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不動産の売買契約の基礎知識

不動産の売買契約は、いったん契約すると簡単に解除できるものではありません。自己責任で締結するものだからこそ、事前にその内容について正しく理解しておくことが大切です。

ここでは、不動産の売買契約の基礎知識についてまとめてみました。売買契約の概要や解除する方法、手付金、瑕疵担保責任などについて解説しているので、契約前に是非ご一読ください。

本記事は、不動産ジャパンのご協力により、2013年に執筆されたものです。

売買契約の基本的な考え方

契約は原則として自由

売り主と買い主との契約は、法令に違反する、公序良俗に反するなどの問題がない限りは自由です。逆にいえば、契約は自己責任で締結することが原則ということです。

もちろん、消費者が一方的に不利益を被る契約とならないよう一定の法整備がなされていますが、すべてをカバーできるわけではありません。最終的には自己責任でしっかりと契約内容を確認した上で、契約に臨むことが重要です。

なお、契約に定めがない事項については、民法その他の関係法令に従い、協議の上で決定することとなります。

重要な契約条件が不明確であると、契約後のトラブルにつながってしまいますので注意しましょう。

売り主が不動産会社の場合には契約内容に制限がある

不動産会社(宅地建物取引業者)が売り主となる場合には、買い主に不利益な契約が結ばれることのないよう、宅地建物取引業法により不動産会社に対して、契約内容に一定の制限が設けられています。これによって、不動産取引の専門家である不動産会社と直接契約を締結することとなる買い主を保護しています。

事業者と消費者の契約については消費者契約法の適用がある

事業者と消費者との間には情報力や交渉力等に差があることから、消費者契約法では、事業者と消費者との契約(これを「消費者契約」といいます)を対象に、消費者保護を目的とした特別な契約ルールが定められており、不動産売買契約にも影響します。

例えば、消費者が誤認などした場合には契約を取り消すことができるほか、消費者にとって不利益な条項(瑕疵担保責任など事業者の責任を免責する条項など)が無効になるなどの規定があります。

売買契約の流れ

売買契約の手順

重要事項説明を受け、契約内容や物件について納得したらいよいよ売買契約の締結です。

買い主と売り主が集合し、売買契約書を読み上げて契約内容の最終確認をします。その上で、契約書に署名・押印し、手付金等の授受を行います。手付金等は、現金や指定口座への振り込みのほか、預金小切手で用意する場合もあります。

また、不動産会社が仲介に入っている場合は、契約時に仲介手数料を支払うことも多いようです。契約手続きに漏れがあると、売買契約が締結できないことで、売り主をはじめとして関係者に迷惑をかけてしまいますので、しっかりと準備をした上で契約に臨みましょう。

マネー・ローンダリング防止のために、平成20年3月から不動産の取引においても本人確認の書類を提示することが求められるようになりました。

契約時に必要なもの

手付金等

一般的に、代金の20%以内を現金・振り込み・預金小切手などで支払います。

印紙

売買契約書に貼るためのものです。代金が1,000万円超5,000万円以下の場合の印紙代は1万5,000円となります。

印鑑

実印であることが多いです。

不動産会社への仲介手数料

媒介契約書であらかじめ取り決めた金額を現金・振り込み・預金小切手などで支払います。

本人確認書類

運転免許証や各種健康保険証などの公的機関が発行した本人確認書類が必要になります。

「手付金」の基礎知識

手付金の種類

不動産売買契約では、契約締結時に「手付金」と呼ばれる金銭を、買い主が売り主に支払うことが一般的です。

手付金には、

  • (1)証約手付
  • (2)解約手付
  • (3)違約手付

の3種類があります。

一般的に不動産売買契約では、(2)の「解約手付」として授受されます。民法でも手付金の性質について特段の定めがない場合には解約手付と推定するとされています。

「解約手付」とは?

