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    英語の始めどきはいつ?

    本記事は、えいごであそぼプラネットのご協力により、2013年に執筆されたものです。

    最初に、佐藤先生が幼児英語をご専門にしたきっかけを教えていただけますか?

    私の専門分野は「応用言語学」や「英語教育」です。なかでも、「幼児期の英語研究」や「子どもの言語発達」という分野に関心をもち、研究しています。

    子どもは自然な成長過程の中で、「ことば」を獲得しています。それは易しく見えますが、子ども自身が「ことば」に触れながら、その意味に気づいたり、考えたり、推測したりしながら理解していくのです。そうした「ことば」を獲得していく過程を研究することで、第二言語の習得に応用できるのではないかと考えました。

    誰もが気になることなのですが...英語はいつから始めるのがよいのでしょう。

    子どもは1歳までに母語の意味を理解するのに必要な「音」を獲得すると言われています。

    日米の子どもを比較したところ、生後5〜6か月頃までは、どちらもLとRの音の区別をはっきりとはできません。
    しかし、生後9〜10か月になると、米国人の子どもは区別ができるようになり、日本人の子どもは相変わらず、できたりできなかったりしています。
    それは、日本語ではLとRの音の区別が意味の理解に必要ないからなのです。

    一方で、米国人の子どもの場合はLとRの区別がつかなければ(たとえばlice(ノミ)とrice(コメ))、不自由を感じるようになるため、「l」と「r」の音を獲得していくのです。

    1歳までに始めなくてはいけないのでしょうか?

    とはいえ、英語を始めるのに、必ずしも「この時期でなければならない」ということはないと私は思います。「やってみたい」と思ったときが始めどきだと思います。

    私どもの調査では、5歳までの時期は、日本語の音も英語の音も同じように聞き取りやすい、という結果が出ています。また、その年代の子どもたちは、聞いた音をそのまま素直に反復できる"マネ上手"でもあるので、この時期に英語に触れておくという良さはあると思います。

    「やってみたい」という気持ちと「マネ上手」がキーワードですね。

    マネ上手な子どもは、実は日常的に親子でのコミュニケーションがよく取れているようです。そうした子どもは、たとえ聞いたことのない日本語の単語であっても、聞いたその場ですぐに上手にマネすることができます。それが英語であっても同様です。初めて聞いた英語の単語でも、発音がかなりできます。私の調査では5歳ぐらいまでの子どもに、そうした結果が現れました。

    しかし、小学校高学年になると、日常的に使用する母語である日本語の影響が強く現れるため、なかなか英語の音をそのままマネすることが難しくなるようです。さらにその年代になると、子ども自身の意志や動機づけがないと、素直に英語に触れることができなくなってしまいがちです。

    親子のコミュニケーションが密な5歳ぐらいまでがやはり大事でしょうか。

    幼少期に何らかの形で英語に触れ、英語の音を聞いて育ってきた子どもは、英語の音が耳に残っていますから、しばらく英語に触れていなくても、英語に触れたときには違和感なく英語を聞き、話すことができるものです。しかも、幼少期の英語体験が楽しかったという気持ちが残っていれば、再び英語に触れても、拒否するようなことはないでしょう。

    佐藤久美子先生
    玉川大学大学院教授。専門は心理言語学、応用言語学、英語教育。2012年4月よりNHK Eテレ「えいごであそぼ」の総合指導、2013年度からNHKラジオ「基礎英語3」の講師をつとめる。

    (image by amanaimages)

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