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【これからの住まいのカタチ】シェアハウスの基礎知識

「シェアハウス」という言葉をよく耳にするようになってきました。

TV番組やメディア広告といった様々な企画にトレンド要素として盛り込まれたり、政治家まで政策として言及するようになってきたりと、なにかと賑やかです。

でも、このシェアハウスと呼ばれるもの、実際のところ何が、どういう要因で、どのぐらい増えているのか、正しく知られていない場合が多いような気もします。

今回はまず「そもそもシェアハウスって何?」という点に絞って、できるだけきちんと説明してみたいと思います。

本記事は、ひつじ不動産のご協力により、2013年に執筆されたものです。

そもそもシェアハウスとは、何なの?

最初に知りたいのは、やはりシェアハウスの「定義」。これが無ければ、なんのことかよく分かりません。

でも困ったことに、この定義は非常に曖昧です。シェアハウスという言葉は、それが一体なにを指すのかよく分からないというのが実際のところなのです。

たまに「シェアハウスは企業が運営していて、ルームシェアは個人同士で行なっている」なんて説明を目にすることもありますが、個人同士のものの多くがシェアハウスを積極的に名乗り、逆に企業は一部でシェアハウスという呼び方を避けるケースが見られることもあります。

どうも、きちんとした根拠のある定義付けとは言えないようです。

結論を言ってしまえば、シェアハウスという言葉の定義は、あまり考えても仕方がないものだということでしょう。建物の形も、種類も、運営スタイルも、人数も、様々なものがシェアハウスと呼ばれることがあります。

「シェアハウス」の定義は、とても曖昧。

実は、シェアハウスという言葉には歴史的に共有された意味も、なにか権威のようなものに裏打ちされた定義もなく、ましてや英語としても微妙というものです。

シェア住居の定義と、DIY型/事業体介在型

と言っても、それで投げ出してしまっては仕方がありません。

ひつじ不動産」では、この定義づけが曖昧で捉えようのない言葉のかわりに、今のところ「シェア住居」という言葉を用いて、ある程度具体的な分類をしています。

ちなみに、単に正確なコミュニケーションを意識するために曖昧な言葉が避けられているだけで、「これからはシェア住居と呼ぼう」だとか、「シェアハウスよりもシェア住居の方が良い」といった話ではありませんのであしからず。

さて、シェア住居の定義は、

“その建物に住む(血縁や職場を同じくするといった関係にない)入居者同士が充分に豊かな交流を育むことのできる共用設備を屋内に備え、その交流機会の提供を主要な付加価値の一部としている住宅”

とされています。

風呂やトイレが共用であるかどうかが含まれない点や、あまり安さばかりを主眼としないような含みが持たされていることがポイントでしょうか。

ここから、シェア住居はさらに大きく2つに分類されています。

ポイントは、建物の形や規模ではなく、運営管理や賃貸経営としての枠組みに着目しているところです。実際のところ、これは暮らしのあらゆる側面に大きな違いを生み出す、とても根源的な違いです。

1.DIY(Do It Yourself)型運営のシェア住居

基本的に個人同士の信頼関係に基づいて運営されるシェア住居です。一般に入居者の1人が賃貸借家契約の名義人となり、他の入居者と家賃を折半するような枠組みが多いでしょう。

特徴はハイリスク・ハイリターンといったところで、生活者自身が経済面、運営面に全ての責任を持つことで、非常に安価な住居費が実現できたり、圧倒的に自由度の高い暮らし方が可能となるあたりが、特に大きなメリットと言えそうです。

ある意味で、「何をやってもいい」のがDIY型です。

デメリットは、やはりリスクでしょう。

住居費の安さは、見方を変えれば生活者自身で賃貸経営に近いリスクを負うことで実現しているとも言えます。もしも入居者が減る(=稼働率が低下する)ことがあれば、即座に生活者自身の住居費が上昇することを意味します。

自由度の高さには、全ての運営管理やトラブル解決を全て生活者自身で解決するという、様々な意味での「コスト」が代わりに発生する側面があります。

「安い・自由」という大きなリターンとともに、「不安定・大変」という、住まいとしては割と大きなリスクをはらむ側面があるのがDIY型運営のシェア住居の特徴と言えます。

