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  6. アイドルとメタルの融合が生んだ奇跡・BABYMETALをより多くの人にーー使命感から生まれた雑誌「ヘドバン」
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アイドルとメタルの融合が生んだ奇跡・BABYMETALをより多くの人にーー使命感から生まれた雑誌「ヘドバン」

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4月2日のイギリス・The SSE Arena, Wembleyを皮切りにワールドツアー2016を開始するBABYMETAL。早速、イギリス以降のアメリカでのツアー・スケジュール第一弾が発表になった。彼女たちのライブを観に行くのを心待ちにしているメタルファンも多いことだろう。

そんなBABYMETALファンはもとより、BABYMETALのライブに衝撃を受けるであろうあなたに、ぜひ知っておいて欲しい日本の雑誌がある。それが「ヘドバン」だ。

一人の男がBABYMETALの存在に衝撃を受けて作り上げたこの雑誌はいま、出版不況と言われる日本でも売れに売れ、BABYMETALの情報をより早く、深く知ることができる唯一の媒体となっている。

BABYMETALの何がここまで世界中のメタルファンを惹きつけてやまないのか、BABYMETALはどのような存在なのか、「ヘドバン」編集長の梅沢氏に話を訊いた。

雑誌「ヘドバン」編集長・梅沢直幸インタビュー

梅沢さんがBABYMETALを知ったきっかけを教えてください。

メタルやパンク/ハードコアの濃い作品を紹介しているWebサイトをよく見ているんですけど、そこで2012年にたまたま「BABYMETAL×キバオブアキバ」のリリース情報と『いいね!』のミュージックビデオが紹介されていたんです。

それを見てスイッチが入った感じです。これまでもメタルテイストのアイドル曲はありましたが、あるジャンルでアイドル曲を作るにあたって「あ、これは中途半端だな」って分かってしまう。「音楽に対する愛がないなぁ」とか。でも、BABYMETALの場合は、作っている側がメタルのことをよく分かっている感じがしっかりと伝わってきたんです。

それですぐにCDを買って、彼女たちに関する情報を漁りだしました。

梅沢さんが初めてBABYMETALを観たのは東京・目黒にある鹿鳴館でのライブ(2012年7月)だったそうですね。一体、どんな内容だったのですか?

アイドルのライブは、それ特有の良くも悪くもゆるい感じがありますよね。しかし、BABYMETALの場合は、鹿鳴館の狭いステージに大きな棺桶を立てて、王道のメタルをBGMとして流していました。それでスタート前から気分が高揚していました。

そんな状態でライブが始まったのですが、アイドルは大抵、幕が上がったら笑うことが多い。しかし、BABYMETALの3人は真剣な表情だったんです。笑わないし、当時からMCも一切無し。演出も3人もシアトリカルを極めていました。

それを見て、「あ、本物だ!」と感じました。ダンスも完璧だし、棺桶を使った演出もよかった。自分が予想していたよりも遥かに上をいくライブでした。それで「この面白さをメタル側にも紹介しないとダメだ」と思ったのです。

アイドルファンだけに楽しませておくのはもったいないということですか。

そうそう。こんな完璧な音楽は頭の柔らかいメタルファンだったら飛びつくはずだと思ったんです。

この日のライブをきっかけに、彼女たちのことを紹介するメタル雑誌「ヘドバン」を作りたいと思ったそうですが、BABYMETALの何が梅沢さんにそこまでさせたと思いますか?

たぶん、アイドル雑誌がBABYMETALを扱うとメタルの要素は抜け落ちてしまう。逆に、歴史あるメタル雑誌は彼女たちのことを扱わない。

そうするとBABYMETALは絶対に正当な評価を受けられないし、彼女たちに正面からアプローチできる媒体はどこにもないと思ったんです。アイドルとメタルがこんなにパーフェクトな形で融合しているなんて奇跡なんです。それを多くの人に伝えたかったんです。

BABYMETALを語るうえでは、プロデューサーであるKOBAMETALの存在も欠かせないですよね。

そうですね。本物のメタルファンは偽物を見分ける力に長けているし、偽物に対する攻撃力もすごい。だからプロデューサーには、そういう本物の人たちにも刺さるようなプロデュースができる“メタル感度”がかなり重要なんです。

KOBAMETALはそういう感覚をしっかり持っているプロデューサーだと思うんです。彼は常にアンテナが立っていて、最新のメタルもちゃんと聴いている。たとえば、「悪夢の輪舞曲」という曲ではジェントを採り入れたり、EDMとメタルを組み合わせたり。

メタル好きのプロデューサーはたくさんいると思いますけど、KOBAMETALほどのメタル感度を持つ人はいないんじゃないかと思います。

BABYMETALは昨年、「ギミチョコ!!」をきっかけに海外でブレイクを果たしました。いろいろな日本のアーティストがいる中で、なぜBABYMETALが突出して海外でウケたのだと思いますか?

