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お金や荷物を返してくれない…恋人と別れた後のトラブルについて弁護士に聞いてみた

多くの恋愛に別れはつきものです。後腐れなく、きれいに別れられることもありますが、別れた後に元恋人ともめ事になってしまうことも少なくはないですよね。愛し合ったから故のトラブルということもあります。

この記事では、別れた後にありがちな元恋人とのトラブルについて、アディーレ法律事務所の弁護士・篠田恵里香先生(以下、篠田先生)に色々な質問を聞いてみました。ちょっと面倒な彼氏とそろそろ別れそう…そんな女性は必見です。

本記事は、2016年5月の取材情報をもとに執筆されたものです。

ケース1:元彼氏が荷物を返してくれない…

同棲や半同棲をしていた彼氏と別れた後に、置いてきた私物を返してくれない…こういった状況はとても困ると思います。たいした物でなければ諦めがつきますが、お気に入りのものだったり、高価な物の場合はどうしても返してほしいですよね。どのように対処すればいいのでしょうか。

篠田先生:法的には、元彼の家に置いた私物は、あなたの所有物である以上、「返せ」と請求することはできます。最終手段としては、動産引渡請求訴訟という裁判を起こし、勝訴判決に基づいて強制執行をする、という方法で回収できます。ただ、これには費用も労力も時間もかかり、相当遠回りです。さらには、訴訟までいけば、「動産を置いていた期間につき家賃の一部を払え」と請求される可能性もあります。したがって円満な引渡しを視野に入れた方がいいでしょう

裁判を起こすのは、面倒そうですし、金銭的にも精神的にも大変です。話合いで解決するように最大限頑張った方がよさそうです。

「返す」と言って返してくれない場合

電話やメールで「返して」要求をした結果、「返す」とは言っているのに一向に返してくれない場合…本当に困った元彼です。こういう状況でできることはあるのでしょうか。

篠田先生:まずは、引渡し期日を決めて、自分で引き取りに行く方法が視野に入ります。具体的には、「5月5日の午後1時に鍵を開けてもらう→荷物の整理・搬出を完了する→午後5時には撤退する」といった方法です。私物か2人の物なのか、争いがある物品については、事前に「持ち出してOK」か「NG」か一覧表等にして確認しておくとトラブル防止につながるでしょう。 

手渡してもらう・こちらに送ってもらうことが期待できないのであれば、アポイントをとってこちらから取りに行くしかない、ということです。無事に取りに行くことができたら、忘れ物のないように確実に回収しましょう。

電話やメールで連絡しても無視される場合

電話やメールで「返して」と要求をしているのに、着信拒否やメール無視など完全に無視されてしまう場合…これは相当悪質な彼氏ですね。この状況を打破するにはどうしたらいいのでしょうか。

篠田先生:この場合は、弁護士等に相談してもらい、引渡し期日を決める方法か、あるいは事前に私物一覧表を提示し、先方に梱包してもらって、着払いで送ってもらう方法などで対処することが視野に入ります。

こうなってしまったら、弁護士さんに相談した方がよさそうです。返して欲しい荷物を全てリストアップして臨みましょう。

ケース2:荷物を紛失された or 勝手に売られた…

私物をなかなか返してくれず、催促をしてみたら、「なくしてしまった」「売ってしまった」などと言われた場合、最悪ですね。付き合ったこと自体を後悔して、そんな相手を選んだ自分をも責めたくなるかもしれません。自暴自棄になる前に、どう対処するのが望ましいのでしょうか。

篠田先生:元彼に勝手に処分された・売られた、ということであれば、これに対する損害賠償請求をすることが視野に入ります。紛失した、というケースでも相手に過失があれば損害賠償請求ができます。 ただし賠償額は、実際に処分された物や売られた物の時価相当額に限られますし、現実的には、「そこに何が置いてあったか」の立証はなかなか困難と思われます。裁判を起こし、損害賠償が認められたとしてもごくわずかな金額となる可能性もあります。やはりこの場合も、話し合いで解決した方がよさそうです。なお裁判になった場合でも、相手が「たしかにこの私物を売った・処分した」ことを自白すれば、証拠は必要ありません。

相手が売った・捨てたことを認めているのであれば、裁判を起こしてそれなりの金額をもらえる可能性がありますが、やはり金銭的にも精神的にも大変なので、話し合いで解決するのがよさそうです。

篠田先生:ちなみに、刑事上の問題としては勝手に売った行為につき「横領罪」、処分した行為について「器物損壊罪」の成立があり得ます。

直接話し合いをするのが苦痛であれば、弁護士さんに相談するのをおすすめします。私物を置いていった原因にもよりますが、諦めた方がよいケースもあるかもしれません。

ケース3:貸したお金を返してくれない…

つきあっているときに貸したお金を返してくれない場合、これもよくある話ですよね。金額によっては諦めてしまうことが多いかもしれませんが、どのように対処すべきなのでしょうか。