2.事業体介在型運営のシェア住居

一方で事業体介在型のシェア住居は、豊かな共用部と交流機会を備えた、ごくごく普通の賃貸住宅と言えます。

一般に入居者は貸主との間で1人1人が個別に建物賃貸借の契約をし、貸主自身または貸主から委託された管理業者が日々の運営管理やトラブル対応などを担います。

この仕組みは、アパートやマンションといった、ごくごく当たり前の賃貸住宅と基本的には変わりません。違いは共用部が充実していることと、入居者同士の接触機会が重視されていることだけです。

さて、事業体介在型のシェア住居の特徴は、ミドルリスク・ミドルリターンということです。

事業者が介在してリスクを負う上に、設備投資や運営管理にコストがかかるため、一般にDIY型ほど住居費が安いとは言えません。しかし、入居者の支払う住居費は基本的に一定で、稼働率によって上下することは通常ありません。

また、長期間安定した運営管理を実現するために、多くの場合経験のある運営事業者が管理に携わります。予め入居規約も設けられており、なんでも自由に決められるわけでもありません。

自由度という点では、多少は制限される部分があると言えます。

一方で、トラブル防止や円滑で快適な暮らしのために設けられた入居規約によって、入居者は日々の暮らしのなかでその恩恵を得ているとも言えます。何か問題が起きた場合も、第三者のプロが関わっていることで円滑に解決できるケースは少なくありません。

事業体介在型のシェア住居は、様々な側面で「まずまずの安心感・安定感」があるのが特徴と言えます。

ただしもちろん、なにごとにも絶対はありません。

事業体介在型であっても運営事業者の知識や経験が不足していたり、そもそもあまり良心的でない姿勢であったりすることもあるでしょう。逆にDIY型でも、安くないものや自由でないものがあったりします。

このあたりは、最終的に自分で責任を持って、できるだけ失敗しないように注意ぶかく選択する必要があります。

なお、DIY型の実数は誰にもわからないために比較はできませんが、事業体介在型のシェア住居は2013年3月末時点で、日本全国に累計で2万室弱ほど供給されています。

事業者と個人の供給力や持続力の大きな差を考えれば、おそらく数の上では事業体介在型はDIY型の数倍から数十倍の供給があったとしても、おかしくないのではないでしょうか。

その他の分類「大きい・小さい」

最後に、運営の枠組み以外の視点での分類を考えてみましょう。色々ありそうですが、一例として建物のボリュームはどうでしょうか。

建物のボリュームは、特にどちらが良い悪いということもありません。しかし、人によって向き不向き、あるいは好みの違いはあるようです。

大きい建物

最近では、数百もの部屋を持ったシェア住居がいくつもあります。入居者の人数も数百人で、ちょっとした街のようです。

建物としては企業や学校の寮やマンションが多く、非常に大きなラウンジや特殊な施設が提供されるなど、最近は特に設備面の充実が著しいのが特徴です。

入居者同士の交流具合は様々ですが、やはりボリューム上、ある程度都会的と言うか、モザイク状に濃淡のあるコミュニティ形成になる場合が多いようです。

あまり濃密過ぎる交流に苦手意識のある方や、ある程度変化のある刺激を常に求めたい方には合っていると言えそうです。

小さい建物

数名程度のシェア住居は、マンションのなかの一部の住戸や戸建住宅の建物を活用する場合が多くなっています。

一般に豪華な共用設備を備えるというわけにはいきませんが、個人のオーナーや小規模な事業者による小規模なシェア住居経営は、いわばカフェや雑貨店の経営のように、運営者の人柄や思いが強く反映されるのが面白さです。

入居者同士も割と距離感が近く、まずまず密度の高い関係となる場合が多いでしょう。

ある程度限られた相手と、じっくりと付き合っていきたいという方に合っているのではないかと思います。

自分に合った家を、普通の感覚で選ぶことが大事

さて、「シェアハウス」という言葉を掘り下げるなかで、すこし厳密な話をするために「シェア住居」や「DIY型運営」「事業体介在型運営」といった耳慣れない言葉を用いて説明をしました。

一概に何が良い、悪いとは言えませんが、それがあくまで「住まい」であることを忘れないことが大切ではないかと思います。面白さや特別さだけでなく、やはり長く暮らし続ける上では快適さや信頼性もとても大事になるものです。

トラブルを避けられるようにしっかりと基本的なことは学んで、自分自身にとって最も相性の良い、満足のできる選択をすることが大切ではないかと思います。

(image by amanaimages)

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