住宅を建設するにあたって、多くの場合「設計料」が必要になります。しかし、ハウスメーカーや工務店、設計事務所といった形態によって、その額や表示方法は異なります。
今回は、そんな設計料に関する基礎知識をまとめてみたので、参考にしてください。
住宅設計の設計料の基礎知識
「設計料」とは?
設計料とは設計作業の対価です。
間取り作成と見積りまでは無料の依頼先や、本契約の前に少額の設計料を請求する依頼先、設計事務所のように数百万円の設計契約(支払いは分割)を行う依頼先があります。
今回は、工務店、ハウスメーカー、設計事務所の3つに絞って紹介します。
工務店の設計料
工務店の場合は、各社によって異なりますが、おおよそ2種類に分かれるようです。
工事契約の前に設計契約を取り交わす工務店の場合
設計契約の中で工事費の2~5%前後を設計料として計上します。
設計契約を取り交わさない工務店の場合
工事契約書(請負契約書)の中に、設計料として工事費の2~5%前後を計上します。
ハウスメーカーの設計料
ハウスメーカーの場合は、詳細な仕様はすでに決まっていますので、設計といってもプラン程度のものを描けば自動的に全体が決まることになります。よって、設計作業のコストや自立性は低く、施工と一体の商品としての側面が強いため、見積書の細目は正確さよりも営業表現のひとつとして捉えられています。
まず社内既定によって計算した建物の総額があり、それを個々の建て主が納得しやすいように各細目に割り振って提示します。例えば、「設計料などはムダだ」と言いそうな方には設計料としては計上せず、逆に「設計料がないのはおかしい」と言いそうな方には3%程度を計上するというようにします。
よって、ハウスメーカーの場合は、建物の総額の多寡は意味があっても、設計料を含めた各細目は実質的な意味を持ちません。
設計事務所の設計料
ほとんどの設計事務所は、工事金額に料率を掛けた額を設計監理料としています。料率は設計事務所によって、また同じ設計事務所でも工法や施工額によって異なります。
料率の目安は2500万円の木造住宅で10%~15%です。ただし、設計事務所の実績や体制によって8~25%とばらつきが大きいのが現状です(海外には100%という方もいるそうです)。
地方などでは設計料を3%としている方もいるようですが、3%は設計監理業務の損益分岐点を大幅に下回っており、趣味で行っているか、または設計のみで監理は工務店に任せてしまっているのかのどちらかと推測されます。
まれに、単位施工床面積に対しての一定額(1坪5万円など)という計算方法で計上する設計事務所もあります。
おわりに
設計料が異なるのは、業態や考え方の違いからなので、どのやり方が良心的またはお得だということはありません。値段だけに注目せず、その都度しっかり確認しましょう。
(image by 筆者)