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個人事業主が「屋号のつけ方」で成功するコツを税理士に聞いてきたPR

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個人事業主として仕事をしようと決めたとき、考えておくべきなのが屋号

事務所をどこに構えるか、印鑑や通帳を準備するタイミングはどうしようか、事業内容はああしてこうして…必死に考えていると、屋号にまで頭が回らない人もいるかもしれませんが、ここはじっくりと考えておきたいところ。個人事業主としてのあなたのビジネスにつけるブランド名のようなものですから、納得していい名前をつけたいですよね。

「でも、どう考えたらいいかさっぱり分からない!」「つけ方にルールってあるの?」そうお悩みの個人事業主の方のために、会計事務所シンシア大野修平先生(以下、大野先生)へ、「個人事業主の屋号」に関する質問をぶつけてきました!

公認会計士・税理士の資格を持つ大野先生に、屋号についてのイロハを伝授していただいたので、これを読めば屋号についての知識は完璧ですよ!

個人事業主なら知っておきたい屋号の基礎知識

屋号のはじまり

大野先生いわく、基本的には武士以外に苗字を名乗ることができなかった江戸時代に、商人を区別するため屋号が用いられていたのだそう。

大野先生「当時は語尾に『屋』『堂』『軒』『亭』『家』などが付く屋号が多かったようです。現存する大企業である『紀伊国屋』や『不二家』などにその名残が伺えますね。商人たちは屋号を看板とすることで、信用を築いてきたといえるでしょう」

老舗企業の名前には、そのような経緯があったのですね。規模が拡大する上で屋号が一種のブランドになり、今日まで発達してきた様子がうかがえます。

屋号のメリット

今の時代でも、個人事業主の名前だけでビジネスを進めるより、屋号をつけたほうが良い理由があるのでしょうか。

大野先生「プライベートと事業の区別があいまいになりがちな個人事業主にとって、屋号を用いることは、この境界線をはっきりさせるという効果があります。屋号を用い、プライベートと事業を区別することは、正確な経営判断をするのに有用なだけでなく、それをお客様や取引先にアピールでき、信頼感を得ることができるでしょう」

自分のビジネスにしっかり名前をつけてあげることで、公私混同せずに、個人事業主としての気持ちを新たにすることができますね。

顧客側から見ても、例えば振込先が個人名になっているのと、屋号で設定されているのとでは、後者のほうが安心して仕事を任せられるのではないでしょうか?

決めるタイミング

そんな大事な役割を果たしている屋号、個人事業主はいつのタイミングで決めておくべきでしょうか?

大野先生「実は屋号を付けるタイミングに決まりはありません。個人事業主として開業すると、開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を税務署に提出します(原則として、事業の開始から1か月以内)。この開業届に屋号を記入する欄があるのですが、屋号を使用しない人や、まだ決めていない人は空欄のまま提出することができます」

ちなみに、開業届の屋号の欄を空欄で提出しても、その後に個人事業主が名刺やホームページなどに屋号を使用することは構わないのだそう。

開業した後に屋号を決定する場合は、何か気をつけることや申告の手続きなどはあるのでしょうか。

大野先生「開業後に屋号を新しく付けたいとか変更したいと思った場合にも、特段個人事業主の手続きは不要です。確定申告書には屋号を記入する欄がありますが、ここが空白でも確定申告自体は可能です。ただし、銀行で屋号付口座を開設する際には、屋号が記入された開業届や確定申告書などが必要となる場合がありますので、屋号を使用する場合には念のためこれらの書類にも記入しておきましょう」

屋号付口座を開設する予定があるのなら、二度手間にならないように屋号を早めに決めておくのがよさそうですね。

屋号のつけ方のポイント

基本的なルール

個人事業主が屋号をつけるとき、どんなルールがあるのでしょうか。使ってはいけない文字や単語などを知らずにいると、大変な目に遭いそうですが…。

大野先生「屋号はつけてもつけなくても良いので、基本的にルールはゆるいのですが、法律で制限される場合もあるので注意が必要です。例えば会社法では、会社でない個人事業主が、屋号に『会社』や『法人』など、『会社だと誤認されるおそれのある文字』を使うことを禁止しています」