「解約手付」とは、買い主は既に支払った手付金を放棄する(返還を求めない)ことにより、また、売り主は既に受けとった手付金の倍額を買い主に返すことにより、売買契約を解除することができる手付けをいいます。

ただし、解約手付による契約の解除ができるのは、「相手方が履行に着手するまで」とされています。つまり、既に相手方が契約に定められた約束事を実行している場合には、手付けによる解除はできません。

「瑕疵担保責任」の基礎知識

「瑕疵担保責任」とは?

「雨漏り」や「建物本体の白アリ被害」のような物件の欠陥などを「瑕疵(かし)」といいます。そのうち、買い主が知り得なかった「瑕疵」を法的には「隠れた瑕疵」といいます。

隠れた瑕疵が判明した場合、買い主は、売り主へ物件の修補や損害の賠償を求めることが可能です。また、欠陥などが重大で、住むこともままならない場合などは、契約の解除を求めることもできます。このような、物件の瑕疵に関する売り主の責任を法的には「瑕疵担保責任」といいます

瑕疵担保責任の線引き

売買契約では、売り主が瑕疵担保責任を負うか否か、負う場合は物件の引き渡しからどのくらいの期間、責任を負うのかなどが取り決められます。

ただし、物件の隠れた瑕疵をめぐるトラブルは非常に多いことから、売り主は物件の瑕疵について誠実に情報提供をする、買い主は十分に物件を確認することで、契約前に瑕疵を明らかにしていくことが重要です。

不動産会社(宅地建物取引業者)が売り主の場合は2年以上瑕疵担保責任を負うことが義務づけられています。

新築住宅の場合

新築住宅の場合、売り主である不動産会社(宅地建物取引業者)は、住宅の主要構造部分等(基礎、柱、屋根、外壁等)について10年間は瑕疵担保責任を負わなければいけません。

売り主が倒産するなどで瑕疵担保責任を履行できない状況を回避するために、買い主に引き渡す際に、売り主には保険への加入か保証金の供託が義務づけられています。売り主は買い主に対して、重要事項説明や売買契約の際に、保険と供託のいずれの措置を採るのかを説明することになっているので、しっかり確認するようにしましょう。

売買契約に瑕疵担保責任の定めがない場合

売買契約に、瑕疵担保責任の定めがない場合は、民法の規定に基づきます。民法の規定では、売り主の瑕疵担保責任の期間が限定されないことから、一般的に売買契約では、売り主が瑕疵担保責任を負う期間を明確にします。

なお、期間の定めがない場合には、売り主が瑕疵担保責任を負うのは、買い主が隠れた瑕疵を知ってから1年以内と定められています。

売買契約締結後に解除する方法

不動産売買のように大きな取引を行う場合は、契約は売り主と買い主の信頼関係の上に成り立つ大事な約束です。そのため、いったん契約を締結すると、一般的には、一方の都合で簡単に契約を解除することはできません。契約の解除には、主に以下のようなものがあります。

以下の内容は一般的なものであり、個々の契約で契約の解除に関する取り扱いは異なります。

クーリングオフによる解除

売り主が不動産会社(宅地建物取引業者)で、かつ一定の条件を満たす場合に限り、無条件で契約を解除することができます。

手付解除

相手方が契約の履行に着手するまでは、手付金の放棄、または倍返しにより契約を解除することができます。

危険負担による解除

天災による物件の滅失等により、契約の目的が達せられない場合などは、買い主は無条件で契約を解除することができます。

瑕疵担保責任に基づく解除

物件に重大な瑕疵(欠陥など)があった場合に、その瑕疵により契約の目的が達せられない場合は、買い主は無条件で契約を解除することができます。

特約による解除(ローン特約など)

特約の内容に応じて解除することができます。例えば、「ローン特約」の場合なら、買い主に落ち度がなくても住宅ローンを受けられなかった場合に、買い主は無条件で契約を解除することができます。

合意による解除

当事者の合意に基づく条件で契約を解除することができます。

おわりに

自己責任で結ぶことになるので、締結前にしっかりと内容を確認しておきましょう。

(image by amanaimages)
(image by 筆者)

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