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自営業者が説明!青色申告のメリットと申告の流れ

筆者は、自営業者になり確定申告をするようになってから半世紀以上が過ぎました。もちろん、独立した当初は税金についての知識が全くなく、わけがわからない状態でした。ですから、経理関係については税理士さんに丸投げしていました。

しかし後年、自分で確定申告をやってみると、それほど難しいものではないことを知りました。そして、青色申告のメリットも実感しました。

白色で申告している人の中には、帳簿をつけることを面倒に思っている人もいるのではないでしょうか。しかし、慣れれば時間もかかりませんし、面倒でもありません。こちらでは青色申告についてご説明します。

青色申告が得をする理由

青色申告のメリットは、何よりも節税になることです。主なメリットを3つ上げます。

65万円の控除

複式簿記で記帳をしていますと、65万円の控除があります。具体的には、損益計算書と貸借対照表を提出することによって、65万円の所得控除を受けられます。

仮に課税所得額が300万円だったとすると、65万円の控除があるときは課税所得額が235万円となり、所得税は23万5千円となります。控除がありませんと、所得税は30万円となります。つまり、青色申告をすることで6万5千円の節税になります。

赤字を3年間繰越

仮に、ある年度が赤字になったときに、その赤字を最高3年間繰り越すことができます。

例えば、平成20年度が100万円の赤字だったとき、翌平成21年度が30万円の黒字だったとしても平成20年度の赤字と相殺することができますので、平成21年度は所得税を支払う必要がありません。

さらに、平成22年度が60万円の黒字になったとしても、平成20年度の赤字がまだ70万円残っていますので、平成22年度も所得税を支払う必要がなくなります。このようにして、最高3年間赤字を繰り越すことができ、節税になります。

家族に給与

妻など家族に給料を支払うことができます。

基本的に、個人事業主は家族に給与を支払うことができません。その代わりに、白色では事業専従者控除という制度がありますが、これは一定の要件を満たしたうえで、それでも最大86万円までしか認められません。

それに対して、青色申告にしますと、妻にも給与を支払うことができます。幾つかの要件を満たしていることを条件に、課税所得に見合った理に適った範囲内であるなら妻に給与を支払うことができます。

仮に、課税所得が300万円とした場合、妻に毎月12万円の専従者給与を支払うなら課税所得は156万円(300万円-12万円×12ヶ月)となります。もちろん、妻にも所得税がかかりますが、事業主単独での白色申告よりも節税することができます。

青色申告を選択できるのは、不動産所得、事業所得、山林所得に限られています。

青色申告をする流れ

手続き

青色申告は勝手にはじめることはできません。税務署に「所得税の青色申告承認申請書」、妻にお給料を支払うなら「青色事業専従者給与に関する届出書」など幾つかの書類を届け出ることが必要です。

新規に開業した人は、開業してから2ヶ月以内に税務署に提出します。普通は、開業届けを提出するときに同時に出します。
途中で白色から青色に変更するときは、青色申告をしたい年の3月15日までに提出します。

日々の作業

青色申告の肝は、日々の正しい帳簿づけといっても過言ではありません。複式簿記で正しく帳簿をつけていさえすれば、青色申告の要件である損益計算書と貸借対照表は苦労することなく作成することができます。

複式簿記を難しく感じる一番のポイントは、1つの取引を2つの側面で捉えることです。1つ例に挙げるなら、ボールペンを100円で購入するという行為は

  • 現金が減少したこと
  • 経費が発生したこと

という2つの側面があります。このような作業を仕訳といいますが、複式簿記の要は、この仕訳とそのあとの各勘定科目への転記にあります。

このように説明されるだけで気分が重くなる人もいますが、今の時代はこれらの作業を自動的に処理してくれる会計ソフトがあります。それを利用することがコツです。もちろん市販のソフトでもいいですし、最近は無料のソフトも充実していますのでそれらを利用してもなんの問題もありません。

無料のソフトを選ぶときは、仕訳から転記まで自動的に行なってくれるソフトを選ぶことが大切です。無料のソフトには転記をしないものもありますので、しっかりと確認をしてください。「転記をしないソフトは意味がない」と考えておくべきです。

適正なソフトさえ用意できたなら、あとはそれに記帳するだけのことです。記帳する頻度は、毎日が理想ですが、記帳するものが多くなければ1ヵ月に1度くらいでも構いません。それを1年間続けるだけです。

このようにするだけで、あとは自動的に会計ソフトが損益計算書と貸借対照表を作成してくれます。あとは、年が明けてからそれらを青色申告決算書に書き写すだけで終了です。

複式簿記は会計ソフトに任せましょう。

証拠書類の取り扱い

青色申告で大切なことは記帳ですが、それと同じくらい大切なのが記帳の裏づけとなる伝票類の保存です。利益は売上げから経費を引いたものですが、それぞれを証明するものがなければ意味がありません。

そこで重要になってくるのが、伝票や領収書類の保存です。これらは種類により5~7年間の保存期間が定められています。

筆者は飲食店での個人事業主が一番長いのですが、飲食店での青色申告をするためには、毎日の売上げ記録と証拠書類を揃えておく必要があります。

筆者は、毎日の売上げを記録したメモや仕入れ伝票、またはレジ袋や文具品など購入した備品の領収書を洗濯ばさみに挟んでおきました。そして、翌月のはじめに先月分の伝票や領収書類を整理しながら会計ソフトに打ち込んでいきました。

