9年前のことです。東京で結婚しそのまま居住し、3年目にして妊娠・出産しました。夫がパパになったのを機に、よりよい仕事を求めて転職を決めた先は遠く離れた大阪。
告げられたのは12月を過ぎてから、決定するのが翌年の2月。正式に新しい仕事が決まったら、3月末には引越しを完了させなければいけません。
子どもが6ヶ月のときに、遠方にいながら限られた期間で転居先(しかも町家)を探したときの経験を元に、コツと町家を選んでよかった点をお伝えします。
遠方から引越し先を探す手順
Step1:物件と住環境の情報をインターネットで検索して収集
乳児を抱えて、いきなり遠方の転居予定地に出向いて探すのは効率的でありません。そこで、インターネットで、関西圏の町家の物件を探すことから始めました。
居住地は当初、路地と長屋で有名な大阪の空堀商店街近辺を考えていましたが、京都~大阪間は通勤圏内で、また京都のほうが町家物件が多いことから、京都をターゲットにして探しました。
なぜ、あえて町家に限定して探したかというと、以下の理由からです。
- 広さで比較すると、マンションよりも町家のほうが家賃が安い
- 自分好みに、リフォームしやすい
- 子どもが内装などを汚しても、修理しやすい
- マンションに比べて、子どもの騒音による苦情を訴えられにくい
しかしながら当時は、今ほど町家は人気ではなく、ネット上に物件があまりありません。そこで、京町家情報センターにお世話になることにしました。
Step2:引越し先の街・不動産を訪ねる
2月に入って、職場が正式に決まりました。そこで、実際に家族3人で京都を訪れることに。実は、夫が懸賞でホテル宿泊券を当てていたので、1泊2日で物件探しの旅に。
まず、初日は上記の京町家情報センターを尋ねました。そこでは、登録している不動産業者京都の町家物件のリストを見せてもらい、その1つを扱う不動産会社を紹介していただきました。
すぐにそちらの不動産会社に向かい、2時間にわたる「京都の町家にすむ心得」をレクチャーされました。
- 京都では、子どもの出身学区が重要!学区で居住を選ぶこと
- 町家に住むなら、町内会に入りご近所づきあいを大切にすること
- 夏涼しく、冬は寒い。虫やネズミも出るので覚悟すること
- 段差が多いので、ハイハイ時期の子から目を離さない
まあ、色々言われたのですが、納得できました。いくつか物件を紹介してもらい、条件にあった唯一の物件を見に行くことにしました。
Step3:子育てによい「住環境」を確認・家賃交渉
見に行った物件は、左京区にある典型的な築60年ほどの京都の町家(上記図とほぼ同じタイプのもの)でした。神社やお寺が近所に点在し、もみじや桜の名所で有名なところです。畳が京間タイプなので、見取り図よりもかなり広い!庭が広くて、ベランダの日当たりが気持ちいい!
周囲の環境もかなり快適そうです。スーパーやコンビニエンスストアも、複数の科の病院も徒歩圏内。複数のバス停が近所にあり、交通の便も比較的よさそうです。
時期が迫っているのもあって、即決定しました。内装は後々自分達で治していくことを条件に安くしてもらい、10万円以内で抑えることができました。
おわりに
住み始めると、予想以上に快適でした。寒さもセラミックタイプのストーブとガスストーブで思ったより機になりません。2階は日当たりがいいので、昼間は暖かで洗濯物もすぐ乾きます。布オムツを使っていたので、これには大助かり。
夜間診療をしている小児科がある大きな病院も、タクシーで2メーター程度。引越ししてからは環境の変化でよく病気をしたので、よくお世話になりました。
小学校から徒歩5分。近所には保育園や幼稚園が多く、その分競争率が激しくないせいか、1年後に仕事を始めたときも、すんなりと保育園に入園させることができました。
町内会に入会しましたが、地元のお祭りに参加したり、ご近所付き合いで色々お世話になりました。子育て中だと、親だけでは行き届かないところでも、ご近所の目があるおかげで助かります。
急な段差の階段も、子どもにとってはジャングルジムのような感じ。多少どたばたしても近所迷惑にもならず、親は安心です。障子を破っても、張り替えればOK。
トイレは和式でしたが、和式トイレは妊婦を鍛えるのですね。この住まいで第2子を妊娠・出産しましたが、骨盤がきちんと開いていたせいか、丸1日かかった初めてのお産が難産だったのに比べて、2時間と超安産でした。
ただしヤモリやカエルが庭にいるせいか、思ったほど虫の多さは感じませんでした。ネズミも出ますが、近所にいる猫がそれを追いかけて捕まえています。おかげで、子どもはワイルドに育っています。
中古貸家は、子育て世代にぴったりです。さらに、京都なら子連れで町家に住むべき!ぜひ、挑戦してみてください。
(All Photo by 筆者)