メタルとしての基本がしっかりしていることがちゃんと伝わったからだと思います。しかも、海外には日本のようなアイドルカルチャーがないから、BABYMETALの音楽がメタルとしてストレートに受け止められたことが大きいと思います。

海外にメタルという受け皿があるのは大きいのでしょうか?

メタルファンは一度好きになると熱いんです。一度自分たちのフィールドに入ってくると、過剰な熱量で受け入れる。それがたぶん大きいと思います。

認めてくれるまでは時間がかかりますけどね。

そう。BABYMETALが去年出演したSonisphere Festival UKでも、最初は「おまえら、なんぼのもんじゃい」という感じでメタルファンたちに構えられていたけど、ライブが終わる頃にはみんなメロイックサインを掲げているほど熱狂していた。

Sonisphereでのライブを観てどう思いましたか?

日本のメタルユニットがあんな大きいステージに立って、5万人の観客の手を挙げさせたっていうのは誰もが予想しなかった奇跡だし、本物のメタルファンたちに受け入れられたことに純粋に感動しましたね。

あの受け入れられ方は私も驚きました。

日本最大のメタルフェス「LOUD PARK 13」への出演時(2013年10月)にはいろいろありましたからね。

「ペットボトルを投げつけてやる」とか言っているメタルファンもしました。実際は何も起こらなかったし、賛否両論が起きながらも結果的には良いライブだった。

Sonisphereの場合はそれとも全然違っていて、観客に温かさがあったと感じています。それはもしかしたら、イギリスはメタルが生まれた国だからかもしれない。

今年の5月からまたワールドツアーが始まります。そしてつい先日、イギリスのレディング&リーズ・フェスティバルへの出演も決定しました。そこで、初めてBABYMETALのライブを観る人に何かアドバイスがあれば教えてください。

BABYMETALのようなメタルは、世界中探してもどこにもないんです。しかも、デスメタルやメロスピといったメタルのサブジャンルもかなり網羅している。

普通はそんなことをやったら「何いいとこ取りしてるんだ!」って言われてしまうけど、BABYMETALだからこそ許せるし、違和感はまったくない。

僕は胸を張って「これは日本のメタルですよ」って言いたいんです。だから、これが世界を今揺るがしている、一番新しくて、面白くて、楽しい日本のメタルなんだって真正面から受け止めて欲しいです。

あと、神バンドというバックバンドのテクニックももちろんですが、彼女たちのダンスと表情がとにかくすごいんです。メタルで激しく踊るということ自体が凄いし、そのうえ息もぴったりで表情の作り方も完璧です。そういう部分にも注目して欲しいです。

BABYMETALをきっかけに日本のメタルシーンは変わったと思いますか?

雑誌「ヘドバン」のTwitterのフォロワーをチェックしていると、ももいろクローバーZで初めてアイドルに触れて、次にBABYMETALのファンになりましたというファンが結構多いんです。しかし、そういう人たちが本格的にメタルに踏み込むのは時間が掛かると感じています。

むしろ、一時メタルから離れていた30代から40代のメタル好きをBABYMETALが呼び戻してるんです。彼らのように冬眠から目覚めたメタルファンがもっと増えてくれれば、またCDを買うかもしれないし、雑誌「ヘドバン」を買ってくれるかもしれない。こういう現象があるのは面白いですね。

これまでの「ヘドバン」で評判が良かった記事は?

3号目のSU-METALのロングインタビューでは、BABYMETALを続けてきた3年間を彼女が真剣に語っていて、評判がかなりよかったです。

6号目でやった、さいたまスーパーアリーナ公演を観に来た海外のお客へのインタビューも評判がいいですね。あと、雑誌「ヘドバン」は過剰な熱さのライブレポートが特徴なので、それを期待してもらっているところもあると思います。

今後の「ヘドバン」の野望は?

今、ちょうど「メタルの基本100枚」というガイド本を作っています。新規のメタルファンに向けた本ではあるのですが、「俺たちが眠っていた間にメタル業界ってどうなっていたの?」っていう冬眠から覚めたメタルファンの人たちが買えるようなCDを紹介できたらいいなと思っています。

BABYMETALに関しては、日本にはメタル媒体があまりないので、他媒体がやらないなら「ヘドバン」が全力でBABYMETALを推し続けるしかないし、それだけの価値はあると思います。

(取材・文:阿刀 “DA” 大志/2015年4月末インタビュー/IGNITION日本版

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