「整理をする」とはノートなどに日付順に貼り付けることですが、そうしておくことで、後から確認したいときにすぐに見つけることができます。例えば、○月○日にボールペンを買ったという記録があったとき、その証拠となる領収書をすぐに見つけることができます。

ノートなどに証拠書類を貼るときのコツ

「ノート」などという格式ばったものをわざわざ用意する必要はありません。古くなった週刊誌でもなんでも構いません。証拠書類が整理されて貼れればどんなものでも問題ありません。

貼り方は、伝票や領収書の裏側の上部左側に2~3センチだけのりを塗ります。そして、紙面の上ではなく下から順繰りに貼っていくことがコツです。

こうすることで、形も大きさもバラバラの領収書類を無駄なく貼ることができ、紙面を効率よく使用することができます。

確定申告までのスケジュール

全体の流れ

「流れ」の最後に、日々の作業から確定申告をするまでの全体のスケジュールを説明いたします。大まかな「流れ」は次のようになります。

  • 日々、小まめに帳簿をつける
  • 帳簿を基に青色決算書を作成する
  • 青色決算書を基に確定申告書を作成する
  • 上記の書類を税務署または青色申告会に提出する。(郵送も可)

青色申告決算書の作成

青色申告をするには税務署に届け出をしていることが必要です。その手続きを終えていますと、毎年11月下旬に税務署から「青色申告決算書」が入っている封筒が届きます。

この青色申告決算書には、損益計算書と貸借対照表のほかに専従者の給与額や店舗・事務所の家賃、駐車場代(自動車を仕事に使用している場合のみ)を書く欄もあります。

確定申告の期間は、例年ですと2月16日~3月15日までと決まっています。ですから、筆者は年が明けてすぐに青色申告決算書を作り終えていました。

筆者は無料の会計ソフトを利用していましたが、そのソフトで作成された損益計算書と貸借対照表の数字を確認しながら青色申告決算書に書き写すだけです。

確定申告書用紙の送付

次に、1月の下旬になりますと、税務署から「確定申告書用紙」が入った封筒が送られてきます。その中に、青色申告用の確定申告用紙や書き方が記載された手引書などが入っています。手引書はわかりやすく説明されています。

11月下旬に送られてくるのは「青色申告決算書」で、1月下旬に送られてくるのは「確定申告書」です。

前年に、国税庁サイトの「確定申告作成コーナー」を利用して青色申告決算書および確定申告書を作成した人には上記の書類は送られてきません。

書類の提出

さて、いよいよ確定申告をするのですが、確定申告自体は簡単です。なぜなら、やることは青色申告決算書と確定申告書を提出するだけだからです。

ほかにやることはありません。筆者は青色申告会という団体に入っていましたので、そこに提出していました。

青色申告会とは、毎月1,000円~2,000円(地域により異なる)の会費で青色申告について教えてくれる税務署も勧める組織です。

提出する際の詳細について

「提出する」といいましても、今ひとつピンとこない人もいるでしょう。もう少し具体的に説明します。

指定された会場に行き、青色決算書と確定申告書を提出しますと、担当者が内容を簡単にチェックし、控え用の用紙(決算書および申告書にはそれぞれ控えがあります)に受領印を捺して返してくれます。それを受け取って終了です。その間、2~3分です。

あまりに簡単で拍子抜けした方もいるかもしれませんが、決算書および申告書が完成していることが前提です。筆者はいつも全てを書き終えていましたので、ものの2~3分で帰っていました。

たまに記入漏れや記載間違いを指摘されることがありましたが、そのときはその場で訂正すればそれで済みます。そのために、印鑑は必ず持って行っていました。

しかし、筆者のような人は実際は稀です。会場では決算書や申告書の書き方を教えてもらったり相談する人が多く、そういう人で溢れていました。しかし、相談員も人数に限りがありますので待ち時間も半端ではありませんでした。

「青色申告の肝は日々の作業」といった意味が理解していただけるでしょうか。本当に、普段から小まめに帳簿をつけているなら、青色といえども確定申告は恐れるに足りません。また、そうした日々の帳簿づけは個人事業主にとって経営という側面でも必ずや意義があります。

注意点

たまに勘違いしている人がいますが、白色にしろ青色にしろ確定申告書を提出したことで、確定申告が無事に終わったと思うのは早計です。何故ならば、税務署が申告内容を「認めてくれた」「納得してくれた」わけではないことです。

税務署にしてみますと、あくまで確定申告書を受け取ったということに過ぎません。ですから、もし申告内容に疑問や整合性に問題があったときは、後日、税務署から問い合わせの連絡があります。場合によっては、呼び出されることもあります。

おわりに

節税に役に立つ青色申告ですが、それでも二の足を踏んでいる人はたくさんいます。その理由の多くは、複式簿記に抵抗感があるからです。

しかし、本文中に書きましたように有料・無料の会計ソフトがたくさん出回っています。それらを利用するなら、簿記の知識がなくとも複式簿記で記帳することができます。

不思議なもので、知名度に関してなら「青色申告」と「白色申告」では圧倒的に「青色申告」に軍配が上がります。しかし、利用度でいいますと、まだ確定申告者の半分の人しか青色申告を利用していない現実があります。

つまり、有利なことがわかっていながら、「白色申告」のままの人が半分もいることになります。そういう人は、まだ青色申告のメリットを実感していない人です。

是非、一度挑戦してみてください。人は実感して初めてそのよさを理解できます。帳簿づけを続けるコツは、毎月、損益計算書と貸借対照表を眺めることです。

(image by amanaimages)

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