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セーラー万年筆が教える!万年筆インクの基礎知識

職人によって凝縮された技術は、万年筆本体だけでなく、使用するインクにもあります。

万年筆の構造に合わせたインクの開発から、色の多様化まで、万年筆の発展にはかかせないのがインクなのです。

それを示すかのように、セーラー万年筆のインクブレンダー・石丸治氏は、雑誌「趣味の文具箱 Vol.14」のインタビューで以下のように答えています。

私はインクの研究が筆記具の進歩の原点だと思っています。新しい発想と技術でインクを開発し、それに最適なメカニズムを設計する。この繰り返しで筆記具は進歩し続けてきました。
本記事は、セーラー万年筆のご協力により、2012年に執筆されたものです。

万年筆インクの原点

「ペン」を「万年筆」に変えた機構の変化はそれだけですばらしいことでしたが、インクを内蔵させるには、まだ「目詰まり」という問題もありました。

羽根ペンの時代はよかった煤(すす)や弁柄(べんがら)を水などで溶いたいわゆる顔料インクも、筆記具に内蔵して持ち歩くようになると目詰まりしてしまうことが分かったのです。

それで注目されたのが、古代より伝わる「暗号インク」です。お茶などに含まれるタンニンと鉄サビで作られる、伝令用のインクでした。

戦地で使用されていた暗号インクは、書いたときには無色透明で何も読めませんが(タンニン酸第一鉄溶液=水に溶けている)、伝令が携えて目的地に着いた頃に、空中の酸素によって酸化されて黒い文字(タンニン酸第二鉄=黒色の水に溶けない物質)が現われるというものでした。

しかも、現れた文字は顔料化しているため、水に濡れても光があたっても時間が経っても大丈夫で、長期の保存にも耐えられたのです。

ブルーブラックインクの誕生

ただ、暗号インクをそのまま使っても、日常用である万年筆のインクとしては成り立ちません。書いてすぐに読めなければ意味がありません。

そこで筆記時にも筆跡が分かるようにタンニン酸第一鉄と相性のよいインディゴ(ジーンズなどに使われる青い染料)を加えて、ブルーに着色し、万年筆用のインク「ブルーブラックインク」が誕生したのです。

ブルーブラックインクは、書いたときには鮮やかなブルーの筆跡ですが、時間とともに黒ずみ、耐水性で長期保存に耐える黒とも青とも言いがたい微妙な色合いに変化します。

一方、このインクの酸にさらされても腐食しないペン素材が必要でした。そこで選択されたのが金だったのです。

万年筆のペン先が金であるのは、このような背景からなのです。

現在のインク事情

往年のファンの中には、万年筆のインク=ブルーブラックと思い込んでいる人も多いかもしれません。

しかし現在では、さまざまなインクが登場しており、自己表現のツールとして楽しむ方も増えています。

セーラー万年筆ではインクブレンダーの石丸治氏が、バーテンダーさながら、さまざまなインクを調合し、オンリーワンのカラーを作り出し、その色の種類は1万3000種類以上になっています。

色の点では既にボールペンと遜色なく使用することが可能なのです。

その他、以下のような記事がありますので、合わせてご覧ください。
セーラー万年筆が教える!万年筆のインクの入れ方

(image by 筆者)

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