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古文読解!『古本説話集』に親しむポイント

著名な単発物の物語群に圧されがちな所為か、内容がちょっと分かりづらくてマイナーな名前の物語集といえそうです。

それもそのはず、『古本説話集』は仮題なのです。大切に保管されて長く埋もれてきた平安文学です。

編者について

編者名、原書名ともに未詳

長く埋もれていたのですが、昭和18年に世に出ました。

表紙の脱落がみられたり、内題、外題ともに無かったりしますので、「古本説話集」という暫定的な命名がされたものです。

12世紀にさしかかる平安末期には成立したと考えられ、具体的な時期としては大治年間という説があります。

現代に発見されたあとは、重要文化財となり、東京国立博物館に所蔵されているのです。

おおまかな内容

前半部

世俗説話46話

世俗説話には、

  • 紀貫之
  • 躬恒
  • 藤原公任
  • 和泉式部
  • 赤染衛門
  • 伊勢大輔
  • 大斎院

らが登場、和歌に関する宮廷社会の風雅なお噺の一部を垣間見せます。

院政期にさしかかる頃の思想として、王朝最盛時、頼道、道長の子息と父親のなした皇族一派の隆盛時の雅への回帰がテーマに多く含まれます。

後半部

仏法説話24話

仏法説話には

  • 観音・天王などの霊験譚

  • 寺院の縁起譚

  • 往生譚

  • 怪異譚

等とあり、全体的には、仏教思想のうちの末法思想という、仏の救済が強く望まれる思想を映したものとなっているのがポイントです。

全70話!

おもに平安時代の

  • 貴族
  • 文人
  • 宮廷の数多くの妃たちのそば仕えをした女房
  • 仏事と僧侶など

といった説話があつめられ『古本説話集』とよばれています。

文体

他の同時期の説話物語と同様、仮名文が主体となっていて、発見された経緯からは個人の愛蔵説話集のような雰囲気すら漂うものです。

読解のポイント

せっかくですから源氏物語の縁起を説いた段の訳を見ていってみましょう。

なぜ源氏物語が作られたのか、興味がありますよね?

今は昔、紫式部、上東門院に歌読み優の者にてさぶらふに、大斎院より春つ方、「つれづれにさぶらふに、さりぬべき物語やさぶらふ。」と尋ね申させたまひければ、御草子ども取り出ださせたまひて、「いづれをかまゐらすべき。」など、選り出ださせたまふに、紫式部、「みな目馴れてさぶらふに、新しくつくりてまゐらせさせたまへかし。」と申しければ、「さらばつくれかし。」と仰せられければ、源氏はつくりてまゐらせたりけるとぞ。
せたもう、させたもう、と二重尊敬語が頻出します。
上東門院藤原彰子が太皇太后という最上位の妃であるためです…取り出させたまひ、選り出させたまふ
大斎院も身分が高いので二重尊敬語が付いています…尋ね申させたまひ
地の文の紫式部の動作に謙譲語が使われています…さぶらふ

作者から見ればどちらの動作の描写についても尊敬語を使用しているものの、大斎院から上東門院への動作の描写にあたっては、謙譲の『申す』もさらに使われて『尋ね申し上げなさったところ』と訳されるのが、ポイントです。

このようにかなり難解な文脈です。

読み下す際に今となっては妙な敬語使いになってきても、自信を持ち、くだくだしく丁寧語などをつなげていき、人物・身分関係を明らかにする必要があります。

古文単語に慣れましょう

仏法説話には、

  • 『今昔物語集』
  • 『宇治拾遺物語』
  • 『世継物語』

と共通する説話なども多いのです。

なじみのあるお話ですから、落ち着いて定型を思い出し、内容を掴んでから訳しましょう!

おわりに

時代背景が解ると、同じお話でも、編纂のしかたやそれに纏わるテーマも変わっているのがわかります。

時代に従って現れる、内容の微細な違いに注目してみると、面白いかもしれません。

(photo by 足成)

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