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不動産を貸すときにやらなければならないこと

「転勤が決まったので今の戸建を誰かに貸したい」「親と一時的に同居することになったから、今のマンションをいずれ賃貸に出したい」と思ったときに、一体どんな手続が必要かご存知でしょうか?

借主(賃料を払って不動産を借りる人)に比べて、貸主(オーナー・家主など不動産を持っていて他人に貸す人)が不動産を貸し出すときの手続はとてもたくさんあります。

ここでは、不動産を他人に貸し出すときにやらなければならないことを、順序立てて説明していきます。

不動産の中でも、住宅を貸す場合を中心に説明します。
本記事は、不動産ジャパンのご協力により、2013年に執筆されたものです。

1.相場を知る

不動産を貸すにあたって、収支の目安を把握するためには、「賃料相場」を知っておくことが必要になります。

立地や物件の特徴を考える

賃料相場には次のような特徴があります。

要因 特徴
都心からの距離 都心に近い場所ほど相場は高く、遠ざかるに従って相場は下がる。
最寄り駅からの距離 最寄り駅に近い場所ほど相場は高く、遠ざかるに従って相場は下がる。バス利用の物件は、徒歩圏内にある物件よりも相場は下がる。
利便性 利便性が高いほど相場は高くなる。
築年数 築年数が経過すると建物が老朽化するだけでなく、部屋の仕様なども陳腐化するため、相場が下がる。
設備 居室や台所、浴室、トイレなどの設備の性能が高いほど相場は高くなる。
建物の構造 構造が堅固であるほうが相場は高くなる。
広さ 一般的な広さや間取りでない場合には相場が下がる。また、ファミリータイプとワンルームタイプでは、一般的に相場は異なる。
取引時期 入居希望者が多い時期は相場が高くなり、逆に少ない時期は相場が下がる傾向。

賃料相場を調べる

まずは、自分で情報を集めましょう。ある程度の賃料(家賃)イメージをもつことが大切です。

自分のイメージが誤っている場合もありますので、過度に先入観をもたないように注意しましょう。

2.入居者を募集する

募集条件を設定する

募集を開始するに当たっては、賃料だけではなく管理費(共益費)、契約時の敷金や礼金、契約期間、その他の条件(ペットの飼育可否など)を詳細に設定する必要があります。

募集条件として、決めておきたい項目は以下の通りです。

賃料

募集賃料は、「季節要因」なども考慮して、妥当な額を設定しましょう。

一般的に、契約・入居後は簡単に賃料を変更することはできませんので、十分に検討しましょう。

管理費

管理費(共益費)の取り扱いは、地域性なども考慮して設定する必要があります。

例えば、管理費を賃料に含める傾向がある地域もあります。

契約時の敷金や礼金

契約時の敷金や礼金(地域によって名称が異なる場合があります)の取り扱いも、地域性などを考慮して設定する必要があります。

住宅の場合、一般的には月額賃料の1~2ヶ月分ですが、全く授受しない場合もあります。また、通常は返還される敷金ですが、敷金の一部を返還しないことを契約条件とする取引慣習がある地域もあります。

契約期間と契約形態

契約期間の扱いについては、「普通借家契約(一般的な賃貸借契約)」「定期借家契約(定期建物賃貸借契約)」のいずれの契約形態によるかで異なります。

将来もう一度住む予定があるのか、住む場合はいつ頃なのかなど、貸主の事情を踏まえて選択し、契約期間を設定する必要があります。

保険加入の有無

借主が火災や水漏れなどを起こした際に備え、借主の損害保険への加入を契約の条件とすることが多いようです。

連帯保証人の有無

一般的には、借主の親族などを連帯保証人として契約しますが、保証人がいない場合には保証会社を利用してもらう方法もあります。

借主によっては、連帯保証人を立てることができない場合もありますので、仲介を依頼する不動産会社と相談するとよいでしょう。

その他の条件

ペットの飼育可否などの部屋の利用条件、駐車場、駐輪場の使用条件、その他条件があれば明確にしておきましょう。

ただし、分譲マンションを貸す場合には、管理規約に基づいて部屋の利用条件を設定する必要があります。また、駐車場や駐輪場についても、借主が使用できるか、名義変更の手続きが必要かなどを管理組合に問い合わせた上で、契約条件に付加します。

季節的変動要因

賃貸では、季節によって住まいを探す人が多い時期、少ない時期がありますので、季節的な変動要因を考慮して賃貸条件を決める必要があります。

住まいを探す人が多いのは1月から3月

一般的に、住まいを探す人が多いのは、1月中旬から3月中旬までといわれています。

これは、新年度や新学期に向けて、4月までに転居しなければならない新社会人や転勤者、学生などがいるからです。また、学生や単身者、ファミリーなど、住まいを探す人の幅も広く、様々な間取りで入居希望者が多くなります。

春から夏は住まいを探す人が少ない

「4月以降8月まで」と「年末年始」は、転居が多くないため、入居希望者が少ない傾向にあります。したがって、この時期に住まいを貸す場合には、契約条件を引き下げることも考えられます。

