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    歌舞伎で掛け声をタイミングよくかける方法

    「成田屋!」「待ってました!」

    「成田屋!」「二代目!」と、歌舞伎を初めて観る人が必ず驚くのは「大向こう」と呼ばれる人々の掛け声ですよね。掛け声は「一度やってみたいなぁ」と思っていらっしゃる方がきっと沢山いらっしゃると思います。

    しかし、「専門の人にしかできないんじゃないの?」「掛け方が判らない」「恥ずかしい」と、なかなか掛けたくても掛けられないのではないでしょうか。

    そこで、この記事では、掛け声の種類、タイミング、言い方について紹介していきます。

    掛け声って何?

    あの掛け声にはどんな意味や特徴があるのでしょうか?

    掛け声の役割は主に下の3点です

    • 舞台を一層盛り上げる
    • 役者の方が気持ちよくお芝居ができるようにする
    • いいタイミングで決まると、観ているほうも気持ちよくなる

    誰がかけてもいいのでしょうか?

    基本的には「大向こう」と呼ばれる人たちが決まった場面で掛け声をかけています。しかし、誰が掛けなくてはならないという規則があるわけではなく、原則として誰が掛けてもいいのです

    大向こうって誰?

    歌舞伎座ならば、3階の奥に仕切られた一幕見の席に座っている常連の人たちの事です。

    役者や芝居の関係者から尊敬をこめてこの席に座る、通のことを「大向こう」と呼ばれいてます。

    歌舞伎の中には、俳優が大向うの掛け声を巧く利用した演出が定着していて、その掛け声がないと進行できないような舞踊もあるほど大事な役割を担っています。

    「大向こうグループ」へ入会したい方は、会のメンバーから勧誘されるのを待ちましょう。原則、男性しかなれません。

    掛け声のマナー

    素人が掛け声をかけるのはタイミングを誤ったりしがちなので、非常に危険です。舞台の雰囲気がガラリと変わってしまうので、うかつに掛け声をかけるのはやめましょう!

    掛け声をかける時におさえておきたいマナーは以下の3点です。

    1. 気合

    気合の入った声で掛け声をかけましょう。へにょっとした声だと、役者の方の気分を盛り下げてしまいます。

    2. 声の色

    普通の会話のような声で掛け声をかけてはいけません。掛けるからには「お芝居の中に入っていくのだ」という事を忘れないようにして下さい。

    「お芝居心」が必要なのです!

    3. タイミング

    タイミングは、掛け声をかけるときに一番大事なことといっても良いでしょう。歌舞伎界では、「間は魔に通ず」と言われるように、「間」(魔)は全ての役者が命がけで大事に思っているものです。

    タイミングは、歌舞伎をたくさん鑑賞して学びましょう。

    よく考えもしないで「掛け声」をかけると、「役者の命である間」を台無しにしてしまう危険性があります!

    掛け声の種類

    掛け声は、人や場面によって掛ける言葉が決まっています。主なものを紹介します。

    屋号

    屋号は、役者に所縁のある土地や、商号、あるいは寺社などの名前が使われているものが多いです。

    「明石屋!」 :大谷友右衛門

    「音羽屋!」:尾上菊五郎、尾上松緑、坂東彦三郎

    「澤瀉屋(おもだかや)!」:市川猿之助、市川段四郎、市川亀治郎

    「加賀屋!」:中村魁春、中村東蔵

    「紀伊国屋!」:澤村田之助、澤村藤十郎

    「高麗屋!」:松本幸四郎、市川染五郎

    「中村屋!」:中村勘九郎、中村勘太郎、中村七之助

    「成駒屋!」:中村芝翫、中村福助、中村橋之助

    「成田屋!」:市川團十郎、市川海老蔵

    「播磨屋!」:中村吉右衛門、中村又五郎

    「松嶋屋!」:片岡市蔵、片岡亀蔵、片岡孝太郎

    「大和屋!」:坂東三津五郎、坂東玉三郎

    「萬屋!」:中村歌六、中村獅童

    これには例外もあります。市川海老蔵には「若成田」、市川染五郎には「染高麗」、ベテランの中村又五郎には「又播磨」と掛ける事などが出来ます。
    「成田屋」と掛ける場合「リタヤッ!」という風に最初の「ナ」は口の中で言うようにするのが粋と言われています。「音羽屋」の場合は「トワヤッ!」です。

    ~代目

    「~代目!」という掛け声もよく聞かれます。

    この時注意したいのは、数字の読み方です。特に以下3点はよく間違いがちなのでチェックしておきましょう。

    • 四代目:よだいめ
    • 七代目:しちだいめ
    • 九代目:くだいめ

    場に合わせた掛け声

    「待ってました!」などです。ここでは臨機応変に場を読まなくてはいけません。

    (例)

    • 「白浪五人男」の「浜松屋」の場で弁天小僧の「知らざぁいってきかせやしょう」、「源氏店」の切られ与三の「しがねぇ恋の情けが仇」など、誰もが知っている名台詞の前に掛けられるのが「待ってました!」です。

    • 「源氏店」では、与三郎が「おれにまかしておけということよ」、こうもり安が「何だか訳がわからねぇ」というと、与三郎が立ち上がって外を確かめ、草履を脱いで2、3歩中に入って立ち止まります。その時が「待ってました!」と掛けるタイミングです。

    「待ってました!」を掛ける時はお芝居が最高に盛り上がって緊張度が高まっているので、掛ける方も同じ緊張感を持って掛けないと役者にとって迷惑な掛け声になってしまう恐れがあります。
    言い方は「まっ○てました」と言う風に「ま」と「て」の間に少し間を開けます!

    おわりに

    役者さんが真剣にやっている場を茶化したり、掛けることによって自分が目立とうとするのは絶対にしてはいけません。

    上記の掛け声もその場の雰囲気と掛け声がぴったり一致していないと、場を白けさせてしまいます。

    しかし、掛け声がタイミングよく掛かった時の盛り上がりは最高です! 歌舞伎を見る機会があったら、ぜひ掛け声のかかり方にも注目してみてくださいね。

    (Photo by 足成

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