英語で表記するときは「Co.」や「Inc.」なども使えない、ということになりますね。

大野先生「また商標法では、商標登録がされた商品やサービスについて他の人がそれを使用することを禁止していますので、商標登録されている名称は使用できません。登録されている商標は『特許情報プラットフォーム』から検索することができます。もちろん商標として登録されていなくとも、誤認させる目的で有名ブランドなどと同じ屋号を付けた場合には、後々大きな問題となる可能性があります」

すでに世に出ているものとかぶったり、それを想起させるような屋号は避けたほうが賢明です。個人事業主としては事前に下調べをきっちり行い、あとで痛い目をみないように気をつけたいところです。

屋号を考えるときのチェックポイント

とはいえ、しっくりくる屋号を考えるのはなかなか難しいもの。そこで大野先生に、個人事業主が屋号を考えるときのヒントを教えていただきました。

大野先生「屋号を決定する際に、縁起の良い画数などを気にする個人事業主の方もいらっしゃるかと思います。ですが、個人的には以下の4つの点が重要だと考えます」
  • 屋号で業務内容が伝わるか
  • 屋号を用いることで信頼性がアップしているか
  • 他者と差別化できているか
  • 読みにくかったり、発音しにくかったり、覚えにくかったりしないか

さっそく詳しくうかがっていきましょう!

屋号で業務内容が伝わるか

屋号を聞いて、その個人事業主がどんな内容のビジネスをしているのか、パッとイメージできるものがよいそうです。

大野先生「『○○デザインオフィス』『カフェ○○』など屋号にさりげなく業種を含めることで、相手に業務内容がすぐに伝わります。主力商品などがあれば、それを屋号に含めても良いと思いますが、あまり特定分野に絞りすぎると、今後の事業展開に支障が出る恐れもあります。屋号によって、どのような事業を行っているかを知らせることと、今後の事業展開の発展性はトレードオフの関係にありますのでバランスを考える必要があります」

たしかに業務内容を全くイメージできない屋号では、耳にしたときに「?」が浮かぶかもしれません。かといって主力商品に偏った屋号では、その後に違う商品・サービスを主力的に売り込むとき、やりにくさが生じるかも。

業務内容をイメージさせ、かつそれに偏りすぎない屋号を心がけましょう。

屋号を用いることで信頼性がアップしているか

また、行っている事業に対してプラスのイメージが想起される屋号を考えましょう。別の事業内容を連想させるような屋号は、混乱をあたえ、信頼性を欠いてしまいます。

大野先生「例えば、自然食品を販売しているにも関わらず『○○ケミカル』などの屋号では、事業への信頼性が損なわれるかもしれません。また、資格を保有している個人事業主の方であれば『○○一級建築士事務所』『○○ファイナンシャル・プランナー事務所』など資格名を屋号に含めることも、信頼性を向上させるのに有効です」

例えば、和菓子屋なのに「来々軒」なんて屋号では「この店、大丈夫か?」と思われてしまうかもしれませんね。

他者と差別化できているか

さらに個人事業主の屋号は、他にない独自のものが望ましいとのこと。

大野先生「対外的に他者と区別するために使用する屋号ですので、他の人と差別化できていることが望ましいですね。検索エンジンで候補の屋号を検索してみて、同じ屋号で既に開業している人がいないか確認してみましょう。もし、その候補を既に使用している人がいたとしても、思い入れのある候補であれば、必ずしも候補から外す必要はありませんが、差別化という点ではマイナスとなることを覚悟しましょう」

