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これで大丈夫!「韓非子:守株」の読解のポイント

守株(しゅしゅ)」は、中国戦国時代の思想家韓非(かんぴ)の著作である「韓非子」の中に出てくる話です。

今回は、そんな「韓非子:守株」を当時の時代背景とともにしっかり勉強していきましょう!

白文

宋人有耕田者。
田中有株。
兎走触株、折頸而死。
因釈其耒而守株、冀復得兎。
兎不可復得、而身為宋国笑。

書き下し文

宋人(そうひと)に田を耕す者有り。
田中(でんちゅう)に株(くひぜ)有り。
兎走りて株に触れ、頸(くび)を折りて死す。
因(よ)りて其(そ)の耒(すき)を釈(す)てて株を守り、
復(ま)た兎を得んことを冀(こひねが)ふ。
兎復た得(う)べからずして、身は宋国の笑ひと為(な)る。

  • 宋人(そうひと):宋の国の人。宋は春秋戦国時代の小国で、当時は愚か者の国と見下されていました。
  • 田:耕作地。日本の水田とは異なります。
  • 触れ:「ぶつかる」
  • 因(よ)りて:「そこで」
  • 守り:「見守る」

句法

不可復得→復た得(う)べからずして:「再び手に入れることはできずに」

不可能を表します。「不可」は禁止を表すこともあるので注意しましょう。

現代語訳

宋の国の人に畑を耕している人がいた。
畑に切り株があった。
ウサギが走ってきて、切り株にぶつかり、首を折って死んだ。
そこで鋤を放り出して、切り株を見守り、
再びウサギを手に入れることを願った。
再びウサギを手に入れることはできずに、
自分自身は宋の笑いものとなった。

「守株」の意味と用例

以上の話から分かるように、「守株」は昔のやり方をかたくなに守って、進歩しないことを意味します。

「守株」という言葉は、「矛盾」や「蛇足」ほど日常では使われていないため、例文が思い浮かばないという学生の声を聞きます。次のように、名詞あるいはサ変動詞として使われています。

それは古い慣習の守株だ。(名詞)

先代の社長のやり方を守株している。(サ変動詞)

「守株」の背景と鑑賞

当時、戦国時代の弱肉強食の現実を前に、もはや儒家の「人格者が徳によって国を治める」などという理想は絵空事になっていました。そのような昔のやり方にしがみつく為政者を批判するために、韓非が創作したのが「守株」だったのです。

批判を強烈なものにするために、宋人はいかにも愚かに描かれています。古代中国では、肉を食べられるのは貴族階級でしたので、一介の農民がたまたまウサギを手に入れたのはまさに「たなぼた」でした。

そして新たな指導理念として、韓非らの主張する「厳しい法律で国を治める」という法家の思想が力をもつようになっていきました。その思想のもとに政治を行なったのが、最初の統一帝国となったでした。

韓非と「韓非子」について

韓非(?~紀元前233年)は諸子百家のうちの法家の代表者です。戦国七雄の一つである韓の貴族に生まれ、荀子(じゅんし)のもとで学んだとされます。

その後、秦の圧迫を受ける国を憂えて、韓王に献策しますが、取り上げられませんでした。秦へ使者として赴いた際、のちの始皇帝が登用しようとしましたが、その才能を妬まれ、讒言(ざんげん)されて投獄されて自殺を強いられます。

そんな彼の代表的な著作とされるのが、『韓非子』です。始皇帝が「守株」を含んだ部分を読んで感激したという話が残っています。道徳や信頼関係ではなく、法律や利害関係で国を支配するべきだという彼の冷徹な思想が表れています。

おわりに

いかがでしたか?「守株」を気軽な話だと思っていた人はちょっと驚いたかもしれません。故事成語の背景には予想もしなかった現実が潜んでいることが中にはあります。

興味をもったら、自分で調べてみましょう。もしかしたら、意外な発見が待っているかもしれません。

(Photo by 足成)

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