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セーラー万年筆が教える!万年筆の基礎知識

日本に初めて万年筆を輸入したのは1884(明治17)年、横浜にあったバンダイン商会で、実際に販売したのは丸善と伊藤古一堂(いとうこいちどう)と言われています。

しかし、これはまだ現在のものとは違い、スタイログラフィックペン「針先泉筆」というものでした。今日の万年筆の前身というのが正しい見方です。

今日の「万年筆」が日本に輸入されたのは、それから7年後。カウス社製のカウス・ダッシャウェイ・ファウンテンペンが嚆矢とされています。

その後、続々と海外から万年筆が輸入される訳ですが、万年筆はどのように生まれ、いつ頃日本でも開発されたのでしょうか。

ここでは万年筆の歴史を簡単に紹介します。

本記事は、セーラー万年筆のご協力により、2012年に執筆されたものです。

万年筆以前

古来から、文字は権威の象徴であり、権力者たちが自分の権威を守るために筆記具に関心を寄せていたことは事実です。

最古の筆跡として約8000年前、瓦に棒状の道具で傷を付けたものがメソポタミアで発見されました。その後、ギリシャ・ローマ時代には蝋を薄く塗った板に先の尖ったペン(スタイラスと呼ばれ金属でできたもの)で文字を残していたことが分かっています。

筆記具であるペンの素材も、葦や木、竹などからガチョウの羽軸の先端を尖らせたものへと変わっていきます。

ちなみにヨーロッパでは、「ペン」を表す言葉は羽軸や羽根にちなんだものがほとんどで、たとえば語源とされる「PENNA(ペンナ)」は「羽根」という意味のラテン語です。それまではペンといえば羽根ペンだったことが、このような点からも垣間みることができます。

1780年頃には、羽ペンの代わりにイギリス人のサミュエル・ハリソンが鋼鉄ペンを完成させました。この頃はインキ壺に何回もペンをつけては書いていましたが、その煩わしさを解消すべく、1809年イギリスのフレデリック・フェルシュが鋼鉄ペンにインキ貯蔵部を持つ今の万年筆に近いものを作りました。

その頃、同じくイギリスのジョセフ・ブラマーが軸を指で押しながらペン先にインクを送る仕組みを持つ「Fountain Pen」を考案したとも言われています。

しかしながら、この頃のペンはまだまだ完全なものとは言えませんでした。

万年筆誕生のきっかけ

万年筆が誕生したのは、ある一人の営業マンの失敗からでした。

当時、優秀な生命保険の外交員であったルイス・エドソン・ウォーターマンが、せっかくの大口契約にまでこぎつけながら、肝心の契約書にサインするときに、インクのボタ落ちで契約書を汚してしまいました。

後日、新しい契約書を持って同じ客の元を訪問すると、既に他の保険会社に加入されてしまっていたため、手柄をフイにした悔しさから万年筆の開発に一念発起したと言われています。

ウォーターマンはペン芯に工夫を凝らして2本あるいは3本の溝を付けることで、ペンに毛細管現象(細い管状・毛細管の内側の液体が管の中を上昇、場合によっては下降する現象)を取り入れ、それまで課題を解決し、万年筆が生まれたのです。

万年筆の略年表

ペン先の開発

1780年 サミュエル・ハリスン(英)が薄い鉄板を筒状に丸め、合わせ目を切り割りとして利用した鋼鉄ペンを製作
1795年 フェロース(英)がハリスンのペンを改良し、切割りを後から入れた鋼鉄ペンを製作
1804年 テナント(英)が万年筆のペン先に必要不可欠な素材であるイリジウムを発見

構造の開発

1809年 フォルシュ(英)が空気交替によりインキを軸内に貯蔵できるペンを考案し特許を取得
1809年 ブラマー(英)が軸内にインキを貯められる筆記具の特許を取得し、Fountain Penと名付ける

基本形の完成

1852年 ホーキンス(英)がイリジウム付金ペンを製作
1884年 ウォーターマン(米)が毛細管現象の原理を応用したペン芯の特許を取得し、現在の万年筆の基本型が誕生する

日本国内販売

1895年 丸善が日本で初めてウォーターマンの万年筆を輸入・販売
1907年 阪田久五郎が日本発の金ペン開発
1908年 伊藤農夫雄がペン先を輸入してスワン万年筆発売

国産メーカー誕生

1911年 阪田久五郎が国産万年筆の製造販売開始(現・セーラー万年筆創業)
1918年 並木製作所(現・パイロットコーポレーション)創業
1919年 中田俊一が万年筆事業に着手
1924年 中屋製作所(現・プラチナ萬年筆)創業

世界の万年筆メーカー

海外・国内から生まれた代表的な万年筆メーカーを紹介します。

最初から万年筆を手がけた企業、まったく別分野にいながら万年筆事業に進出した企業など、その経緯や商品にはさまざまな特徴があります。

海外メーカー

  • アウロラ(イタリア)
  • カランダッシュ(スイス)
  • クロス(アメリカ)
  • アルフレッド・ダンヒル(イギリス)
  • エス・テー・デュポン(フランス)
  • モンブラン(ドイツ)
  • オマス(イタリア)
  • パーカー(イギリス)
  • ペリカン(ドイツ)
  • ロットリング(ドイツ)
  • シェーファー(アメリカ)
  • ウォーターマン(フランス) etc

日本メーカー

  • セーラー万年筆
  • パイロット
  • プラチナ萬年筆 etc

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(image by 筆者)

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