不動産会社によっては、礼金や手数料を設定しない、入居後一定期間の賃料を無料にするフリーレントを設ける、などといった営業促進策を採る場合もあります。

3.募集活動を見直す

募集活動の報告を受ける

不動産会社から、どのような募集活動を行い、どんな反響があったかなど、定期的に募集活動の報告を受けます。まずは、不動産会社が熱心に募集活動をしているかどうかを確認しましょう。

あわせて反響などが少ない場合には、不動産会社がどのような対応方法を考えているかなどについても説明を求めましょう。

空室が続く原因を考える

空室が続く原因には、主に3つの要素が考えられます。入居希望者の反応などを参考に、しっかりと原因を考えることが大切です。

募集条件

  • 相場より高い賃料設定になっていないか?
  • 敷金や礼金、契約更新時の更新料などの条件に問題はないか?
  • 季節的要因や地域的要因を加味しているか?

物件の魅力

  • 立地や建物の築年数、間取り、設備など、競合物件と比較して劣っている要素は何か?
  • 維持管理に問題は無いか?

活動方法

  • 有効な広告宣伝が行われているか?
  • 依頼した不動産会社の募集活動は熱心か?

募集活動を見直す

一定期間たってもなかなか借主が決まらない場合には、募集活動を見直す必要があります。

空室が続く原因をしっかりと分析し、不動産会社と十分に協議しましょう。

募集条件の見直し

募集条件に問題がある場合や、物件に立地や築年数などの解消することのできない問題がある場合は、募集条件の引き下げを検討する必要があります。

条件の引き下げは、収支に影響してしまいますが、空室の解消を優先する場合は、引き下げが必要な場合もあります。

物件のリフォーム、修繕等

部屋の仕様や設備が劣るなどの問題がある場合には、追加費用をかけて、リフォームや設備の交換によって問題を解消することも検討する必要があります。

このような対応ができない場合には、募集条件の引き下げが必要な場合もあります。

活動方法の強化・見直し

不動産会社にこれまでの募集活動の内容を確認し、空室解消のために営業活動の強化を依頼することも大事です。

特別な広告宣伝を依頼する場合には、追加で広告費が必要な場合もあります。なので、費用面も含めて、どのような募集活動をしてもらえるかを確認しましょう。

もし依頼した不動産会社の活動が熱心でない場合には、他の不動産会社へ相談することもあり得るでしょう。

4.契約の準備をする

入居申込みを受ける

まず、入居希望者から申し込みを受けます。申し込みは、書面で受けることが多くなっています。

一般的には、入居希望者や連帯保証人の住所、氏名、連絡先、勤務先、年収などを申込書に記入してもらいます。

この段階では入居希望者から申し込みを撤回されることもあることに留意が必要です。

入居審査をする

次に、入居申込者の審査を行います。賃料の支払い能力があるか、賃料を滞納するような人柄ではないかなどを、慎重に判断します。

もちろんすべてを審査できるわけではありませんが、仲介を依頼している場合には、不動産会社のアドバイスを受けるなどして、次の着眼点で慎重に審査をしましょう。

着眼点 内容
申込書の内容 勤務先や年収等により賃料の支払い能力などを判断
入居申込者の応対 申し込みに至るまでの応対によって判断
連帯保証人の応対 入居申込者の同意を得て、連帯保証の意思確認などを行って判断

なお、審査の結果については、入居申込者に速やかに通知しましょう。また、入居審査のために得た個人情報については、プライバシーにかかわる内容が含まれていることも多いので、取り扱いには注意が必要です。

審査の結果、契約を断るような場合には受領した書類は返却した方がよいでしょう。

物件情報を開示する

契約を結ぶ前に、入居予定者に、物件に関する情報をしっかりと開示することが大切です。

例えば、設備等に不具合はないか、近隣でのトラブルはないか、その他住むに当たって気になることはないかなど、借主の立場で情報を開示しましょう。

伝えるべき情報を開示しなかった場合には、入居後にトラブルが発生し、貸主の責任を問われることもありますので注意しましょう。

なお、入居者募集を不動産会社に依頼している場合には、不動産会社が物件情報などの重要事項の説明を入居予定者に行うことが法律で義務づけられていますので、これらの情報を正確に不動産会社に伝えるようにしましょう。

物件の状況を確認する

貸主は、借主が物件を使用できる状態で、物件を引き渡す必要があります。

入居後に判明した設備の不具合などは、貸主と借主の責任が不明確となり、トラブルの原因となることがありますので、入居前に物件の状況をしっかりと確認しておくとよいでしょう。

