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    模倣にならないように注意!和歌の技法「本歌取り」の意味と使い方

    和歌の技法のひとつ「本歌取り」は、古歌の一部を取り入れる、つまり、いにしえの名歌を真似をしつつ、新しく歌を詠むというものです。

    ここでは、その「本歌取り」と、それを行う時の注意点などを説明したいと思います。

    「本歌取り」とは?

    「本歌取り」とは、すでに存在している名歌から、一部をそのまま取り入れて、新しい歌を詠む手法です。

    「本歌取り」の効果

    本歌(もととなっている歌)の言葉をそのまま使用することによって、本歌のもつイメージや心情も、新しい歌に取り込むことができます。

    和歌の伝統を手本にしつつ、新しい表現を生み出すということは、一首で二首を味わうことができるということです。その分、歌の世界を広げることができます。

    「本歌取り」は、古歌への憧れと尊敬がベースになっています。

    「本歌取り」の例

    次に、「本歌」と、その歌をもとに「本歌取り」を使って詠まれた歌をご紹介しながら、「本歌取り」について説明します。

    あしひきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む (柿本人麻呂)

    意味 (山鳥の垂れた尾のように長い)夜をひとりぼっちで寝るのだなあ。

    という有名な歌があります。約700年ごろの飛鳥時代に作られた歌で、百人一首にも入っています。

    これよりも500年ほど経た鎌倉時代、藤原定家と言う有名な歌人が、上の歌をふまえて、下の歌を作りました。

    ひとり寝る 山鳥の尾の しだり尾に 霜おきまよふ 床の月影 (藤原定家)

    意味 山鳥の尾に置かれた霜のようだな。床に射している月の影は。

    太字のところが、柿本人麻呂の本歌から、取ってきた言葉です。

    山鳥とは
    キジ科の鳥ですが、雌雄は、それぞれ一人ぼっちで夜を過ごす鳥だと考えられていました。

    柿本人麻呂の歌が、「恋の歌」であるのに対し、それを「本歌取り」して作られた藤原定家の歌は、「月」を新たに登場させることで、新しい表現にしています。

    「本歌取り」のルール

    「本歌取り」をすると、本歌となった古歌もともに味わうことができます。そのため「本歌取り」が多く行われ、ブームとなりました。

    すると、模倣やパロディがあふれ、現在の著作権のような問題も起こるようになりました。そこで、以下のようなルールができました。これらは、藤原定家が弟子に伝えたと言われています。

    本歌取りのルール

    • 1: 近年の80年以内に作られた和歌は、本歌取りをしてはいけない
    • 2: 本歌から取ってくる言葉は、せいぜい2句ほどにすること
    • 3: 本歌と、違った内容の歌にすること
    • 4: 本歌は有名で、だれもが分かる歌であること(出所が分かること)

    このルールの意図するところ

    「本歌取り」は、本歌の言葉を真似するだけでは、いけません。

    • 読む人が「どの歌のここの部分を取ってきたな」と分かることが大切です。
    • さらに、本歌とは異なる趣の歌を、新たに詠むことが望ましいとされています。

    「本歌取り」を使って歌を詠むには

    上記に記した、昔の歌人が作ったルールに従いましょう。このルールは、単なる模倣や、意味のないパロディを防ぐために、作られたもと言えます。

    自分で歌を詠むときは、本歌取りが名歌の単なる模倣となっていないように、よく見なおしてみましょう。

    本歌を選ぶときに、自分が「本歌取り」をしたことが伝わるように、最近作られた歌ではない、誰もが知る名歌を選ぶことが大切です。

    「本歌取り」をするときの注意点

    「盗作」と見なされないように!

    「本歌取り」のつもりだった作品が、ある作品の模倣だとされてしまう可能性もあります。つまり、それは「盗作」となってしまいます。誤解を防ぐためにも、上記の「本歌取りのルール」をしっかり守りましょう。

    現代は、インターネットの普及も手伝って、多くの人が自由に自分の作品を発表できる時代です。それにより、模倣もしやすくなっているのが現状です。そこから安易に言葉を抜き取って使用するという行為は控えましょう。

    和歌や短歌からだけではなく、詩、俳句、小説などの文章を、自分の歌に作り変えてしまうのも、やはり盗作です。注意しましょう。

    おわりに

    「本歌取り」は、新古今和歌集の作られらた鎌倉時代初期がとても盛んでしたが、現代は、それほど行われているわけではありません。

    「盗作」と見なされてしまう可能性もあるので、注意が必要な技法でもあります。そこのこと頭に置いて、慎重に使いましょう。

    (photo by 足成)

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