辺部、臀部、胸部が露出されたり強調されているもので、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

彼に撮られた写真・動画がまずこれに該当するかどうかの検討が必要です。

正木先生:撮影者、被写体と被写体から画像提供を受けた人以外が見ることを認識して任意に撮影に承諾したのでない場合に、第三者が被写体を特定することができる方法で公表罪・公表目的提供罪に該当する行為をしたのであれば、処罰される可能性があります。

つまり、例えば彼氏が「他人に見せる」という許可無くセックスの動画を撮影し、その動画に映っているのがあなただとわかる状態で多くの人に見せたら、彼氏は処罰される場合があるということです。

有罪になったらどんな処罰を受ける?

  • ネット回線を通じて不特定または多数に公開した場合
  • 不特定または多数の人に画像を提供したり、公然と陳列した場合

これらの場合は公表罪にあたり、3年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。

  • 電気回線を通じた公開や、不特定多数への画像提供
  • 公然陳列させる目的で他者に画像を提供した場合

これらの場合は公表目的提供罪にあたり、1年以下の懲役または30万円以下の罰金となるそうです。

ケース1:撮られてしまった動画・画像を恋人が消してくれないとき

ついノリで、セックス中の動画を撮らせてしまった…。後からリベンジポルノが不安になってしまい、恋人が所持している画像や動画を削除するようお願いした。でも「そんなことしないから大丈夫」と断られてしまった…。

こういうケースってけっこうありそうですよね。でも最初は撮影に同意していたわけですから、法律的に問題はあるのでしょうか?

正木先生:撮影に明らかに同意していた場合や、暗黙の同意をしていた場合、相手が撮影した画像や動画を所持していることは問題がないので、削除に任意で応じてくれない限り、破棄させることは現実的に難しいと思います。

やはり問題にはならないのですね。そして画像・動画も削除してもらいにくい、と…。

軽犯罪法違反にもならない?

通常このような写真・動画は公共の場所ではなく、どちらかの部屋など私的な場所で撮影されますよね。そんな場所で同意なく盗撮をすると、「正当な理由なく、人の住居・浴場・更衣室・便所その他、他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見る」という軽犯罪法違反に問えなくもないのですが…。

しかし、恋人間での撮影であるため、撮影のみで事件になる可能性は高くはない、とのこと。撮られるだけでは問題にすることは難しいようです。

女子としては不安だと思うので、同意していたとはいえ不安になったということを彼氏に伝えてみるしかないのではないでしょうか。

ケース2:「消した」と言って消してないことがわかったとき

「後で画像を消すならいいよ」と撮影をOKし、彼氏も消したと言ってくれていたのに、後日消していないことが判明!こんなケースでは、彼氏を何らかの罪に問うことができるのでしょうか。

恋人の携帯やカメラを勝手に見て知ってしまった場合(公表されていない)

この場合は、どういった目的で消さずに残しておいたかが重要のようです。

正木先生:国内への有料頒布・販売の目的で所持・電磁的記録を保管した者は、刑法175条2項により、わいせつ図画有料頒布目的所持罪に問うことができます。とはいえ、販売歴やそのようなサイトを開設しているなどの状況があれば別ですが、通常は元彼が写真を消さずに持っていたというだけでは有料頒布の目的があるとはいえないでしょう。

やはり、何らかの状況、証拠がないと罪には問われないということですね。また、写っているものが法律上わいせつ物といえるかという点での争点もあるようです。

消したはずの画像や動画を公表されて気づいた場合

「消した」と言っていたのに、アダルトサイト等で発見して気づいた…かなり悪質ですね。

正木先生によると、「撮影していない/削除した」と言っていた、または騙して撮影・公表したという判例は聞いたことがないそうです。しかし、そういった場合にはより悪質な犯行態様と判断される可能性はあります。

正木先生:どんな理由であれ、リベンジポルノは被害者の尊厳を侵害し、社会的評価や性的プライバシーを害する身勝手な犯行であり、刑事責任は重いと考えられます。被害者の被害の程度に直接結びつく公表の方法・態様(個人情報まで掲載しているなど)や公表の範囲などが量刑上重視される傾向があるようです。

ケース3:画像が加工され、本人特定が難しい画像や動画を公表されたとき

自分の裸が映っていることには間違いないけれど、他人から見たら人物の特定は難しいかもしれない…こんな場合はリベンジポルノになるのでしょうか?

以下の3ケースが考えられます。

  • A:撮影者と映っている人物のどちらも特定ができないような場合
  • B:親しい人であれば特定が可能な場合
  • C:顔は映っていなくても個人を特定できるような説明を加えている場合

正木先生によると、これらのケースの中で、何らかのヒントで被写体を特定することができればリベンジポルノとして処罰される可能性が高いのだそうです。

つまり、写真そのものからの特定が難しくても、名前、あだな、勤務先など何らかの個人情報が記載されている、背景や身体的特徴が映っているなど、何かから特定できるのであれば対象となるのです。

正木先生:「特定することができる方法」とは、撮影対象者の顔や背景として写っている物など、公表された画像自体から撮影対象者を特定することができる場合のほか、画像公表の際に添えられた文言や掲載された場所など、画像以外の部分から特定することができる場合も含まれる、とされており、知人等の親しい人等が特定できるのなら足りるとされています。

実際、被害者や勤務先が特定できるような情報を記載した写真を勤務先であるショッピングモールの駐車場に置き、有罪判決を受けたという判例があります。顔や胸にモザイクが入っていましたが、勤務先関係者に発見され、被写体が特定されて裁判となったそうです(福島地方裁判所平成27年5月25日判決)。

したがって、B、Cだと対象となりえると考えられます。Aは、被写体の特定ができないのであればリベンジポルノ法での処罰は難しいといえ、他の罪での処罰を考える必要がありそうです。

正木先生:また、撮影者や画像をアップした人物が特定できないと、損害賠償等民事での請求はできません。捜査機関の捜査情報や、発信者情報開示請求等でアップした人の情報開示を求めることなどから特定が必要になるでしょう。

リベンジポルノ以外の罪に問える場合も

自分のわいせつな画像が公開されたのに、場合によっては公開した人は処罰されない場合があるんですね。しかし、すでに出てきたように、リベンジポルノ以外の罪になら問える場合もあります。

正木先生:各犯罪の法律上の要件を満たしていれば、名誉毀損罪(刑法第230条)、わいせつ物頒布等の罪(同法第175条)や児童ポルノ禁止法違反等に問える可能性があります。

ただ、そう簡単ではないようです。名誉棄損罪でいえば、本人特定ができない写真だとすると、その写真でその人の社会的評価が低下したといえるのかという問題は出てきます。様々な成立しうる犯罪を検討することが必要だそうです。

1番いい予防法は撮らせないこと

絶対に「そんなことはしない」と約束してもらったところで、未来はどうなるかわかりません。関係がものすごく悪化して泥沼で別れる可能性もあります。また、彼に悪意がなくても、パソコンに保存していたデータがいつの間にか流出して大惨事に、なんてことも。100%大丈夫なんて保証はどこにもないのです。

結局、リベンジポルノの1番の予防法は撮らせないこと。どんなに愛している彼でも、きっぱりと断る勇気を持ってください。

記事監修

アディーレ法律事務所・正木裕美先生:愛知県出身・愛知県弁護士会所属。男女トラブルをはじめ、ストーカー被害や薬物問題、ネット犯罪などの刑事事件、労働トラブルなどを得意分野として多く扱う。身内の医療過誤から弁護士の道へと進む。

(image by PresenPic1 2 3 4 5 6)

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