篠田先生:この場合、交際している間柄においては、「借用書」という堅苦しいものを作成しているケースはむしろ稀で、証拠に乏しい分もめやすいという特徴があります。しかし、仮に借用書がなかったとしても、
・1:相手が認める場合
・2:通帳や振込証に振込みの記録が残っている場合
・3:メール等のやりとりで貸し借りの事実が推認される場合
には立証がある程度可能となり、裁判を起こして、相手の給与や預金を差し押さえることも視野に入ってきます。

借用書がなくても、交際中にお金を貸した・借りたということが客観的にわかるような形で残っていれば、裁判を起こすことが可能なようです。お金を貸したことがわかる証拠が重要なんですね。

篠田先生:ただ、気をつけねばならないのは、お金を渡した趣旨が必ずしも「貸した」の評価にはならない点です。特に交際中の男女間においては、「援助した」「生活費の一部として渡した」というケースも少なくなく、「貸した(返す約束があった)」ことの立証も必要となってきます。「あげた・渡した」のではなく「貸した」ことを立証するためには、少なくとも「メールに~~返すねという記載がある」、「一度でも返済をした記録がある」等の事情があると望ましいでしょう。

ただお金のやりとりの記録だけではなく、相手から返してもらう約束をしたことも明確になっていないと厳しいようです。今現在、恋人との間にお金の貸し借りがある方はすぐにでも返済の約束をはっきりと文書に書き残してしておくべきです。

ケース4:もらったプレゼントを「返せ」と言われた…

つきあっているときの誕生日や記念日にもらったプレゼントを、別れた後に「返せ」と要求された場合、なんて器の小さい男…!と失望してしまいますね。物に罪はないから返したくないかもしれませんが、これは返すべきなのでしょうか。

篠田先生:交際中にもらったプレゼントを、別れる際に「返せ」と言われるケースもよく聞きます。男らしくないといえばそれまでですが、かなり高額なプレゼントをあげたにもかかわらず、一方的に「別れたい」と言われればそう言いたくなる気持ちもわからなくはありません。ただ、結論としては、もらったプレゼントは返さなくていいということになります。

これは朗報ですね。もらったプレゼントは法的に返さなくていいそうです。物に罪はありませんでした。

篠田先生:プレゼントは法的には「あげるよ」「もらいます」という贈与契約です。贈与契約は、書面で約束をしない限り、法的には実際に履行するまでいつでも撤回できます。なので、「先週このかばん買ってくれるって言ったじゃない」という彼女の主張に対し、「やっぱり気が変わったんだ」という彼の回答は法的に通る主張となります。一方で、口約束による贈与契約は、いったん履行してしまうと撤回できなくなります。要は、あげるまでは撤回可能、あげてしまえば返してもらえない、という関係にあるということです。 誕生日や記念日にもらったプレゼントは、受け取っていればすでに履行完了。彼に返せと言われても返さなくてよいことになります。

それでも「返せ」と言ってくるようであれば、上記のように口約束による贈与契約は、受け取った以降は撤回できないと教えてあげましょう。

篠田先生:ただ、極めて悪質なケースで、結婚をちらつかせて金品を巻き上げたといういわゆる結婚詐欺のケースであれば、これは当然返還を求めることができます。 もし、別れた後に返還を求められた場合には、「感謝はしているけれども返す必要はない」ことをしっかり伝えることが重要です。それでももめるような場合には、相手の行動がエスカレートして、恐喝やストーカーにもつながりかねませんので、弁護士に相談することをお勧めします。

それでも「返せ」と言われる場合や、それ以外の問題に発展しそうな場合は、弁護士さんに相談しましょう。

交際中に確認しておこう

交際期間中は別れた後のことをなかなか考えにくいとは思いますが、上記のようなトラブルに巻き込まれないためには、付き合っているうちに別れた後のことも考えておくのが重要だと言えそうです。

  • 恋人の家に私物を置いたまま別れない
  • 恋人にお金を貸すときは返す約束を文書に残しておく
  • もらったプレゼントは返さなくていい
  • 話し合いで解決できないときは弁護士に相談する

そもそもトラブルになりそうな人間性の恋人と付き合うべきではありませんが、いざというときのためにこの4点を覚えておくといいかもしれません。

記事監修

アディーレ法律事務所・篠田恵里香先生:東京弁護士会所属。債務整理をはじめ、男女トラブル、交通事故問題などを得意分野として多く扱う。離婚等に関する豊富な知識を持つことを証明する夫婦カウンセラー(JADP認定)の資格も保有している。多数のメディア番組に出演中。

(image by PAKUTASO 1 2 3 4 5)

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