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これでバッチリ!今昔物語集読解のコツ

誰でもしってると言っていい「今昔物語」ですから、「何を今更…」と解説をみるまでもないといった方々も多いかもしれません。

とはいえ千にも上るお噺がありますので、今回は全体像と背景とともに独特な世界観を提示する「今昔物語集」をご紹介していきます。

編者について

作者

作者は不明

成立のナゾ!

他の資料に「今昔物語集」の名前が見掛けられるようになったのが1449年以降です。

死や盗人が京にはびこる内容の、重ね重ねの陰惨さや文体からいって源平争乱後であって、平安末期というよりむしろほぼ中世文学の域に入っていますね!

「今昔物語集」の特徴としては、保元の乱・平治の乱、治承・寿永の乱という大規模争乱に一切触れないのに、前九年の役に詳しいことから、奥州藤原氏滅亡に関わる人物の可能性も考えられています。

三国の記事を平等に並べる客観的な視点が冴え、いつしか本朝に伝来した仏教をひも解こうとする秀逸な構成の説話集です。

全31巻ですが、8巻・18巻・21巻は欠けています。最初からなく、構成上割りふられたものの、ついぞ書かれなかった、と見られています。

説話の本朝(日本)内の国名・人名などにも欠けが見られるのも特徴の一つ、といえます。

おおまかな内容

今昔物語』という略称もあり、「今は昔」で親しまれています。インド中国・日本の三国のおよそ1000余説話が収まっています。

『今昔物語集』の名前の由来は、各説話全部において「今ハ昔」の書き出しが使用されることにあるので、文をみれば、すぐ『これは今昔物語!』と解るのが読解のポイントなのです。

『今昔物語集』の話はオリジナルではなくて、写本の集大成なのですが、

元ネタは

  • 『冥報記』
  • 『日本霊異記』
  • 『竹取物語』
  • 『本朝法華験記』
  • 『三宝絵詞』

などです。次に目次を紹介します。

天竺部 <インド>

  • 巻第一 天竺 仏教説話(釈迦降誕と神話化された生涯)
  • 巻第二 天竺 仏教説話(釈迦を説いた説法)
  • 巻第三 天竺 仏教説話(釈迦の衆生教化と入滅)
  • 巻第四 天竺付仏後 仏教説話(釈迦入滅後の仏弟子の活動)
  • 巻第五 天竺付仏前(釈迦の本生譚・過去世<前世>に関わる説話)

震旦部 <中国>

  • 巻第六 震旦付仏法 仏教説話(中国への仏教渡来と流布史)
  • 巻第七 震旦付仏法 仏教説話(大般若経、法華経の功徳と霊験譚)
  • 巻第八 欠巻
  • 巻第九 震旦付孝養 仏教説話(孝子譚)
  • 巻第十 震旦付国史(中国の史書と小説に見られる奇異譚)

本朝仏法部 <日本>

  • 巻第十一 本朝付仏法(日本への仏教渡来と流布史)
  • 巻第十二 本朝付仏法(法会の縁起と功徳)
  • 巻第十三 本朝付仏法(法華経読誦の功徳)
  • 巻第十四 本朝付仏法(法華経の霊験譚)
  • 巻第十五 本朝付仏法(僧侶の往生譚)
  • 巻第十六 本朝付仏法(観世音菩薩の霊験譚)
  • 巻第十七 本朝付仏法(地蔵菩薩の霊験譚)
  • 巻第十八 欠巻
  • 巻第十九 本朝付仏法(俗人の出家往生と奇異譚)
  • 巻第二十 本朝付仏法(天狗、冥界の往還、因果応報)

本朝世俗部 <日本>

  • 巻第二十一 欠巻
  • 巻第二十二 本朝(藤原氏の列伝)
  • 巻第二十三 本朝(強力譚)
  • 巻第二十四 本朝付世俗(芸能譚)
  • 巻第二十五 本朝付世俗(合戦と武勇譚)
  • 巻第二十六 本朝付宿報(宿報譚)
  • 巻第二十七 本朝付霊鬼(変化と怪異譚)
  • 巻第二十八 本朝付世俗(滑稽譚)
  • 巻第二十九 本朝付悪行(盗賊譚と動物譚)
  • 巻第三十 本朝付雑事(歌物語と恋愛譚)
  • 巻第三十一 本朝付雑事(奇異と怪異譚の追加拾遺)

ポイント

  • 死に直結した話が多い点
  • 三国にわかれ緻密な構成が採られ、客観的な視点を保つ点
  • 仏教のお話がほとんどという点

文体

原文は…

  • 和漢混淆文
  • ただし、仮名ではなくカタカナ
  • 修辞の極度に少ない平易な文体

読解のポイント

巻第1第1話 釈迦降誕説話
今は昔、釈迦如来、いまだ仏に成り給はざりけるときは、釈迦菩薩と申して兜率天(とそつてん)の内院といふ所にぞ住み給ひける。…(中略)
…『我、今、久しからずしてこの天の宮を捨て閻浮提に生まれなむとす』
と。
これを聞きて、もろもろの天人嘆くこと愚かならず。かくて菩薩、閻浮提の中に生まれむに、誰をか父とし、誰をか母とせむと思して見給ふ…

今となっては昔のことだが、お釈迦様がまだ仏陀(悟りを啓いた覚者)におなりになる前、釈迦菩薩と呼ばれ、兜率天内院という所にお住みになっていた。…(中略)

…『私は今、もうすぐこの天の宮を捨て、閻浮提に生まれてしまおうとする』

これを聞いて、すべての天人様たちは嘆き悲しんだ。

このようにして、菩薩様が閻浮提の中に生まれようとするので、誰を母にしようとお思いになって御覧になった…

有名なくだりですので、試験対策にもバッチリです。今昔物語の敬語の少なさは比較的読みやすいとよくいわれるゆえんです。

助詞の用法に気をつけ、現代語訳にあたって古文単語の固有名詞の意味なども押さえておく事がポイントです。

おわりに

本朝の妖怪や妖怪と見まごうような人間を描いたお話も多い今昔物語集、「羅生門」の題材にもなっています。

しかし実は中国の資料からもふんだんに材をとられていて、アジア色豊かです。

ですので、教科書ではあまり取り上げられないインド系のお話のなかに、多少とも興味惹かれるお話が混ざり込んでいる可能性がありますよ。

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