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古文読解!中学国語『枕草子』の読解ポイント

随筆、といえば、中流貴族出身の女房・清少納言の「枕草子」さえ押さえれば、日本文学がワカル!というほど、有名ですね。

そんな枕草子の噂を聞いて長じるに及び、やっと目にしたらなんと古文単語ばっかり、ということもあるかもしれません。

天皇のための妃が沢山いて賢くおもしろいブレーンの女房たちが競って作品を世に出した時代背景を理解して、現代語訳で楽しみましょう。

作者について

  • 清少納言
本名ではありません。

今でいう、源氏名にあたります。定子の数多の女房の一人として帝や殿上人らに接するにあたって、親などに関連する官位名、地名、あるいは氏の一文字などをとって名付けられるのが一般的だったようです。

というわけで、仕事中の呼び名です。

当時は誰それの女(むすめ、と読みます)、誰それの母、とだけしか家の外ではいわれません。

そのため、家の中で何と呼ばれていたか知られている人も少ないのですが、

清少納言は、

清原元輔娘

というふうに表記されるのが普通です。

おおまかな内容

  • 回想章段…定子(皇后宮で尼僧、当初は皇后の別名、『中宮』を独立させ、勝手に称したり号したりする慣習をつくって称していた。)と仲良く過ごした思い出と、彼ら上流貴族中関白家没落にまつわるにがにがしさ。

  • 随想章段…日常の生活における、自然の話題や四季の移り変わり、事物についての話題。

  • 類聚章段…「ものづくし」としてしられ、「うつくしきもの」などの抽象的な題名を含む章段が多く含まれています。

をかし』、『をかし趣があって風流だ,興味深い)』を連発し、好奇心いっぱいに人々の好むゴシップ周辺を随筆で表現したものです。政治的な敗者を、文学で『時の支配者と仲が良かったのに...』『お美しくて立派だった!!…(のに残念、...無念。…)…』などことさら崇める背景があるのです。

読解のポイント

春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少しあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。
  • やうやう…だんだん

訳)春は日の出の時間帯がいいです。だんだん白くなっていく山のかたちの端っこが、少し明るくなって…紫がかった雲が細く棚びいているのに魅かれます。

夏は夜。月の頃はさらなり。闇もなほ、蛍のおほく飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし。
  • なほ…もっと

  • ただ…わずかに

訳)夏は夜が素敵、だと思うわ。月が懸かる時間帯はもちろんもっと良いのです、ご存じですか。闇ももっといい、なぜなら蛍が沢山飛びかっているようだからです。また、蛍が一つ二つだけ少し光って行くのも趣きがあって素敵です。雨などが降るのも興味深い。

秋は夕暮れ。夕日のさして山の端いと近うなりたるに、烏の、寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。まいて、雁などのつらねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。 日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず。
  • まいて…いうまでもなく
  • いと…とても

訳)秋は夕暮れの時間帯を好みます。夕日が山の端を目指してとても近くなっていく時に、カラスが寝処へいくということで、3、4羽あるいは2、3羽などがかたまりとなって急いで飛んでいくのすら、しみじみとした趣きがあって物思いに耽ってしまう。ましていうまでもなく、雁等が連なって大変小さくなっているのを見ると、大変趣きがあって風流なように思う。日が沈み切ってしまい、風の音と虫の音しかしないのは、また大変趣きがあって風流だとわざわざ言わなくてはいけない事ではないと思います。

冬はつとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでもいと寒きに、火など急ぎおこして、炭持てわたるも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も、白い灰がちになりてわろし。

訳)冬は早朝が良いと思うわ。雪の降ったあとの早朝は言わなくてはいけないことではありません、もちろん良いのです。霜が大変白い早朝も、また、雪・霜で大変白くはなくても、大変寒いので火などを急いで起こして炭を持って移動する早朝も、大変そんな朝に似つかわしい準備で満足感がある。昼になって、気温が暖かくなって体が緩んでくる頃には、火桶の火が白い灰っぽくなって興醒めで良くない!

短い文で読みやすいはずですが、古文単語の副詞が多いです。

『をかし』が2度、「いと」が5度、『いとをかし』も1度、と頻用されているので、大変強調を駆使した冒頭であることがわかります。

…体言止めの部分が、やや意訳となっているかもしれませんが、冒頭部分は大体こんな内容です。割と細かい筆致ですから、個人的感慨に過ぎるので読みにくい、といった意外な読みにくさもあるかもしれないですね。

女房体験がしのばれる独特の世話焼きな生活に立脚した文面ともいえることがわかりますね!

女房体験…炭を持っていってやる、といった世話を焼くのは上流貴族などの家での仕事ではないのが普通なので、これ自体内裏で上流貴族の世話(女房といわれた仕事)をした思い出として書かれている、ということになりそうです。頻繁に雁などの行く先に思いを馳せている背景には、すでに郷愁という視点が混じっているようです。京を離れた定子兄等のいる太宰府へと飛んでいくのかカラスや雁が、といった意味を含む冒頭とよむのが自然な時代背景です。

終わりに

定子妃の兄二人(藤原伊周、藤原隆家)は有力な政治家となるはずでしたが、故太政大臣藤原為光の娘三の君という恋人の元に藤原伊周が通う際、同じ邸の妹姫を恋人にしていた先の帝、花山院に、二兄弟でなんと夜闇に紛れて弓を向け、その袖を射て従者を殺した為に、大宰府の次官として左遷され、そのまま定子妃ともども没落しました。

『枕草子』の軽妙さは、仏教的盛者必衰を目の当たりにした衝撃と、その派閥に属する身ゆえにかかえってそらぞらしいまでに気楽さを透徹したものと捉えられています。

戒めを破った雇い主の定子(尼なのに還俗状態で子供を生み、産褥での死を迎えるに至る)をはばかってか、他の説話集などに比べてまるで現代人の感性でもあるかのように仏教色が薄め、なのが特徴ですのでよみやすいのです。

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