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漢文を読もう!『漁夫の利』の読解ポイント

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今でもよく使われますね。

時代的には中国、秦の始皇帝が登場する前、戦国時代(紀元403年~紀元前228年)頃のお話です。各国は互いに小競り合いをしながらも、強大な秦を恐れていました。

今回は、「漁夫の利」の読解のポイントをご紹介します。

漁夫の利

意味

両者がお互いに争っている隙に、第三者が利益を横取りすること。

形式

散文形式

白文

趙且伐燕。
蘇代爲燕謂惠王曰、今者臣來過易水。蚌方出曝。而鷸啄其肉。蚌合而箝其喙。
鷸曰、今日不雨、明日不雨、即有死蚌。蚌亦謂鷸曰、今日不出、明日不出、即有死鷸。
兩者不肯相舍。漁者得而幷擒之。
今趙且伐燕。燕趙久相支、以敝大衆、臣恐強秦之爲漁父也。願王之熟計之也。
惠王曰、善。乃止。

書き下し文

1.趙(ちょう)、且(まさ)に燕(えん)を伐(う)たんとす。
2.蘇代(そだい)、燕(えん)の為(ため)に恵王(けいおう)に謂(い)いて曰(いわ)く、今者(いま)、臣(しん)来(き)たるとき易水(えきすい)を過(す)ぐ。蚌(ぼう)方(まさ)に出(い)でて曝(さら)す。而(しこう)して鷸(いつ)其(そ)の肉(にく)を啄(ついば)む。蚌(ぼう)合(あ)わせて其(そ)の喙(くちばし)を箝(つぐ)む。
3.鷸(いつ)曰(いわ)く、今日(こんにち)雨(あめ)ふらず、明日(みょうにち)雨(あめ)ふらずんば、即(すなわ)ち死蚌(しぼう)有(あ)らん、と。
4.蚌(ぼう)も亦(ま)た鷸(いつ)に謂(い)いて曰(いわ)く、今日(こんにち)出(い)ださず、明日(みょうにち)も出(い)ださずんば、即(すなわ)ち死鷸(しいつ)有(あ)らん、と。
5.両者(りょうしゃ)、相(あい)舎(す)つるを肯(がえ)んぜず。漁者(ぎょしゃ)、得(え)て之(これ)を幷(あわ)せ擒(とら)えたり。
6.今(いま)、趙(ちょう)且(まさ)に燕(えん)を伐(う)たんとす。燕(えん)・趙(ちょう)久(ひさ)しく相(あい)支(ささ)えて、以(もっ)て大衆(たいしゅう)を敝(つか)らさば、臣(しん)、強秦(きょうしん)の漁父(ぎょほ)と為(な)らんことを恐(おそ)るるなり。
7.願(ねが)わくは王(おう)の之(これ)を熟計(じゅくけい)せんことを、と。
8.恵王(けいおう)曰(いわ)く、善(よ)し、と乃(すなわ)ち止(や)む。

ちょっとポイント

  • 蘇代 : 縦横家。縦横家とは中国古代の思想家たちで、外交の策士として各国の間を行き来した人たちのこと。
  • 臣: 臣下。ここでは自分を「臣」と呼び、「私」という意味。
  • 易水 : 趙と燕の国境となっていた川。
  • 蚌 : はまぐり。どぶ貝と解釈することもある。二枚貝で食用。
  • 曝 : 「日光にさらす」の意味。 曝す(サラす)。
  • 鷸 : シギ。湿原や草原に住み、貝やカニなどを食べる。食用。
  • 漁夫:=漁父

現代語訳

1.ちょうど、趙は燕に攻め込もうとしているところでした。
2.蘇代は燕のために、恵王にこう言いました。
『今、私はこの国に来る途中、易水(国境)というところを通りかかりました。ちょうどハマグリが出てきて、陽にあたっているところでした。そこへさらにシギがでてきて、そのハマグリの肉をついばんだのです。ハマグリはその貝をとじ合わせ、シギのくちばしをはさみこみました。
3.シギは言いました、「今日雨が降らず、明日も降らなければ、ハマグリ、お前はすぐに死ぬぞ」と。
4.ハマグリもまた、シギに言い返します。「私が今日(シギのくちばしを)離さず、明日も離さなければ、シギこそすぐに死ぬのだ」と。
5.両者は、どちらも折れません。そこへやってきた漁師が、ハマグリもシギも捕まえて持って行ってしまいました。
6.今、趙は燕に攻め込もうとしています。燕と趙が長く戦って、それにより民が疲れてしまえば、私は、強い秦が、上の漁師のようになって、(趙と燕の)二国が争っている間に、両方とも滅ぼしてしまうというのを恐れているのです。
7.どうか、このことをよくお考えになってください』と。
8.恵王は「分かった」と言い、そこで燕に攻め込むことやめました。

句法

  • 且:「まさニ~(セント)ス」と読む再読文字。意味は「ちょうど~しようとする」。
  • 即・乃:ともに「すなはチ」と読むが意味が異なる。「即」は「すぐに」、「乃」は「そこで」「ところが」。
  • 而(しこう)して:「しこうじて」とも。前文で述べた事柄に並べて、あるいは付け加えて、別の事柄を述べるときに用いる。そうして。それに加えて。

終わりに

ここで出てくる恵王、恵文王ですが、いろんな逸話があります。

「完璧」という言葉も、この恵文王のエピソードから生まれた熟語だといわれています。

漁夫の利は、現代でもよく使われますし、漢文も読みやすいですね。

(photo by amanaimages)

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