\ フォローしてね /

リズムを作る!和歌の技法「句切れ」の意味と使い方

和歌における「句切り」とは、どんなことを指しているのでしょう。

ここでは、意味の分かりやすい和歌、短歌を例にあげて、「句切り」を簡単に説明したいと思います。

和歌・短歌の形式について

百人一首などに代表される、「五・七・五・七・七」という決まった音数で作られた、日本古来の詩のことを「和歌」と呼びます。明治時代になって、その定型詩をさす言葉は「和歌」から「短歌」へと変わっていますが、「五・七・五・七・七」などの約束事は同じです。

「句切れ」とは

上の説明にある通り、和歌・短歌は、「五・七・五・七・七」の言葉の音数で成り立っています。それを、左から

「初句(五)」「二句(七)」「三句(五)」「四句(七)」「結句(七)」

と呼びます。( )の数字は音数です。

では、「句切れ」について説明をします。

白鳥は/哀しからずや/空の青/海のあをにも/そまずただようふ(若山牧水)

歌の意味は、「白鳥は哀しくないのだろうか。空の青色にも、海の青色にも、染まらないで漂っているが。」という感じです。

さて、歌の意味を参考にして、この一首のどこかに「。」(読点)を入れるとしたら、どこに入るでしょうか。下のようになります。

白鳥は/哀しからずや「。」/空の青/海のあをにも/そまずただようふ(若山牧水)

「哀しくないのだろうか」と、一首の中で文章の意味がいったん切れる、二句目の終わりに「。」を入れます。ということは、この歌は「二句切れ」ということになります。

「句切れ」とは、一首の中での「意味の切れ目」をさします。

名歌の例

「句切れ」が分かったところで、上記で説明をした「二句切れ」以外の、各「句切れ」に対して、一首ずつをご紹介します。

今回は、句切れとなる箇所で、歌を「改行」しました。訳も同じようにしてあります。これで「句切れ」が、はっきりするのではないでしょうか。

「初句切れ」の歌

その子二十/

櫛にながるる/黒髪の/おごりの春の/うつくしきかな (与謝野晶子)

「その女性は二十歳(はたち)だ。

クシに流れていくような黒髪の誇らしげに見える青春とは、なんて美しいのだろう。」

「三句切れ」の歌

長らへば/またこのごろや/しのばれむ/ 

憂しと見し世ぞ/今は恋しき  (藤原清輔朝臣)

「長く生きていれば、今現在もそのうち懐かしいと思うのだろう。

嫌だなあと思って過ごした時代が、今は恋しいのだから。」

「四句切れ」の歌

はたらけど/はたらけど猶/わが生活/楽にならざり/ 

ぢっと手を見る (石川啄木)

「働いても、働いても、私の暮らしは楽にならない。

じっと手を見る。」

「句切れなし」の歌

ゆく秋の/大和の国の/薬師寺の/塔の上なる/ひとひらの雲 (佐佐木信綱)

「秋の終わりの薬師寺の塔の上に、ひとひらの雲が浮かんでいるなあ。」

句切れを見つけるには

現代に作られた短歌ならば、歌の意味もわかりやすいので、どこで切れているか分かりやすいと思います。

問題は、和歌の場合です。これは歌の意味を知っていなければ、どこで切れるかわかりません。それには、古語や文法や用法の知識が必要になってくるので、そちらも並行して勉強するのがよいと思います。

「句切れ」は、リズム感を生む

「句切れ」を使うと、リズム感が生まれます。特に、「初句切れ」は、最初の言葉を強調したいときに、効果的です。

例えば「きみは海」、「花は四月」などを、最初に持ってきて、いったん意味を切ってみます。すると、この「初句」がとても強調され、若々しい印象になるのではないでしょうか。初句の後に「!」をつけたような印象になるのが、初句切れです。

きみは海「!」ゆったりとして/きらきらと/光っているけど/ときどき荒れる

この歌を、同じ内容で、「句切れなし」にも変えることができます。すると内容が同じでも、リズムと印象が変わることに気づくでしょう。

きらきらと/光っているけど/ときどきは/荒れてあなたは/海のようです

避けたい「句切れ」の使い方

一首に、いくつも「句切れ」がある

一首のうちに、2つ以上句切れがあると、ブチブチと歌が刻まれてしまい、リズム感もむしろ悪くなることが多いです。もちろん、あえてそれを活かすという使い方もできますが、とても高度な技術が要るかと思います。

一首のうちに、「句切れ」は、1つが基本です。

おわりに

「句切れ」をお分かりになったでしょうか。

国語や古典のテストでは、よく「何句切れでしょうか」という問題が出たと思います。しかし、現代、短歌を作るときには、それほど重要視されていません。ご参考になればと思います。

(photo by 足成)

このライフレシピを書いた人

編集部にリクエスト!

「こんなライフレシピがほしい」や「ここがわかりにくかった」などをお送りください。