なお、前述のとおり、誤認させる目的で他の人の屋号を使用することはトラブルの原因になります。くれぐれも避けましょう。

読みにくかったり、発音しにくかったり、覚えにくかったりしないか

言葉の意味や見た目だけにとらわれず、実用性という観点からのチェックも欠かせません。

大野先生「他者と差別化するといっても、読みにくかったり、発音しにくかったり、覚えにくかったりすると元も子もありません。屋号は開業後も何度も口にしますし、相手にも読んで覚えてもらいたいものです。一方で『きゃりーぱみゅぱみゅ』さんなどは、発音しにくさゆえに皆に覚えられたという部分もあると思います。読みにくかったり、発音しにくい屋号が、すなわち覚えにくいとも言えませんので難しいところです」

芸名やペンネームなども屋号に相当するものなのだそう。言いにくさゆえに相手に強烈なインパクトを与えた、いい例ですね。

しかし、電話や名刺交換の際など、屋号を口にする機会は多いもの。何度も聞き返されたり、正しく読んでもらえないようでは、そのたびに相手は少なからずストレスを感じるかもしれません。個人事業主の皆さんは、客観的な意見を聞きながらよく考えるようにしましょう。

屋号を考えるときのステップ

実際に個人事業主が屋号を決めるときは、どのようにするとよいでしょうか?

STEP1:候補をたくさん出す

まずは数十個~数百個ほど屋号の候補を列挙していきます。一つ一つ全く新しいものをひねり出そうとするのではなく、思いついた候補の単語を組み替えたりしながら、なるべく多く候補を出すのがよいそうです。

大野先生「このときには特に制限をかけず、思いつくままに列挙していくのがポイントです。行き詰ったら友人や知人の知恵を借りても良いと思います。ちなみに、屋号には漢字やひらがな、カタカナのほか、ローマ字、数字も使用できますので、自由な発想で楽しみながら候補を列挙しましょう」

STEP2:絞り込む

絞り込みのフローはこのとおり。

  • 1:上のパートで挙げた4つのポイントに照らし合わせて、10~20個ほどに絞る
  • 2:「特許情報プラットフォーム」で候補を検索し、商標登録されているものは候補から外す
  • 3:残った候補をGoogleなどの検索エンジンにかけ、同じ屋号で開業している人がいないかを確認する
  • 4:インターネットでの事業展開も視野に入れているのなら、屋号にちなんだドメインが取れるかも確認する
大野先生「もし、同業種で同じ屋号を使って開業している人がいた場合には、トラブルを避けるためにもその候補は外します」

気に入っていた候補がすでに存在するなど、ガッカリすることもあるでしょう。しかし、ここは忍耐です。候補が少なくなってしまったときは、さらに良い屋号をつけることができるチャンスだと思って、頭をひねってみてください。

STEP3:決定

ここまで徹底的に行い、チェックポイントをクリアした候補の中から、最も気に入ったものを選択します。

大野先生「自分の感覚だけでなく、友人、知人からぜひ客観的な意見を聞いてみましょう」

自分では気づかなかったことや、思わぬ意見が出てくるかもしれません。決定した後に「なんかイマイチだね」と言われることのないよう、幅広い意見に耳を傾けましょう。

個人事業主は良い屋号でモチベーションもアップ!

屋号をつけるのは大変かもしれませんが、苦労して考え抜いた分、愛着がわいてくるはず。屋号が個人事業主のビジネスにおいてこれだけ大事な役割を果たしていると分かれば、じっくりと時間をかけて候補を出し、選んでいきたいものですね。

個人事業主の皆さん、自分にしかつけられない屋号を考え出して、ビジネスを軌道に載せましょう!

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取材協力

大野修平先生:公認会計士・税理士。

前職の有限責任監査法人トーマツでは銀行・証券会社・保険会社など金融機関向けの監査・デューデリジェンス・コンサルティング業務などに従事。

トーマツ退所後は会計事務所シンシアにて「ビズバ!」というオウンドメディアの企画・編集を担う。また、会計や税金を身近に感じてもらえる様々なイベントを運営している。無類の読書好きで、蔵書が3,000冊を超えないようコントロールすることに頭を悩ませる日々。

(image by ぱくたそ 1 2 3)
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