不具合があった場合には修理をした上で、物件を引き渡すようにしましょう。

5.賃貸借契約を結ぶ

契約条件の調整

契約の締結に向けて、入居申込者と契約日や賃料発生日、付帯設備などに関する取り決め、保険の取り扱い、駐車場や駐輪場などの利用の有無などを調整します。

その他、入居申込者から賃料や敷金、禁止事項に関する要望が入ることもありますので、よく検討し、契約までに明確にしておきましょう。

賃貸借契約書のチェックポイント

契約条件の調整が完了したら、賃貸借契約書を作成します。契約後のトラブルを防ぐためには、契約条件が正確に契約書に反映されているかをしっかりと確認することが大切です。

以下に、賃貸借契約の一般的な項目とそのチェックポイントを紹介します。もちろん、確認すべき事項はこれだけではありませんので、疑問点があれば、仲介を依頼している不動産会社にも確認するようにしましょう。

①契約期間と更新の定め

契約が普通借家か定期借家かを確認した上で、契約期間を確認します。契約期間は契約の更新や退去などに関係しますので十分に理解しておきましょう。

契約の更新に関しては、更新手続きや更新料の取り決めを確認しておきます。

②賃料や管理費の額のルール

まずは賃料や管理費(共益費)の額と受け取り方法、受け取り期日を確認します。多くの場合は、振り込みや自動引き落としで、翌月分を前月末日までに受け取ることになっています。

また、滞納時に延滞金を課す場合には、「延滞利率」についても確認しましょう。

また、賃料の改定についての取り決めがある場合には、その内容も確認します。

③敷金など

敷金などを預かる場合には、その金額と返還に関する具体的な手続きなどを確認します。

特に、敷金と退去時の「原状回復費用」との精算をめぐるトラブルは多いので、原状回復に関する取り決めも含めてしっかりと確認しましょう。

④反社会的勢力の排除

不動産取引からの「反社会的勢力の排除」を目的に、反社会的勢力排除のための条項が導入されるようになりました。

国土交通省が平成24年2月10日に公表した「賃貸住宅標準契約書」では、「貸主及び借主が、暴力団等反社会的勢力ではないこと」などを確約する条項を盛り込んでいます。契約書の中にこうした条項が記載されているか確認しましょう。相手方がこれらに反する行為をした場合は、契約を解除することができます。

⑤禁止事項

禁止事項の例としてはペットの飼育、楽器演奏、石油ストーブの使用、勝手に他人を同居させること、無断で長期不在にすること、危険物の持ち込みなどがあります。

契約条件として決めた禁止事項が記載されているかを確認します。

⑥修繕

入居中の物件の修繕に関する取り決めです。一般的には、通常の物件の使用に必要な修繕は貸主が行うこととなっていますが、借主の故意や過失によって必要となった修繕は、借主が行うこととなります。

このような取り決めが不明確な場合は、入居中のトラブルとなることもありますので注意しましょう。

⑦契約の解除

貸主からの契約解除の要件などが取り決められています。

例えば、賃料などを滞納した場合や、借主が禁止事項に違反している場合などが挙げられます。

借主に契約違反があった場合に、契約の解除を検討することもありますので確認しておきましょう。

⑧借主からの解約

借主からの解約について、解約通知の期日や具体的な手続きを確認します。

⑨原状回復の範囲と内容

賃貸借の契約で最もトラブルになりやすいのが原状回復にかかわる取り決めです。

トラブル回避のためには、原状回復に関する取り決めをできるだけ明確にしておくことが大切です。国土交通省が平成24年2月10日に公表した「賃貸住宅標準契約書」では、原状回復に関する取り決めを具体的に明記するように改訂され、別表として詳しい項目を提示しています。

退去時の修繕等の義務については、「借主の通常の居住、使用による物件の破損、損耗」は貸主の負担で、「借主の故意や過失などによる物件の破損、損耗」が借主の負担とされます。

もし、本来は貸主負担とするべきものを、借主負担とする特約を付す場合は、借主への説明と意思確認を慎重に行う必要がありますので注意しましょう。

⑩特約事項

その他の契約条件がある場合は特約事項として取り決めます。貸主側で個別の要望がある場合は、後になって「そんな約束はしていない」と言われないよう、契約書に記載してもらうことが望ましいでしょう。ただし、借主に不当に不利益な特約は、トラブルの原因となりますので注意しましょう。

賃貸借契約の手続

賃貸借契約の締結は、不動産会社の事務所などで行われます。

契約には、貸主や借主、仲介した不動産会社などが立ち会います。(必要があれば連帯保証人も立ち会います。)なお、契約に立ち会えない場合には、不動産会社に依頼することになります。

契約時には、契約書の内容を読み上げて最終的な確認をし、内容に問題がなければ契約書に署名、捺印を行います。

貸主はこの後、借主から敷金や礼金、前家賃などを受け取り、敷金などに対しては預り証、礼金や前家賃に対しては領収書を発行します。

その後、鍵を渡して契約は終了です。(鍵の預り証を受け取ることもあります。)なお、不動産会社に仲介を依頼している場合は、仲介手数料を支払います。(不動産会社からは領収書を受け取ります。)

おわりに

ここでは、不動産を他人に貸し出すときにやらなければならいないことについて説明しました。一つ一つ確実にこなして行きましょう。

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